令和6年度(2024年度)施政方針

ウェブ番号1021500  更新日 2024年2月20日

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令和6年2月20日

宇部市長 篠﨑 圭二

本日は、令和6年度当初予算並びにその他の諸案件につきまして、

御審議をお願いするため、御参集を賜り厚く御礼を申し上げます。

令和6年3月市議会定例会の開会に当たりまして、

令和6年度の市政運営に関する基本的な考え方と当初予算の概要について

御説明申し上げ、市議会並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

市政運営に関する基本的な考え方

(1)はじめに

まず、1月に発生した令和6年能登半島地震により

お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、

今なお厳しい環境のなかでの生活を余儀なくされている

被災された多くの皆様に、改めてお見舞い申し上げます。

また、余震や悪天候が続くなかで、懸命に救助復旧活動に従事されている

自衛隊をはじめとする関係者の皆様に深く感謝を申し上げます。

本市としましては、国・県とも連携しながら、被災自治体への職員派遣や

2次避難を希望される方への住居の提供や生活支援、募金活動など、

被災地に寄り添った支援を継続してまいりますので、

市議会議員各位をはじめ、市民の皆様におかれましても、

引き続き、御理解と御協力を賜りたいと存じます。

さて、私は市長に就任以来、

「宇部市に生まれ、育ち、学び、働き、住んで良かったと実感していただける

『暮らし満足度ナンバーワン』の宇部市」を創るため、

就任にあたって掲げた政策提言を織り込んだ

「第五次宇部市総合計画前期実行計画」を基調に、

今日(こんにち)まで、スピード感を持って、全力で取り組んできました。

振り返りますと、就任当初は、新型コロナウイルス感染症が

市内経済や市民生活に多大な影響を及ぼしたピークの時期でありましたので、

まずは、コロナ禍にあっても「市民の安心安全を守る」

そして「地域経済を支えていく」という2点を最優先として、

強い決意で取組を進めました。

検査体制の充実やワクチンの接種体制の整備など感染拡大の防止に加えて、

市民生活や市内経済の下支え、

さらにはポストコロナに向けた経済構造の転換や新たな日常への対応など、

状況を見極めながら柔軟に対応してまいりました。

一方で、令和3年には市制施行100周年を迎え、

次の100年に向けた「未来への投資」も意識しながら、

成長産業の創出、子育て支援の充実、人々が行き交うまちの創出などにも

取り組んできたところです。

この結果、政策提言に掲げた項目については、

任期を8か月残す現時点で、ほぼ全てが実施済みで、

総合計画前期実行計画における各事業も着実に歩を進めています。

主なものとして、まず、成長産業の創出に向けては、

令和3年に、産学公金からなる「宇部市成長産業推進協議会」を立ち上げ、

医療・健康や、環境・エネルギー、宇宙産業やDXなどの

次世代技術に関連する分野での起業や研究開発・事業化に向けて、

全国トップレベルの支援、サポート体制を構築しました。

この支援体制のもと、これまでに、

研究開発シーズを活用した大学発ベンチャー2社の起業や、

市外企業による市内への拠点1か所の設置が実現しています。

これらのプロジェクトは、民間シンクタンクの試算では、

将来的に世界市場が、数十兆円規模に拡大すると見込まれ、

今後、新たな雇用の創出はもとより、地元中小企業との連携を高めることで、

地域経済の活性化をもたらすものと期待しています。

特に、本市が支援する宇宙関連の企業においては、その事業が高く評価され、

衛星データの更なる活用に向けた国の大規模実証事業に採択されるなど、

その成果が着実に現れてきています。

次に、未来のまちづくりの主役である、子どもたちの健やかな育成のため、

積極的に施策の充実を図り、

現時点では、県内トップレベルの水準を実現しています。

経済的な支援としては、子どもに係る医療費について、

令和4年に、所得に関わらず、

中学生以下の全ての子どもの医療費について、自己負担の無償化を実現しました。

また、令和5年には、

所得や第1子の年齢に制限を設けない、第2子以降の保育料無償化や、

離婚後の養育費の確保のための本市独自の支援を開始しました。

そのほか、妊婦や赤ちゃんの病気を予防するための葉酸サポート事業の実施や、

多胎児の出産・育児の負担を軽減する多胎児育児支援、

疾病等の早期発見・対応と育児負担の軽減に向けた1歳児健康診査の導入など、

子どもの健やかな成長につながる様々な市独自の施策を新たに実施しています。

さらに、子育て世帯からたくさんの要望をいただいていた

山口宇部ふれあい公園へのインクルーシブ大型遊具の設置や、

子育て支援センターの大型商業施設内への拡充移転、

児童が多くの時間を過ごす学童保育室の増設など、

ハード面の充実にも取り組んできたところです。

また、子どもたちが早い段階から自らの将来を考える機会となる

職業体験学習の実施や、

学校に行きづらさを感じる子どもたちに

学びの機会を提供するふれあい教室の充実、

フリースクール等利用支援補助金の創設なども進めてきました。

このように、子育て支援策の充実を図るなかで、

就任後の3年間の出生数の減少幅は、就任前と比較して半減し、

また、合計特殊出生率についても、国、県ともに低下が続くなか、

令和3年は、わずかではありますが、2年連続での上昇となる1.49となり

8年ぶりに県の値と並ぶ状況となっています。

次に、市長就任時に大きな懸案事項の一つとなっていた

中心市街地の活性化については、新たな視点で検討を進め、

「モノからコトへの転換」の考え方を基本とし、

市民一人ひとりが自身のありたい姿や様々な「こと」が実現でき、

時間を過ごすことができるまちづくりへの転換との考えから、

国の政策とも呼応した

「居心地がよく歩きたくなる」ウォーカブル化を推進することとし、

社会実験や、

アーバンスポーツイベントをはじめとした各種イベントの開催を通して、

常盤通りの新たな利活用の可能性を多くの方々に体感していただきました。

