有限会社リベルタス興産
第一回目は、宇部興産株式会社の特例子会社である有限会社リベルタス興産についてご紹介します。
- 訪問日時:平成25年7月11日(木曜日)10時30分~12時00分
- 訪問者:宇部市障害者就労支援ネットワーク会議の就労支援・継続支援各ワーキングチームメンバー4名
会社紹介
- 所在地:宇部市東見初町525-110
- 電話番号:0836-35-7878
- 従業員数:43名(パート含む)*2013年7月現在
- 障害者数:28名(身体14人、知的11人、精神3人)
企業概要
同社は、平成3年4月に障害者の雇用を目的とする宇部興産の特例子会社(*)として設立。「障害があるから特別なのではなく、障害があって当たり前、障害は才能を発揮する妨げにはならない」との基本的観点から企業活動を行っています。
*特例子会社
事業主が障害者の雇用に配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合に、特例としてその子会社に雇用されている障害者を親会社に雇用されているものとみなして雇用率を算定できる制度
業務の内容
印刷部門と清掃部門があります。印刷部門では、データ制作、原稿の作成・校正チェックを行うデジタルチームと、製版・印刷・仕上げを行う製作チームがあります。
配慮はするが特別扱いはしない
聴覚障害者のために機械に赤色ランプを取り付け、稼動中は点灯するようにしています。又、専任手話通訳者を2名配置しており、作業指示など正確に伝わるようにしています。社員のうち約6割が障害のある人だが、「二人で二人前、できることをやればいい、できないことは配慮する。」の考えのもと、お互いが不足したところを補うようにして仕事をすすめることを実践しています。同社では、障害のある人を特別扱いしていません。
職場内での工夫・改善点
設備のハード面の配慮として、2メートル幅の手摺付き廊下、床レールの無い吊り下げ式横開き扉、聴覚障害者のための非常用点滅赤色ランプ、廊下の曲がり角にカーブミラー、駐車場から通用口への屋根付き渡り廊下など、社員から不便という意見や問題点が挙がれば、その都度、就労環境の改善を行っています。
ソフト面での配慮として、手話通訳士(2名)の配置や、手話勉強会の実施(毎週1回)、障害者職業生活相談員資格認定者(10名)、職場定着推進会議の実施(月1回)などを行っています。
社員の紹介
越智博巳さん
- 年齢
- 56歳
- 障害種別
- 身体障害(下肢)
- 現在の業務内容
- 製作チームリーダー、印刷工程管理業務に従事、作業全体の管理業務などチーム全体を纏めている。
- 経歴・志望動機等
- 介護用品の販売など経験後、ハローワークの紹介で、車椅子でも長く働くことができると思った。
- 作業環境等
- 仲間同士のコミュニケーションが大切であると考えている。
お客様を第一に考え、印刷物の仕上りと納期厳守を大事にしている。 - 日頃から気をつけていること
- 健康管理(特に飲酒については、適量を心がけている。)
ストレス解消に室内球技をしている。(昔は車椅子バスケットボール、今はパチンコ等。) - 就職活動中の皆さんへのアドバイス
- 障害のある人は自分の障害を正確に理解して、出来る事、出来ない事を初めに説明することが大事だと思う。
見てわかる障害はともかく、見えない障害は、初めに心を開いて会社に理解してもらうこと。
仕事はやる気が大事だと思います。最初から自分にはできないと勝手にあきらめないこと。又、自分に出来る事をアピールすると良いにではないかと思う。 - 会社への要望等その他
- 新規採用者については、事前に必ず障害内容を開示してもらっている。
大浜 尚さん
- 年齢
- 47歳
- 障害種別
- 重度身体障害(脳性小児まひ)
- 現在の業務内容
- デジタル(電子化)業務、IT関連機器(パソコン等)・ネットワークの管理(更新・保守・セキュリティー)
- 経歴・志望動機等
- 大学で社会福祉学を履修、国立職業リハビリテーションセンターにてシステムエンジニアの資格を取得。ハローワークを通じて応募、自分の専門知識を生かし、自信をもって働くことができると思った。
