音響の素晴らしさ(出演者の声)

ウェブ番号1004738  更新日 2021年2月26日

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記念会館の存在を飛躍的に高めたものに、ホールの音響効果があります。

村野は、記念会館を設計するときに、音響学の専門家、早稲田大学の佐藤武夫の助言を得たものの、仕上がりに確固たる自信は持てず、後年の音響効果の高評価を非常に喜んだようです。

戦後直後の1946年に発足した宇部好楽協会は、文化活動の一環として国内外の演奏家を多数記念会館に招きました。レビー、コルト(ピアノ)、メニューイン、シゲッティ(バイオリン)、ブタペスト四重奏団を初め、東宝交響楽団、NHK交響楽団等の一級の演奏家が、記念会館を訪れています。特に1951年に来日したメニューインは、演奏会場に記念会館を指定したとのことで、「音響効果の優れたホール」としての地位が定着するきっかけとなりました。

宇部好楽協会は、俵田寛夫(後の宇部興産副社長)の献身的な努力で会員2千人を超える組織に成長し、宇部近郷の音楽文化を支えるとともに、記念会館の活用をソフト面から後押ししました。

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舞台1
写真2
舞台2
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客席

古賀敦子氏&マリタ・ミルサリモヴァ氏からの手紙

フルートとピアノの美しき旋律「古賀敦子&マリタ・ミルサリモヴァ デュオリサイタル」公演は、2004年7月24日、渡辺翁記念会館で開催されました。

古賀敦子氏

渡辺翁記念会館の感想

昨年マグデブルグのオーケストラと共演させていただいた時にも、渡辺翁記念会館の、温かい響きと、どんな小さな音も隅々までいきわたる感触に感銘をうけましたが、この度フルートとピアノで演奏させていただき、よりいっそう、その音響の良さに驚かされました。

舞台の上でも、よく、ピアニストが、ソロ楽器の音が聴こえ難かったりするのですが、ここでは全く問題なくお互いの音がしっかり聴き取れ、良い音楽にのみ集中できる、ヨーロッパにも誇れる、素晴らしいホールだと実感致しました。こんな貴重なホールでの演奏会は、私にとって、生涯忘れられない大切な宝になります。

お客様も大変静かに、温かく、懸命に聴いてくださって、音楽的な、純粋な空間がうまれたと思います。

ここまで素晴らしく準備していただいた皆様に感謝の心でいっぱいです。これからの益々の、日本ドイツ間の文化交流発展を願ってやみません。

古賀 敦子

マリタ・ミルサリモヴァ氏

(訳文)

私にとって、初めての来日コンサートが、この歴史ある渡辺翁記念会館であった事を、喜びに思います。大変響きが良く、ピアノも素晴らしく、気持ち良く演奏できるホールでした。聴衆の方々も熱心に集中してくださってるのが伝わり、山口の、音楽に対するレベルの高い理解度にも感銘いたしました。

初めての日本は、私にとって全く新しい別世界で、その中で見せていただいた宇部の彫刻も、赤間硯も、萩焼も、一つ一つの作品に興味深いアイデアがあり、とても心惹かれました。そして、日本人の方々の、なんと親切で礼儀正しいこと!

この来日を果たさせてくださった皆様に、心から感謝申し上げます。

この先、益々ドイツと日本の交流が発展し、我々の文化交流を通して、民族としてさらに近づいていける事を心から祈ってます。

Marita Mirsalimova マリタ・ミルサリモヴァ

マグデブルグ室内交響楽団関係者からの手紙(訳文)

マグデブルグ・フィルハーモニー室内交響楽団演奏会は2003年9月29日(月曜日)、宇部市渡辺翁記念会館で開催されました。

マグデブルグ・フィルハーモニー室内交響楽団のプロフィールについては、以下のページをご覧ください。

楽団代表 インゴ・フリッツ氏

2004年1月5日

宇部市長 藤田 忠夫 殿

宇部市文化振興課 様

新しい年の初めに私たちのマグデブルグ室内交響楽団を代表し、宇部市音楽の友の皆様方に心からのご挨拶と新年の豊富をマグデブルグから捧げたいと思います。

私たちは今、このマグデブルグに帰っても一昨年秋に行なわれた宇部市での滞在と多くの音楽を愛する方々に知り合えたことを心にかみしめております。

すばらしい渡辺翁記念会館は我々のオーケストラを非常に良い音楽(音色)をつくりだす状態にしてくださいました。私たちは宇部市様はじめ皆様のおかげで、このような印象的なホールでの演奏、そして美しい音楽を味わえたことに心から感謝しております。

また、私たちにも大きな感動を与えさせて下された宇部市に集まられたお客様に対し、コンサートを行なうことができる日が来ることを心から楽団一同願っております。

マグデブルグより心からの挨拶と願いをこめて

楽団代表 インゴ・フリッツ

原文は以下のページをご覧ください。(以下のリンク先は視覚障害のかたへ未対応な情報を含みます)