そのうえで、

まちづくりの種地である旧山口井筒屋宇部店跡地の利活用については、

ゼロベースで検討を進め、

中心市街地の核施設として、市民から要望の多かった子育て支援や、

くつろぎ・交流等の機能を有する複合施設を、

DBO方式により一体的に整備・運営することとし、

現在、解体工事が進んでいます。

この結果、中心市街地のエリア全体への期待感も高まり、

地価動向においても、下げ止まり感が出てきています。

また、観光の分野では

本市出身の庵野秀明氏が総監督を務められた

映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の大ヒットを受けて

フィギュア展やスタンプラリー、グルメフェアなどを展開する

「まちじゅうエヴァンゲリオン」を開催しました。

市内外から多くの方をお迎えしており、

特に、令和5年度に開催した「第3弾」においては、

本市ならではのコンテンツと地元企業の技術を組み合わせた

ときわ公園へのロンギヌスの槍の設置により、

期間中のときわ公園彫刻の丘への来訪者は、

約99,000人を数えるなど、交流人口の増大に加えて、

飲食費や宿泊費を中心に、約13億円の経済波及効果をもたらしました。

また、メディアにも数多く取り上げられ、シティプロモーションの面からも

大きな成果を得ることができました。

そして、安心・安全な暮らしの確保では、

毎年のように発生する豪雨等の災害に対して、

早期の避難情報の発令と避難場所の開設など

被害を最小限に抑えるためのリスク管理とあわせ

民間団体とも連携して、デジタルハザードマップを活用した

小学校における防災教育にも取り組みました。

また、令和5年には「地域活動の日」をスタートさせ、

市民をはじめ、地域活動を応援する事業者にも協力を得ながら

共につながり続ける地域づくりに取り組んでいます。

これらの施策の実施にあたっては、

これまで市政懇談会を累計76回実施し、600件を超える要望をお聴きするなど

市民をはじめとする当事者から直接、

まちづくりのアイデアやヒントをいただいてきました。

併せて、市の施策や私の考えを

私自身の言葉で分かりやすく伝える

「市長YouTubeチャンネル」の配信も開始し、

令和6年1月末現在で、約126,000回再生されるなど

多くの市民と市役所のつながりを強化していくことができました。

一方で、財政の持続性にも留意し、

客観的な根拠に基づき施策の立案や効果の検証を行うEBPMの手法を取り入れ、

事務事業の見直しを積極的に進め、

見直しに伴う効果額は、令和2年度から令和4年度までの3年間の累積で、

約22億円となっています。

また、将来負担の増加につながる市債残高については、

プライマリーバランスを踏まえ市債の発行を適切にコントロールし、

令和4年度末時点で、新庁舎建設分を除き、

令和2年度から約38億円縮減しました。

一方で、突発的な財政需要に対応するための財政調整基金残高については、

令和4年度末時点で、令和2年度から約26億円の増加を図るなど、

財政の健全性の確保にも努めたところです。

(2)現状認識

次に、市政を取り巻く現状に対する認識について申し上げます。

新型コロナウイルスが世界中を席巻してから、早4年が経過し、

一方で、ウクライナ侵攻に端を発する世界的なエネルギー供給不安や、

気候変動に伴う国内外での記録的な風水害など、

近年では、持続可能性に対する社会の意識も高まっています。

また、出生率と出生数の低下により、

日本全体で人口減少が止まらない状況が続いています。

令和5年12月に発表された国立社会保障・人口問題研究所の

「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」によると、

2050年における山口県全体の人口は、2020年に比べて

約3割減少すると見込まれています。

本市においては、県内13市で4番目に減少率が低いものの、

2020年に162,570人だった人口が

2050年には、115,395人と、

約47,000人も減少するとされています。

前回推計時から、さらに減少ペースが加速しており、

出生率の下振れによる若年層の減少が大きく影響しているものと考えています。

このように、社会経済情勢が目まぐるしく変化し、

人口減少が加速度的に進むなか、

まちの活力を保ち続けるためには、時代の変化に即応しつつ、

10年、20年先の未来を見通した市政運営が必要であると考えています。

(3)取組の方向性

こうした認識のもと、令和6年度においては、

物価高騰への支援や防災力強化など

目の前の課題に、機動的に対応していくとともに、

引き続き、前期実行計画に掲げた

4つの重点プロジェクトを中心に取組を進めていきます。

取組に当たっては、

既存の価値観や慣例にとらわれることなく、

様々な主体との共創を深化させ

市民の皆様をはじめとする関係者の知恵を結集し、

新たな価値観を生み出すことで

オール宇部市で、人口減少をはじめとする複合的な課題の解決につなげ、

引き続き、本市が目指す将来都市像

「ひとが輝き 交流ひろがる わたしたちの宇部(まち)」の実現に

全力で取り組んでいきます。

令和6年度当初予算案の概要

令和6年度の当初予算は、

これまでの取組の流れを止めることがないよう、引き続き、

4つのプロジェクトを中心に、EBPMの手法を用いながら、

メリハリをつけて施策の構築を図りました。

一方で、人事院勧告等に伴う人件費の増加や、

高齢化の進展、社会保障の充実に伴う扶助費の増加など

義務的経費の大幅増への対応とともに、

本格的に着手する市役所新庁舎2期棟の建設工事などの要因もあり、

一般会計の予算規模は、過去最大となる734億円となりました。

なお、令和6年度末の市債残高は、約658億9100万円となり、

令和5年度と比較して約8億5300万円の減少、

また、令和6年度末の財政調整基金残高は、

約36億3400万円となる見込みです。

それでは、最初に、物価高騰対策の主なものについて、

令和6年度への繰越分を含め、御説明いたします。

現在、コロナパンデミックに端を発した、

物流停滞に伴う世界的な物価高騰が続いており、