- 作業環境等
- 平屋建てでバリアフリーなので車いすでも移動しやすく、働きやすい。
会社の同僚は仲間であり、みんな仲が良いです。
仕事はみんなで分担しており、有給休暇が取りやすいです。 - 日頃から気をつけていること
- 日々いろんなトラブルが仕事上で起こるが、解決策を見つけることに集中している。
対応できていることが楽しい。 - 就職活動中の皆さんへのアドバイス
- 自分に自信を持つことではないでしょうか。
- 会社への要望等その他
- 今の社長には何でも話せる雰囲気があるが、自分の考えを言い過ぎることもある。
今の会社をもっと大きくしていろんな人に働いてほしいと思う。
和泉川優嗣さん
- 年齢
- 46歳
- 障害種別
- 身体障害(聴覚)
- 現在の業務内容
- 印刷機のオペレーター
- 経歴・志望動機等
- 書道の専門学校へ行った後、アルバイトをしていた。ハローワークに就職相談をしていたが、なかなか良い仕事が見つからなかった。新聞を見て現在の仕事を見つけた。採用された当初はパソコン業務を希望していた。
- 作業環境等
-
- 会社内にある機器にそれぞれ詳細に機器名がラベル表示されているのでわかりやすい。
- 会社設立当時のこと、印刷機には稼動時に点滅するパトライトが付いていた。それが目にきつく頭が悪くなるぐらい気になって仕事にならないので取り外してもらったことがある。
(パトライト:機械にとりつけられた照明器具、聴覚障害者のために当初、機械の稼動時に点滅するランプが取り付けられていた。)
- 日頃から気をつけていること
- 作業は2人でペアを組み行っている。お互いアイコンタクトをしながら安全第一を心がけている。
- 就職活動中の皆さんへのアドバイス
- あきらめず、小さいことでも少しずつ成し遂げることが大事。いろんなことに負けないように頑張る気持ちをもつこと。
- その他
- 手話通訳士と一緒に、近隣の小中学校に出向き、講演を行っている。
社長からのコメント
最初の訪問企業に選定していただいたことに、先ずは感謝を申し上げます。
創業以来22年、「障がいも個性の一つ」と捉えて企業活動を続けています。2013年9月現在では、従業員数44名中29名が障がい者手帳保有者で、障がい種別も身体、知的、精神と多岐ですが、お互いが得意を最大限に発揮して、日々の職務に励んでいます。
山口県内に一つだけの特例子会社ですので、障がい者雇用を柱にCSR(企業の社会的責任)活動を継続的に進めていまして、宇部市障害者就労支援ネットワーク会議への参加も積極的に行っています。
今後とも、企業の立場で、そのキーステーションで有り続けられるように頑張って参りたいと思っていますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
取材後記
仕事がある、仲間がいる、自分を必要とされている・・・一人ひとりが能力を発揮して、「精一杯働こう」と思えるような会社だと感じました。取材を通してお会いした社員のみなさんは、どなたも笑顔が輝いていました。
「障がいも個性の一つ」と優しく背中を押してくれる企業が、わたしたちの身近にあり、大変心強く思いました。
このページに関するお問い合わせ
健康福祉部 障害福祉課
〒755-8601 宇部市常盤町一丁目7番1号
- 障害者手帳、自立支援医療、用具の給付、福祉医療費の助成、特別障害者等の手当、福祉タクシー券、障害者バス優待乗車証、NHK受信料の減免、有料道路の通行料金割引、やまぐち障害者等専用駐車場利用証、バリアフリーに関すること
電話番号:0836-34-8314 ファクス番号:0836-22-6052 - 障害福祉サービス(介護給付及び訓練等給付、障害児通所給付)に関すること
電話番号:0836-34-8523 ファクス番号:0836-22-6052 - コミュニケーション支援・理解の促進、障害者の就労支援、障害者スポーツ・文化の振興に関すること
電話番号:0836-34-8342 ファクス番号:0836-22-6052 - 障害者に対する差別の解消に関すること
電話番号:0836-34-8527 ファクス番号:0836-22-6052