フランクフルト国立音楽大学教授 指揮者 ミヒャエル・シュナイダー氏

宇部市長 藤田 忠夫 殿

宇部市文化振興課 様

拝啓 この2003年9月の終わりに私は宇部渡辺翁記念会館でテレマン、ヘンデル、そしてモーツアルトの作品でのコンサートにおいてマグデブルグ室内交響楽団のオーケストラの指揮者を努めさせていただきました。多くの国において指揮者として活動しておりますが、この度の宇部公演が、私にとっては初めての日本来日でした。コンサートの後のパーティーで藤田市長様のお話を昨日のことのようによく覚えております。クラシック音楽が日本でも、ここドイツのように親しまれる事を望んでおられるとのお話でした。

私が宇部市を訪れて感じた事は、音楽に対する関心も音楽教育もあなたの国はドイツやその他の国のように高くすばらしいということでした。私はこのようなすばらしい感受性豊かな聴衆と音の響きや雰囲気のすばらしい渡辺翁コンサートホールをうらやましく思い、今でも思い出しております。このコンサートを通し、将来的にまたこのオーケストラであなたの国で演奏ができることがあれば光栄です。

敬具

フランクフルト国立音楽大学教授 指揮者 ミヒャエル・シュナイダー

原文は以下のページをご覧ください。(以下のリンク先は視覚障害のかたへ未対応な情報を含みます)

マグデブルグフィルハーモニー交響楽団 フルート・ソリスト 古賀敦子氏

藤田 忠夫 宇部市長 様

宇部市文化振興課 様

謹啓 寒冷の候、藤田忠夫宇部市長様はじめ宇部市文化振興課の皆様におかれましてはいよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。一昨年の9月29日に、マグデブルグフィルハーモニー室内交響楽団と共に宇部市渡辺翁記念会館において共演させて頂いたことに改めて心から感謝御礼申し上げます。渡辺翁記念会館を利用させて頂いての私自身の感想を申し上げさせて頂きますと、どの楽器の音色も均等にまろやかに響き、演奏家(ソリスト)が多少向きを変えても変わらずに良く音の伸びる実感は、演奏家としてもその響きを楽しみながら演奏ができました。このように均等にまろやかに響く音響は珍しいもので、指揮者のミヒャエル・シュナーダー氏が演奏直前に私にアドバイスとして「集客が入ればより音の響きがよくなっているので非常に快く演奏ができる」と言われたほどでした。

また、私自身がとてもうれしかった事としては、聴衆の方々が非常に暖かく演奏家を迎えてくれているということでした。聴きなれないクラシック音楽というイメージはなく、むしろ良い音楽を求めている感じが伝わってまいり、ドイツやフランス公演と同じように演奏家と聴衆に距離がなく、一緒になってクラシック音楽を楽しんでいるというのがとても印象的でした。また、渡辺翁記念会館の敷地内にあるヨーロッパ風な美しい公園も、演奏家の私達にとってはとても心安らぐ場所でもありました。

このようなすばらしい音響、施設をもつ宇部市渡辺翁記念会館において今後さらなるドイツとの交流が実現でき、山口県や宇部市に在住される青少年音楽家の方々の育成にも、つとめさせて頂けたらと心から願っております。

略儀ながら書中をもちまして感謝と御礼を申し上げます。

敬具

マグデブルグフィルハーモニー交響楽団

フルート・ソリスト 古賀敦子

マグデブルグフィルハーモニー第一コンサートマスター 山下洋一氏

宇部市長 藤田 忠夫 殿

拝啓 寒冷の候、藤田市長におかれましてはますます御健勝のこととお喜び申し上げます。

さて、昨年の秋には、私どもマグデブルグ室内交響楽団のコンサートを企画していただきまして、誠にありがとうございました。宇部の前にヴェルディ作曲のオペラ“アイーダ”を日本全国8都市で演奏いたしましたが、そのなかでも宇部の聴衆の質の高さ、熱心で暖かい拍手はとりわけ素晴らしいものでした。また渡辺翁記念会館の音楽ホールは、歴史を感じさせる雰囲気と、音楽専用ホールとしての程よい残響、響きを持っており、私たちの印象としては、オーケストラの演奏に適する最も良いホールのひとつでした。このような素晴らしい体験を楽団員にさせて下さった藤田市長はじめ、文化振興課及び主催者の方々、また心暖かい宇部市民の皆様に、オーケストラのコンサートマスターとして重ねて御礼申し上げます。

将来におきまして、宇部とマグデブルグの文化交流がさらに発展してまいりますよう私ども一同努力する所存でおります。つきましては、これからも、さらなるご理解とご協力をいただけますよう心よりお願い申し上げます。

略儀ながら書中をもちまして失礼いたします。

どうぞご自愛ください。

敬具

マグデブルグフィルハーモニー第一コンサートマスター 山下洋一