本市でも、市民生活や事業活動に大きな負担が強いられています。

このため、まずは、食料品や燃料等の価格高騰による影響が大きく

物価高に最も切実に苦しんでいる低所得世帯の支援を目的として、

令和6年度に実施予定の定額減税の恩恵を受けられない

住民税均等割のみ課税される世帯への10万円の給付や、

子どものいる低所得世帯への加算として、

子ども一人当たり5万円の支給を実施していきます。

また、エネルギー価格高騰の影響を受けている市内中小事業者等を支援するため、

事業活動に要した電気代やガス代、燃料代の価格高騰分の一部を

補助することとしています。

さらに、令和6年度当初予算においては、

食材費の高騰による給食の質・量の低下と保護者負担の増加を防ぐため、

公立小中学校における給食費を超える食材費の増加分の公費負担を継続します。

続いて、「第五次宇部市総合計画前期実行計画」の体系ごとに、

個別施策の主な取組を御説明いたします。

1 活力に満ちた強い産業のまち

一つ目は、「活力に満ちた強い産業のまち」づくりです。

「ひと」が集まり、集まった人々によって「まち」を持続的に

発展させていくために、

まずは、強い産業への転換や魅力的な雇用の場の創出など、

「しごと」を創り出すことが重要であり、

産業に携わる様々な関係者との共創のもと、引き続き、

「宇部市産業振興計画」と「宇部市農林水産業振興計画」に基づく施策を

効果的に推進することで、産業力の強化に取り組んでいきます。

まず、「未来を支える成長産業の創出」については、

産学公金の連携による「宇部市成長産業推進協議会」を中心とした、

医療・健康や宇宙産業などの成長産業分野における起業や

研究開発・事業化に対する支援を継続して実施するとともに、

再生医療等の先端的研究開発の成果を活かして実用化を目指す

プロジェクトへの支援や市内中小企業の成長産業分野への参入支援を

強化していきます。

また、「うべスタートアップ」においては、

成長産業の創出・育成に向けた取組との連携や

「Y-BASE」のコンサルティング機能の積極的な活用を進めながら、

起業機運の醸成やイノベーションの継続的な創出に加え、

市内企業のDX推進を図ります。

さらに、山口大学や市内企業等と連携して、

メタバースなど、最新のデジタル技術の活用を推進することにより、

新たなビジネスが生まれやすい環境づくりや

デジタル人材の育成・地元定着に取り組みます。

次に、「地域を支える商工業の振興」として、

市内事業者の生産性向上と既存ビジネスの変革などを推進するため、

市内事業者で構成する「うべ中小企業等DX研究会」等を活用し、

中小企業のDX推進に取り組みます。

また、新型コロナウイルス関連の特例融資の返済が本格化するなか、

市内中小企業者に対し、経営改善計画の策定を支援するとともに、

令和5年9月に実施した事業承継に関するアンケート結果をもとに、

関係支援機関と共同で事業承継に向けた伴走支援に取り組むなど、

市内中小企業の経営基盤の強化を図っていきます。

さらに、臨海部に立地する企業や国、県等と連携・協働し、

本市産業の基盤となるコンビナートの

脱炭素化に向けた取組を促進していきます。

また、市内企業から人材確保に苦慮している声を多くお聞きしていることから、

若者の経済的な不安の解消や、市内での居住や就労につながる

効果的な奨学金返還支援制度を新たに導入します。

次に、「強くて稼げる農林水産業の振興」についてです。

まず、農業については、

次世代の担い手を確保・育成し、持続可能な農業への転換を促進するため、

就農相談から農業体験・研修、農地の斡旋、

就農後のフォローアップに至るまでの包括的な支援や、

農業参入法人や認定農業者などの

中核経営体の規模拡大に対する支援に、引き続き取り組みます。

また、自然災害等に備えて農業経営の安定化を図る

認定農業者等への支援に新たに取り組みます。

さらに、農作業の効率化・省力化や生産性の安定・向上を図るため、

引き続き、ICT・IoTを活用したスマート農業の導入や

収益性の高い農産物への転換を支援します。

また、有害鳥獣対策については、被害が顕著なイノシシの捕獲奨励金を、

県内トップレベルの水準に見直すなど、捕獲対策をより力強く進めていきます。

林業については、二酸化炭素吸収や水源かん養、災害防止など、

森林が有する多面的な機能の維持・充実を図るために、

県や関係団体等と連携して、

除伐や間伐、作業道の整備等、健全な森林資源の維持と増進に取り組みます。

さらに、本市の竹資源を積極的に活用していくため、

県や近隣市、研究機関等と連携を図り、

商品化やビジネス化に対する支援を行うとともに、

新たに、有機ネット山口西部と連携して

竹を堆肥として用いる有機農業の実証実験に取り組みます。

また、竹資源利活用の総合施設「竹LABO」の情報発信機能の強化や

来館者を受け入れるための体制整備を行います。

漁業については、就業に必要な技術の習得や生産基盤の整備、

就業後の経営の自立に向けた支援を行うとともに、

適切な資源管理や種苗放流による効果的な栽培漁業を推進し、

収益性の高い持続可能な漁業への転換を図ります。

また、多様なステークホルダーとの連携により、

うべ産水産物の認知度の向上を図り、より一層の消費拡大につなげていきます。

6次産業化・農商工連携の推進については、

地元農林水産物の消費拡大に向けて、

消費者ニーズに対応した魅力ある商品開発や地域産品の認知度向上に

取り組むとともに、県や関係機関と連携して、販路拡大の支援を行います。

市民の食を支える流通拠点である、中央及び地方卸売市場については、

再整備に向けて、市場関係者などと整備の方向性に関する協議を行い、

基本構想の策定を進めていきます。

次に、「安定した雇用の創出と産業人材の育成」として、

産業団地や工場適地への事業所誘致を推進するとともに、

その受け皿となる市内産業団地の残り区画が少なくなっていることから、

県が整備を検討している新産業団地の誘致に向けて、

適地の選定調査を進めていきます。

また、先進的分野の事業拡大を図ることで雇用創出などをもたらす

「地域経済牽引事業」に取り組む事業者を支援する本市独自の制度を構築します。

