令和3年度(2021年度)施政方針

ウェブ番号1011442  更新日 2021年2月26日

印刷大きな文字で印刷

令和3年2月26日

宇部市長 篠﨑 圭二

はじめに

本日は、令和3年度当初予算並びにその他の諸案件につきまして、御審議をお願いするため、御参集を賜り厚く御礼を申し上げます。

令和3年3月市議会定例会の開会に当たりまして、令和3年度の市政運営に関する基本的な考え方と予算の概要について御説明申し上げ、市議会並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

市政運営に関する考え方

新型コロナウイルス感染症の影響が世界規模で拡大する中、わが国においても急激な感染拡大の進行により、本年1月には、全国で11の都府県に再び緊急事態宣言が発出されました。山口県においても、感染者が急激に増加し、本市でも医療機関でクラスターが発生しましたが、クラスター対策チームの派遣、県内の病院や看護協会と連携し、DMATを含めた医師、看護師の派遣などにより、徐々に落ち着きを取り戻してきています。市としましても、当該病院との情報共有により、病院機能の回復を後押しする対応などを行ってきました。

改めて感染された方々に謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早い御回復を心からお祈りいたします。また、市民の命を守るために御尽力いただいている医療従事者の皆様、私たちの健康や生活の維持に欠かすことのできない職業に従事されるすべての方々に、深く感謝申し上げます。

一方で、市内での新規感染者は減少していますが、依然として予断を許さない状況が続いています。市民の皆様におかれましては、引き続き、「3密の回避」、「ソーシャルディスタンスの確保」、「手洗いの徹底、咳エチケットの実施」、「マスクの着用」を基本とした新しい生活様式により、感染拡大防止対策への御協力をお願いいたします。併せて、感染症について正しく理解し、一人ひとりがお互いを思いやる心と人権意識を持って、冷静に行動されますよう御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

このような中、私は、市長就任以来、新型コロナウイルス感染症対策と、これに起因して低迷する地域経済の回復を最優先課題として市政運営に取り組んできたところです。

まず、新型コロナウイルス感染症対策として、本年1月には、来るべきワクチン接種に備えて、いち早く担当する組織を立ち上げ、体制の整備に着手しました。

また、市内でのクラスター発生により市民の皆様の不安が高まる中、冷静な対応を継続してお願いするとともに、感染拡大期に受験シーズンを迎える受験生の不安を解消するため、PCR検査等を希望する児童生徒の検査費用の一部を助成する制度を創設しました。

経済面においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が減少している市内の農業・漁業者や特産品生産者等の販路拡大を支援する うべモール型ECサイト「うべわくわく市場」をオープンし、宇部産の農水産品や特産品等の販売を開始するとともに、店舗等における さらなる非接触や感染拡大防止を図るための備品購入等の支援に再度、取り組むことといたしました。

一方で、この間にも、山口県飲食業生活衛生同業組合宇部支部から市内の飲食業への支援を求める要望が、市に対し複数回提出されるなど、長引く感染症の影響により、飲食業にとっては厳しい状況が続いています。引き続き、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などを活用して切れ目のない対策に取り組んで参ります。

次に、社会経済情勢については、令和3年2月に発表された内閣府の月例経済報告では、「景気は、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる。」との見方が示されており、長引く新型コロナウイルス感染症の影響や国際情勢などにより、依然として厳しい状況にあります。

本市においては、雇用は県内でも高い有効求人倍率を維持しており、また、景気は回復の兆しが見えるものの、特に、前述した飲食業などのサービス業を中心に、依然として厳しい状況にあります。

財政面においても、市税収入が大幅に減少する見込みであり、ごみ焼却施設の大規模な設備改修や社会保障経費の増加と相まって、厳しい財政状況が続くことが予測されます。さらには、令和2年度中に策定を予定しています「公共施設等個別施設計画」及び「学校施設長寿命化計画」の素案では、計画期間内の施設の改修や更新などに係る経費が非常に多額となることが見込まれている状況です。

次に、人口動向について、令和2年の本市の人口は、約16万3千人で、平成27年10月に策定した「宇部市人口ビジョン」の将来展望人口で ほぼ推移している状況にありますが、人口減少には歯止めがかかっておらず、引き続き、人口減少対策を強化する必要があります。

このため、少子化対策を強化するとともに、産業都市としての基盤や高等教育機関の集積、さらには、空港の立地による首都圏へのアクセス性など本市の強みを活かして、成長産業の育成など長期視点に立った取組に着手し、移住、定住施策を推進して参ります。

さらに、今年は、いよいよ市制施行100周年という大きな節目を迎えます。

福原芳山公や渡邊祐策翁はじめ、「ふるさと宇部」を築き上げた先人の方々は、「共存同栄・協同一致」の精神(こころ)のもと、産業振興や人材育成など次世代にしっかりと投資し、ふるさとの発展、地域の活性化に取り組まれました。