さらに、地元企業の魅力を積極的に発信することにより、

若者の地元就職を促進します。

また、健康経営の観点から、

より働きやすい職場環境づくりに取り組む事業者を支援するとともに、

企業の成長や人材不足への対応を目的とした、

中小企業等の従業員に対するリスキリングを支援していきます。

2 未来を拓くひとを育むまち

二つ目は、「未来を拓くひとを育むまち」づくりです。

まず、「子どもを生み育てやすい環境の充実」については、

妊娠期から子育て期にわたる総合的相談支援を行う

「子育て世代包括支援センター」と、

児童虐待の防止や要保護児童等の支援

及び支援を必要とする子育て家庭の相談を受ける

「子ども家庭総合支援拠点」を一体化した、

「うべこども家庭センター」を開設します。

また、養育環境等に課題を抱える家庭や子どもに対して、

家庭や学校以外の居場所となる場を提供し、個々の子どもの状況に応じて、

生活習慣の形成や学習のサポート、関係機関へつなぐなど

包括的支援を行うことにより、虐待を防止し、

子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図ります。

さらに、経済的支援として、

国主導による児童手当の抜本的拡充に加え、

本市独自の取組として、令和6年8月から、

所得制限を設けない子ども医療費の無償化を

教育費などへの負担が増える高校生の年齢まで拡大します。

加えて、産婦及び赤ちゃんの心身の健康や安心の確保に向けて

産後ケア利用料の完全無償化や新生児聴覚検査費用の助成も

新たに実施します。

また、受験生が安心して受験に臨めるよう、引き続き、

中学3年と高校3年相当の年齢の方に対し、

インフルエンザワクチンの接種費用の一部助成を行います。

次に、保育環境の充実に対しては、

現在、保育現場から保育士不足の声を数多くいただいています。

このため、従来から保育士確保対策として取り組んでいる

就職支援助成制度の対象者を、

新卒保育士に加え、潜在保育士や市外からの再就職者まで拡充します。

また、登園時やプール活動時など、特に見守りが必要な時間帯に

園児の安全管理及び保育士の負担軽減を図るために

私立保育園等がスポット支援員を配置した場合の補助など、

保育体制の強化に取り組むほか、

障害の有無に関わらず全ての子どもが使える

インクルーシブ遊具の設置に取り組みます。

さらに、保育所への入所選考にAIシステムを導入することで、

入所調整の迅速化と保護者の負担軽減を図ります。

また、学童保育については、今後の児童数の推移等も踏まえ、

上宇部地区及び黒石地区において、保育室を増築します。

次に、「子どもが健やかに育つ環境の整備」については、

子どもの将来が、その生まれ育った環境に左右されることのないよう、

生活困窮世帯の中学生を対象とした学習支援を継続して実施します。

また、子どもの健全な成長にとって重要な課題である

離婚後の養育費の不払い解消に向け、

引き続き、養育者への法律相談や公正証書の作成等を支援するとともに、

母子父子自立支援員を増員し、

様々な課題を抱えるひとり親家庭の相談体制の充実を図り、

一人ひとりに寄り添った支援を行います。

さらに、令和5年9月に締結した

公益社団法人日本ユネスコ協会連盟との

「こどもの未来共創に向けた連携と協力に関する協定」のもと、

多様な主体の参画を促しながら、未来の主役である子どもを育む

官民協働の支援ネットワークの構築を図っていきます。

また、困難な状況に置かれた子ども・若者に対する支援を強化するため、

ボスティビルド3階に設置した「若者ふりースペース」に

「こどもコーディネーター」を配置し、様々な相談をワンストップで受けるとともに、

アウトリーチを行うことで、支援が必要な子どもや家庭を早期に発見し、

積極的に情報や支援を届け、地域全体で子どもを見守る体制の構築に努めます。

加えて、「若者ふりースペース」を拡大し、

特に中学校卒業後の支援が必要な子どもも、立ち寄りやすい

活動拠点となる居場所をつくり、

学び直しや就労支援に関する講座の充実を図るなど

支援拠点の機能強化を図ります。

また、プレーパークの定期開催や

市内の様々な場所へのプレーカーの派遣を継続し、

自由な発想での遊び場を提供することで

様々な体験を通じた子どもたちの健やかな成長を後押ししていきます。

そのほか、こども基本法に基づき、

令和5年12月に閣議決定された国のこども大綱を勘案しつつ、

今後5年間の本市の子ども施策の指針とする「宇部市こども計画」を策定します。

策定にあたっては、

特に、子どもや若者の意見を反映させるとともに、

既存の子どもに係る計画を統合し、一体的に策定することで、

誰にでもわかりやすいものとします。

次に、「子どもの学びの充実と学力の向上」については、

1人1台のパソコン端末を活用した、

子どもたち一人ひとりに応じた教育を推進するため、

教員の指導力の向上や支援体制の強化、ICT環境の整備に取り組むとともに、

「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業づくりや、

小中一貫教育による9年間の学びと育ちを見通した

系統性・連続性のある指導の充実を図ります。

また、学びの成果や意欲を高めるため、

英語教育における外国語指導助手の派遣やオンライン英会話の実施、

キャリア教育における地元企業の魅力を体験できるイベントの開催など、

社会の変化に対応した実践的な教育に引き続き取り組みます。

さらに、子どもたちの将来の可能性を広げる取組として、

市内高校生を対象とした、

姉妹都市ニューカッスル市への短期留学支援制度を新たに創設し、

語学力の向上はもとより、異なる文化や価値観に触れる機会を提供します。

次に、「一人ひとりを大切にする教育の推進」として、

まず、安心・安全な施設環境を整えるため、

見初小学校体育館の改築工事を実施し、学校施設の耐震化を進めるとともに、

多目的トイレの設置など、学校施設を誰もが安心して利用するための整備を

計画的に進めます。

また、子どもたちにとって最適な教育環境を提供するため、

審議会の答申を踏まえながら、小中学校の適正規模・適正配置の計画を策定し、

その実現に向けた取組を進めていきます。

さらに、多様な学び方の一つとして、市外の児童生徒が住民票を動かさないまま、

本市の特認校等に区域外就学できる短期留学制度について、

導入を検討していきます。

いじめの問題については、「宇部市いじめ防止基本方針」に基づき、

アンケートの実施やいじめ対策推進支援員を学校に派遣するなど、

引き続き、未然防止や早期発見、早期対応に取り組みます。

また、不登校対策としては、

令和4年度の不登校児童生徒数が過去最多の331人となり、

特に小学校における増加が顕著であることから、

小学校段階における早期支援を図るため、

小学校の「校内ふれあい教室」を増設します。

さらに、特別な支援を必要とする子どもたちが

安心して学校生活を送れるように、教育支援員を増員し、

一人ひとりの特性や状況に応じた支援体制の充実を図るとともに、

子どもの貧困やヤングケアラーなど、

困難な状況に置かれた子どもたちに対しては、

スクールソーシャルワーカーが家庭を訪問し、関係機関と連携しながら、

適切な支援先につなげていきます。

また、少子化が進行するなかで、

生徒がスポーツや文化芸術などの部活動に継続して取り組んでいけるように、

学校部活動の地域連携、地域クラブ活動への移行を段階的に進めていきます。

併せて、教員が子どもに向き合う時間の確保に向けては、

教員業務アシスタントを増員するとともに、

中学校にデジタル採点システムを導入し、業務負担の軽減を図ります。

次に、「いつでも いつまでも学べる環境の充実」として、

図書館を中心とした読書のまちづくりを引き続き推進していくとともに、

宇宙教育の推進については、

本市の文化とも言える、青少年会館で実施されてきた天文教育の歴史を受け継ぎ、

これからも宇宙に対する興味や関心を高めていけるよう、

デジタル機器の活用や移動天文教室等の実体験を組み合わせながら

学びの機会を設けていきます。

3 魅力と賑わいにあふれるまち

三つ目は、「魅力と賑わいにあふれるまち」づくりです。

まず、「宇部の魅力を高めるシティプロモーションの推進」については、

市ウェブサイトやSNS等を活用するとともに、

令和6年1月に発表されたアメリカの新聞「ニューヨーク・タイムズ」による

「2024年に行くべき52か所」に

山口県央連携都市圏域の枠組みのなかで観光施策をともに進める

山口市が選ばれたことや、

令和7年度には「大阪・関西万博」の開催を控えていることを踏まえ、

インバウンド向けの情報発信を強化し、

本市の認知度向上とインバウンドの獲得に取り組みます。

さらに、地域ブランドの創出に向けて、

引き続き、専門家の知見を取り入れながら、地元産品を

本市の魅力とあわせて効果的に発信する

コンテンツの制作・活用に取り組んでいきます。

次に、「地域の魅力を活かした観光振興・MICE誘致の推進」についてです。

本市出身の庵野秀明氏の作品に関連したイベントである

「まちじゅうエヴァンゲリオン」は、回を重ねるごとに注目度が高まっており、 

地域経済の活性化や交流人口の拡大に大きく寄与しているものと考えています。

加えて、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に

『エヴァンゲリオン』シリーズの聖地として3年連続で認定されたことから、

引き続き、庵野秀明氏の作品を活用したイベントを開催するなど、

アニメ・特撮の面白さを広く発信しながら、

新たな観光資源としての魅力を高めていきます。

また、コンベンション開催に係る助成金を拡充するなど、

これまで以上に、一般社団法人 宇部観光コンベンション協会との連携を強化し、

高等教育機関や研究機関が集積する本市の強みを活かした

MICE誘致に積極的に取り組んでいきます。

さらに、ときわ公園については、

県内有数の菖蒲苑の再生に取り組むとともに

「TOKIWAファンタジア」など集客性の高いイベントや、

企業、団体及び学生との共創によるイベントを企画・運営し、

賑わいの創出を図ります。

加えて、中山間地域の振興については、

令和5年度に開設した「北部オープンプラットフォームラボ」で

提案のあったアイデア等を具現化し、引き続き、

地区を越えた北部全体の魅力、可能性を掘り起こす活動を促進することで、

交流人口の増加、賑わいの創出につなげていきます。

また、「うべKITAまつり」については、

宇部市・楠町の合併20周年記念として、

中山間地域以外からも、より多くの方々が訪れる催しに

していきたいと考えています。

次に、『「する」「みる」「ささえる」スポーツの振興』については、

市民の誰もが生涯にわたり、スポーツを通じて体力づくりや健康増進、

社会参加などを実現できるように、

一般社団法人 宇部市スポーツコミッションと連携し、

スポーツを行う機会や気軽にスポーツを始めるきっかけを提供します。

また、アーバンスポーツの国内トップクラスのパフォーマンスを

間近で観たり、体験したりできる

「UBE URBAN SPORTS FES 2024」を

中心市街地で開催するとともに、

3人制バスケットボール国内ツアー大会を引き続き誘致するなど、

若者のスポーツや文化をウォーカブル化の重要なファクターとした

まちづくりを推進します。

また、引き続き本市にゆかりのあるプロスポーツチームや

トップリーグチームと連携したまちづくりを進め、

地域経済の活性化のほか、市民の健康増進や、

子どもたちの体力向上にもつなげていきます。

さらに、恩田運動公園については、

令和6年3月に完成する野球場及び多目的グラウンドの

オープニングイベントとして、

野球場では、県外から高校野球の強豪校を招致し交流戦を実施するほか、

多目的グラウンドでは、

様々な世代が楽しめる多彩な体験イベントを予定しています。

引き続き、アーバンスポーツが楽しめるエリアや、屋根付きグラウンド、

にぎわい交流施設などの整備を進め、

令和7年4月のグランドオープンを目指します。

また、中央公園テニスコートは、

令和7年度全国高等学校総合体育大会のソフトテニス会場となります。

このため、参加選手が最高のコンディションで試合に臨めるよう、

コートの改修整備を行います。

次に、「人と地域がきらめく文化の振興」については、