令和3年度当初予算編成に当たっては、100年前の市制施行の「共存同栄」の原点に立ち返り、次代への投資の観点を重視し、希望あふれる未来を展望できる施策を展開するために、昨年の選挙公約で掲げた基本政策と第四次宇部市総合計画後期実行計画を融合させた5つの基本政策を柱とし、「共存同栄 次代創造予算」として編成いたしました。

令和3年度当初予算案の概要

令和3年度の当初予算は、新型コロナウイルス感染症の影響により、市税収入の大幅な減少が見込まれ、極めて厳しい状況での予算編成となりました。

このため、既存の全事業を対象に、進捗状況や効果、優先度等を見極めながら財源を捻出し、また、国の令和2年度補正予算(第3号)も効果的に活用することで、コロナ禍において、「市民の安心・安全を守る」、そして「地域経済を支えていく」ことを前提とした、真に必要な実効性の高い事業の構築を図りました。

その結果、新型コロナウイルス感染症対策に対応する令和2年度3月補正予算と一体的に編成した、令和3年度当初予算における一般会計の予算規模は、約732億6千万円、令和2年度に比べ、約40億5千万円の増加となりました。

また、市債残高は、本庁舎建設やごみ処理施設整備などに伴う市債の発行増により、令和3年度末残高が708億6千2百万円となり、増加局面を迎えておりますが、今後、適切なコントロールにより、新庁舎1期棟完成後、一定の期間内に本庁舎建設着手前の残高まで縮減していく予定です。

なお、特別会計の予算規模は、8つの特別会計全体で413億6千9百万円となり、令和2年度と比較して1億5千5百万円の増加となっています。

それでは、令和3年度の主な取組について、まずは、令和2年度3月補正予算案で計上した新型コロナウイルス感染症対策事業について御説明いたします。

まず、「感染拡大の防止」として、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種について、県と連携して、市民の皆様が安心して接種できるよう万全の体制を整えて接種を進めて参ります。併せて、検査についても、感染状況を注視しながら、市独自の検査事業も含めた検査体制の充実を図ります。また、保育園や学童保育クラブなどの子育て関連施設や、小中学校等における感染症対策に必要な物品等を整備して参ります。

次に、「市内経済の活性化」として、新型コロナウイルス感染症の影響により冷え込んだ景気を立て直すために、プレミアム率3割、7万セットのプレミアム付商品券を発行することで、市内店舗への買い物等の需要喚起を図り、約9億円の市内経済の景気の好循環効果を見込んでいます。また、ポストコロナを踏まえた地産地消を核とする需要喚起と販売促進を支援し、減少した客足及び売上の回復を支援いたします。

さらに、市内飲食店、農林水産事業者等を支援するため、宇部の食に関するイベント「EAT UBE」を開催し、観光産業の早期回復を支援いたします。

次に、「ポストコロナに向けた経済構造の転換・新たな日常への対応」について、まず、公共施設の窓口手続きのデジタル化やキャッシュレス決済等の導入により、コロナ禍に対応したデジタル化を進めます。

経済構造の転換としては、地元企業の優れた技術を活かしたモノづくりや生産性の向上につながるICT・IoTの導入等を促進するほか、ウイズコロナ・ポストコロナにおける安心した路線バスの利用環境を整備するため、交通系ICカードシステムの導入を進めます。

さらに、新たな日常に対応するため、感染予防対策に配慮した移動式幼児用プールを設置・運営するとともに、店舗や事業所、住宅における感染症対策工事やステイホームのためのリフォーム工事を行う方の支援を行います。

その他、コロナ禍における都市部から地方へのひとの流れを促進するため、サテライトオフィスの開設やテレワークを活用した移住及び滞在の取組を支援します。

次に、令和3年度当初予算の主な取組を、まちづくりに向けた5つの基本政策に沿って御説明いたします。

1 活力に満ちた強い産業の創出

一つ目は、「活力に満ちた強い産業の創出」です。

次代を担う産業を宇部市で創出し育成していくことは、宇部市の持続的発展のためには欠かせません。地方創生における「まち・ひと・しごと」の「しごと」を創出し、「ひと」を集め、「まち」を活性化させる、良いサイクルを回していくことが必須であり、その「しごと」を生む、産業力の強化に取り組みます。先人の方々が石炭産業の恩恵の下で創出した化学産業のように、先人の方々が培われてきた今ある産業の恩恵の下で新しい次世代型産業を創出し、宇部市の未来を豊かにする産業力強化の起点となる年にしたいと考えています。

まず、「地域経済・雇用を支える地元産業の発展」として、第五次宇部市総合計画の策定に合わせて、ポストコロナなど社会経済状況の変化に対応し、安心・安定して働くことのできる将来を見据えた強い産業と魅力的な雇用の場を創出するため、課題などの現状分析を行い、将来ビジョンや戦略的な施策等を展開するための「(仮称)宇部市産業振興計画」を策定します。