10月には、第30回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の本展を開催します。

話題性を高める効果的なプロモーション活動や、

瀬戸内国際芸術祭、オーストラリア現代美術館等とも連携し、

「アートによるまちづくり」を県外及び海外にアピールし、

認知度の向上、誘客拡大を図っていきます。

また、引き続き、国指定の重要文化財である渡辺翁記念会館の

今後の活用と施設改修の方向性を示す保存活用計画の策定や、

文化会館のリニューアルに向けた耐震改修及び

大規模修繕工事を進めるとともに、

石炭記念館については、改修等に向けた基本計画の策定を進めます。

さらに、本市の歴史や文化、郷土に対する愛着と誇りを次世代へ継承するため、

宇部市史の編さんと宇部市の歴史を振り返る絵本の制作を進めていきます。

次に、「移住・定住の推進」については、

移住・定住サポートセンターにおいて、本市の魅力や強みを情報発信しながら、

新たに中山間地域にお試し住宅を開設するなど、

移住希望者のニーズに沿った支援や相談対応を、きめ細かに行っていきます。

4 誰もが健康で自分らしく暮らせるまち

四つ目は、「誰もが健康で自分らしく暮らせるまち」づくりです。

まず、「多様性を尊重する社会の構築」については、

SDGs未来都市として、共生社会実現の観点から、

誰もが生きづらさを感じることなく、安心して暮らせるまちを目指し、

宇部市人権尊重のまちづくり条例(仮)の制定に着手します。

女性活躍の推進に向けては、

宇部市女性活躍推進企業の登録拡大を図るなど、

働きやすい職場環境づくりを促進するとともに、

困難な状況に置かれた女性を支援するため、

関係機関や民間支援団体等と連携した、

相談者に寄り添った相談・支援体制の充実に努めます。

また、市内には2千人を超える様々な国籍の外国人が在住していることから、

新たに策定する宇部市多文化共生推進ビジョンに基づき、

国籍に関わらず、全ての市民が異なる文化や価値観を理解し、

誰もが安心して暮らせる地域づくりを推進していきます。

次に、「生涯を通じた健康づくりの推進」については、

国が進めている女性の健康づくりの第一歩として、

女性が罹患しやすい子宮がんや骨粗しょう症の検診受診率向上に向けて、

個別に受診勧奨を行うとともに、安心して受診していただくために、

引き続き、休日等に女性限定の集団健診を実施します。

また、令和5年度をもって「はつらつ健幸ポイント」が終了した後も、

引き続き、アプリ等のICTを活用して

市民が健康づくりに取り組める環境を維持するとともに、

健康に無関心な方も楽しみながら参加できるウォーキングイベントや、

生活習慣病予防のための体験型の取組を強化します。

特に、糖尿病については、重症化して人工透析が必要になると

日々の生活に大きな制約を受け、また、多額の医療費が必要となることから、

その対策を強化し、健康寿命の延伸を図ります。

さらに、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応の経験を踏まえ、

「宇部市新型インフルエンザ等対策行動計画」を改定し、

新たな感染症危機に備えていきます。

次に、「地域医療体制の充実」については、

休日・夜間救急診療所の受診者が増加していることから、

診療の進捗を見える化するシステムを導入し、

混雑時の待ち時間の不安解消につなげます。

また、医師をはじめとする医療従事者の不足や高齢化に加え、

医師の働き方改革が本格化することを踏まえて、

喫緊の課題である、宇部・小野田保健医療圏での救急医療体制の再構築に向けて、

関係機関と連携しながら施策の検討を進めていきます。

さらに、救急活動の迅速化、患者の情報共有の効率化を図るため、

医療機関等と連携して救急搬送システムの実証を行うとともに、

救急車の適正利用について、引き続き市民への周知啓発を進めていきます。

次に、「心かよう地域福祉の充実」については、

一人暮らし高齢者、ひきこもりや8050問題など

「身寄りがない」「相談相手がいない」といった社会的孤立の増加に対して、

関係機関と連携して相談者に寄り添った支援を行います。

また、様々な課題に対応できるよう支援のネットワークを構築するとともに、

地域においても支え合う関係性を醸成し、

地域の誰ひとり取り残さない支援の基盤づくりを進めます。

次に、「高齢者福祉の充実」については、

令和5年度に蛭子公園に設置した健康遊具の活用を推進するとともに、

高齢者が日常生活を送る力を取り戻すことができるよう、

リハビリ専門職等と協働して短期間・集中的プログラムを実施する仕組みを

構築します。

また、他者との交流が薄れ外出機会が減少傾向にある

男性高齢者を対象とした講座の実施や、

民間事業者と連携して外出機会を創出する仕組みを新たに構築することで、

高齢者の元気づくりや生きがいづくりを推進します。

さらに、「チームオレンジ」の活動とともに、

産業界、大学等と一体となって認知症に対する理解を促進し、

認知症の人やその家族が安心して地域で暮らし続けられる

まちづくりを進めていきます。

次に、「障害者(児)福祉の充実」については、

障害者等の外出支援として、福祉タクシー券の複数枚利用を可能とするほか、

当事者の意見を取り入れて

バリアフリーに関する情報を掲載した「おでかけマップ」を作成し、

活用を進めていきます。

また、近年、発達障害に関して、

早期から療育を希望する方が増加していることから

一人ひとりの成長段階に合わせて、

必要な相談支援や医療・福祉サービス等につなげ、

本人だけでなく、その家族も含めて、

切れ目なく支援ができるよう

支援ネットワークを強化するとともに、

中心的な機能を担う総合相談窓口の設置を進めます。

さらに、山口宇部空港内の「山口宇部ふれあい公園」に設置された

インクルーシブ大型遊具を活用し、障害の有無に関わらず、

子どもたちが、ともに遊び、学ぶ機会を提供することなどにより、

障害に関する理解と子どもの成長を促進し、

地域共生のまちづくりにつなげていきます。

5 安心・安全で快適に暮らせるまち

五つ目は、「安心・安全で快適に暮らせるまち」づくりです。

「市民活動・コミュニティ活動の活性化」については、

「地域活動の日」の取組を加速させ、地域活動の輪を広げていくため、

地域活動の参加者にポイントを交付する仕組みづくりを進めるとともに、

自治会業務の負担軽減につなげるため、

電子回覧板の導入について実証を行います。

また、地域活動応援サイト「チイキのチカラ」やSNSによる

効果的な地域情報の発信や共有などの充実を図ることで

地域活動の活性化を支援します。

次に、「カーボンニュートラルの推進」については、

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、

市民・事業者の創エネ・省エネに係る取組への支援や、

新たに、市公共施設を対象とした太陽光発電設備の導入可能性調査を行うほか、

教育機関や環境団体と連携した環境教育や自然環境学習を通して、

環境問題に向き合うことができる人材の育成に取り組みます。

次に、「循環型社会の構築」については、

「宇部市一般廃棄物処理基本計画」に基づき、

3R講習会の開催をはじめ、段ボールコンポストや生ごみ処理機等の普及促進、

子育て関連用品のリユースなど、市民と一体となって、

さらなるごみの減量と再資源化を図ります。

また、使用済みペットボトルを新たなペットボトルに再生する

ペットボトル水平リサイクル事業については、

令和5年度の可能性調査の結果を踏まえて、本格的に導入を進めます。

次に、「利便性の高い地域公共交通の確保」については、

運転士不足や利用者の減少などにより、

公共交通サービスの維持が大きな問題となっていることから、

運転士不足の解消に向けた運転士体験会を引き続き開催するとともに、

地域内交通をはじめとする本市を支える公共交通のあるべき姿を明確にするため、

地域に応じた望ましい公共交通のサービス水準を調査・検討します。

また、令和5年度に実施した「路線バス乗ってみよう事業」は、

事業の持続性確保の観点から運賃を無料から100円に見直し、

日頃、路線バスに乗車されない方へのきっかけづくりや、

まちの賑わい創出を目的に実施を継続します。

次に、「生活の安全性の向上」については、

青少年の健全育成・非行防止のための啓発のほか、

地域と関係機関が一体となった家庭等への働きかけやふれあい運動の推進に取り組み、

青少年の規範意識の向上、居場所づくりを進めます。

また、犯罪抑止の観点から、引き続き防犯灯及び防犯カメラの設置助成を進め、

地域の自主的な防犯への取組を支援します。

さらに、空き家対策については、

法改正により、管理が適切に行われていない「管理不全空家等」も、

固定資産税及び都市計画税の住宅用地特例の対象から除外されるなど

対策が強化されたことから、

法改正の趣旨・内容について市民にしっかりと周知を図りながら、

適正管理に向けた指導を強化するとともに、

専門家による相談会の開催や除却に要する経済的負担の軽減に加え、

「宇部市空き家流通促進プラットフォーム」を活用することで、

流通・利活用の促進等を図ります。

また、今後の空き家対策を効果的に実行していくため、

「宇部市空家等対策計画」の改定に着手するとともに、

空き家データベースを構築し、適切な管理につなげます。

次に「消防・防災の推進」については、

令和5年7月の記録的な大雨により

内水氾濫が発生した河川を中心に、

県と連携して監視カメラや水位計を設置するなど

災害に強い安全なまちづくりを進めるとともに、

がけ崩れにより家屋に影響を及ぼした土砂等の撤去に対する

支援制度を拡充します。

また、防災・危機管理に関する専門的な知識と経験を有する

退職自衛官を「地域防災マネージャー」として新たに採用し、

本市の災害対応力の向上及び関係機関との連携強化を図るとともに、

市民の防災意識を高めていくため、

引き続き防災学習の充実に取り組みます。

さらに、災害時に支援が必要な方が安心安全に避難できるよう、

地域の実情に応じた個別避難計画の作成を推進するとともに、

安心して避難生活を過ごせるよう、福祉避難所をはじめとする、

受け入れ可能な施設等との調整を行っていきます。

一方、ハード面の整備としては、宇部西消防署の建て替え工事や、

宇部中央消防署東部出張所の建て替えに向けた敷地測量、

災害備蓄品を分散配置するための防災倉庫の整備、

草江地域の浸水対策として岬明神川の拡幅整備などを進めていきます。

また、厚南エリアへの防災公園整備に向けて、造成工事等を進めていきます。

次に「活力ある都市空間の整備」については、

魅力的で利便性の高い持続可能でコンパクトなまちづくりを進めるため、

「都市計画マスタープラン」と「立地適正化計画」の見直しに着手します。

また、中心市街地の活性化を図るため、居心地が良く歩きたくなる、

「ウォーカブル」なまちづくりに取り組んでおり、

先導的にハード事業を進めている「市役所周辺地区」では、

市民の交流を生み、市民の活動を支える

市役所新庁舎2期棟の建設を本格化させるとともに、

国土交通省と連携した国道190号(常盤通り)市役所前の歩道整備や、

新庁舎広場と一体的となる真締川公園の整備などを進めていきます。

旧山口井筒屋宇部店については、建物解体工事完了後に

公共施設と民間施設からなる

新たな複合施設「常盤通りにぎわい交流拠点施設」の建設を

進めていきます。

また、中心市街地の空き物件を、

店舗やオフィスにリノベーションする経費等の一部を補助するほか、

新天町一丁目の旧松井家具跡地で民間事業者が進めている

クリニック併設型の賃貸マンションの建設については

引き続き、国の施策に基づいた支援を実施するなど、

官民連携による賑わい創出に取り組んでいきます。

さらに、今後とも、中心市街地活性化に向けた具体的な施策等を、

国の支援も得ながら、計画的・継続的に推進していくため、

「宇部市中心市街地活性化基本計画」2期計画の策定を進めます。

また、小串島地区においては、不足している道路や公共下水道など

住環境の改善に着手します。

次に「快適な生活基盤の構築」については、

「宇部市橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、

優先度の高い橋梁の修繕を計画的かつ効率的に実施するとともに、

劣化した路面標示の更新などを実施し、健全な道路環境の維持に取り組みます。

また、老朽化した火葬場の更新に向け、

新火葬場整備運営事業者を選定するとともに、造成設計業務等を実施します。

さらに、公共下水道の整備を計画的に推進するとともに、

補助金等を活用した合併処理浄化槽の普及促進により、

快適な生活環境の確保と公共用水域の水質保全を図ります。

6 計画の推進に向けて

最後に、「計画の推進に向けて」です。

まず、「効果的な行政運営システムの構築」については、

限られた行政資源で、最大の効果を発揮するため、客観的根拠や、

まちづくりの各施策と市民ニーズ等との関係性を分析する

市民意識調査の結果等を踏まえて政策の立案や効果の検証を行う、

EBPMの活用を推進していくとともに、

学識経験者や企業経営等に知見のある方で構成する

行財政改善委員会を設置し、

事務事業の見直しの実効性を高めるなど、行財政改革をさらに進めます。

また、令和5年度に策定した宇部市DX推進計画及び

アクションプランを確実に実行することで、

行政・地域・産業のデジタル化をより一層促進させていきます。

さらに、

「市民に信頼され、より良い市民サービスを提供できる市役所」となるための

市役所改革については、

「事務の適正な執行」、「業務量の増加への対応」、「人員不足への対応」、

「職員の意欲の高揚」の4つを柱に、取組を進めていきます。

具体的には、新たに、内部統制推進室を設置し、

事務の適正執行を強化していくとともに、

慢性的な業務量の増加などを解消していくため、

窓口開庁時間短縮や庁内DXの推進により、業務の効率化を図ります。

そして、働きやすい職場環境づくりを実現していくため、

時間外勤務の縮減や、

県と連携しながら「男性職員の育児関連休暇等の取得率100%」実施など、

職員の働き方改革を進めていくとともに、

行政課題・市民ニーズに、迅速かつ的確に対応できる職員を育成していくため、

人財育成基本方針の見直しにも着手します。

次に、「健全な財政運営の推進」については、

財政負担の軽減と平準化の観点から、

「宇部市公共施設等個別施設計画」に基づき、

公共施設の定期的な点検・診断により、安全性を確保しながら、

計画的な更新、長寿命化改修及び複合化を進めていきます。

また、庁舎、ふれあいセンター、小中学校などの施設管理業務を

一括して管理する、公共施設の包括管理委託の導入を進めていきます。

次に、「共創によるまちづくりの推進」についてです。

行政と産業界、大学等が一体となり地域課題の解決を図るために設立した

「うべ・未来共創プラットフォーム」では、引き続き、関係者と課題を共有し、

テーマ毎にプロジェクトを立ち上げ、具体的な取組を進めていきます。

また、地域課題の解決に向けて、

市民や企業等が主体的に取り組む公益性の高い事業を、

本市が公認のうえ、実証フィールドの提供や、広報等でサポートする支援制度と、

宇部市公式LINEを活用して市民ポイントを交付する制度を、

新たに創設し、若者をはじめ幅広い世代や団体の地域活動への参加や、

ボランティア活動、健康づくりなどを促進していきたいと考えています。

また、市民の市政への関心や参画意識を高めるため、

引き続き、広報うべやウェブサイト、SNSなど

様々な広報媒体を活用するとともに、

市長記者会見をはじめ、YouTubeチャンネルなどを通じて、

本市への思いや、やりたいことを、市民にしっかりと伝えていきます。

また、市民の声を市政に活かすため、うべ未来アドバイザーの活用や、

高校生や大学生などの若い世代を含む幅広い世代との対話、

様々な分野の関係者との意見交換などを、

機会をとらえ、可能な限り行っていきます。 

次に、SDGs未来都市の取組では、

令和5年度から開始した「SDGs私たちの未来共創補助金」に、

新たに、先導的な地域活動を促進する「地域枠」を設け

制度の拡充を図るなど、

引き続き、市民や企業等と連携し、

SDGs達成に向けた取組を推進していきます。

また、「せかい!動物かんきょう会議」や関連する出前講座を

市内小中学校と連携して進めることで、「子ども」の頃から、

持続可能な社会の実現を意識し行動できる人材育成に取り組んでいきます。

公営企業

水道事業については、

人口減少に伴い水道料金の大幅な減収が続いており、

経営環境は厳しさを増しています。

今後も水道水の安全・安心・安定供給を維持していくため、

老朽施設の更新と耐震化を計画的に進めるとともに、

経営の効率化と経営基盤の強化を図っていきます。

次に、交通事業については、

引き続き、事故防止対策を講じ、

安全・安心な運行を徹底するとともに、安定した事業運営に向けて、

「2024年問題」への対応も踏まえた運転士の労働環境の改善など、

運転士不足の解消に最優先で取り組みます。

また、ひとりでも多くの方に路線バスを利用していただくため、

高齢者を対象とした「乗り方教室」の実施や、

ICカードの普及促進に引き続き取り組みながら、

公共交通の利便性向上と利用促進を図っていきます。

むすびに

令和6年度は、私にとりまして1期4年の任期を迎える節目の年です。

本市を取り巻く社会経済情勢は、

決して予断を許さない厳しい環境ではありますが、

4年目の総仕上げとして、

これまでの取組の成果を力強い成長のうねりに変え、

将来にわたって持続可能な宇部市の未来を確かなものにしていくために、

引き続き、全身全霊を込めて取り組んでいきたいと考えています。

市議会議員各位をはじめ、市民の皆様におかれましては、

これまで申し述べました施策提案と当初予算案に対しまして、

深い御理解と御賛同を賜りますよう、

心からお願い申し上げまして、令和6年度の施政方針といたします。

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〒755-8601 宇部市常盤町一丁目7番1号

  • 市の総合的な政策の企画立案・調整及び進行管理、重要な分野別の計画及び施策の調整に関すること
    電話番号:0836-34-8113 ファクス番号:0836-22-6063

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