また、産業集積や大学等の高等教育機関、試験研究機関の立地など、成長産業を創出するための有利な地域特性を活かし、次世代のために「産・学・公・金」の連携による「(仮称)宇部市成長産業推進協議会」を立ち上げ、医療・健康関連や、環境・エネルギー関連のほか、宇宙産業やIoT・AIなどの次世代技術関連の3つの成長産業の創出・育成と雇用の場を創出する企業誘致などに取り組み、地域産業力の一層の強化を図って参ります。

企業等の誘致については、宇部市の強みを活かしながら、産業団地等への事業所や、まちなかへのサテライトオフィスの誘致などに取り組んで参ります。

次に、「地域イノベーションの創出・新たな事業活動の育成」です。

本市では、産業や地域づくり、行政活動など様々な分野において、AIや5Gなど、先端技術の導入・展開を積極的に推進することにより、地域課題の解決や地域経済にイノベーションを創出し、市民の利便性の向上、生活の質の向上等を目指すスマートシティの実現に取り組みます。

「うべ産業共創イノベーションセンター 志」において、起業・創業や経営改善などの相談にきめ細かに対応し、スタートアップやベンチャー等の起業が生まれやすい環境づくりを進めて参ります。

次に、「農林水産業の振興・6次産業化の推進」についてです。

まず、第五次宇部市総合計画の策定に合わせて、農業、林業、水産業の現状分析、将来ビジョンや生産から販売までの戦略的な施策を盛り込んだ「(仮称)宇部市農林水産業振興計画」を策定し、強くて稼げる持続可能な農林水産業の実現を目指します。

農業については、将来にわたって農業を維持・発展させるため、就農相談から研修、農地の斡旋に至るまで包括的な支援をすることにより、新規就農・就業者の確保・育成を図るとともに、法人の農業への新規参入や集落営農法人の経営規模の拡大を支援します。

また、農作業の効率化や生産性の向上を図るため、ICT・IoTを活用したスマート農業を促進するとともに、小野地区特産のお茶のブランディングを強化することによる販路拡大、他の農産物については直売所を中心とした販売促進の取組を支援します。

林業については、森林の管理及びその資源の活用を計画的に進めるため、森林環境譲与税を活用し、森林所有者の意向を調査するとともに、ドローンによる森林の材積量調査を実施します。

さらに、豊富な竹資源の有効活用を推進していくため、繁茂竹林の整備や遊休施設を活用した民間事業者によるビジネス化にも取り組んで参ります。

漁業については、就業に必要な技術の習得や生産基盤の整備、就業後の経営自立化の支援を行うことで、担い手の確保に取り組みます。

また、消費者ニーズの高いワタリガニの種苗放流など、戦略的な栽培漁業を推進するとともに、地産地消や首都圏への販路拡大、ICT・IoTを活用した操業の効率化を支援し、持続可能で稼げる水産業の育成に取り組みます。

6次産業化の推進については、加工品の開発や販路拡大、うべ元気ブランド認証制度によるブランド力の強化に取り組むとともに、飲食店と連携したメニューの開発や食のイベント開催などによる地産地消に取り組みます。

2 未来を担う人財の育成

二つ目は、「未来を担う人財の育成」です。

まず、「妊娠・出産・育児支援の充実」については、子育て世帯に対する支援策として、医療費負担の心配なく、安心して医療を受けることができるよう、これまで一部自己負担を求めていた「子ども医療費助成制度」と「ひとり親家庭医療費助成制度」を拡充し、対象となる一定の所得以下の世帯について、医療費の自己負担を無料化します。

また、妊婦応援都市の推進として、子どもたちの成長を地域社会全体で支えていくため、企業や団体等で構成する「うべ妊婦・子ども応援団」の拡大に取り組み、その協力・連携のもと、「うべ妊婦・子ども応援助成金」や「赤ちゃん誕生おめでとう箱」の贈呈、地域における子育て支援の担い手となる「うべ子育てパートナー」の養成を進めます。

「子育て世代包括支援センターUbeハピ」においては、産後うつや育児不安の解消のための産後ケア事業の拡充をはじめ、新たに双子や三つ子など多胎児の出産・育児の支援に取り組みます。

次に、「安心して子育てできる環境づくり」については、保育園での待機児童が生じないよう、保育士の確保と、保育補助者など多様な人材の活用促進を図るとともに、新たに、医療的ケア児の受け入れ体制の整備に取り組みます。

また、本市の未来を担う、すべての子どもたちが、生まれ育った環境に左右されることなく、心身ともに健やかに育ち、自立していく環境の整備に向けて、外部の知見もお借りしながら真に必要な施策を構築する「第2期宇部市子どもの貧困対策体制整備計画」の策定に取り組みます。計画に基づき、地域において、子どもが安心して交流できる子ども食堂などの「居場所」づくりを県と連携して促進するとともに、経済的な理由から学習習慣が不足しがちな中学生を対象とした学習支援事業を実施し、高校進学などの進路選択の幅を広げます。

児童虐待の根絶に向けては、新型コロナウイルス感染症の影響により、子どもの見守り機会が減少し、児童虐待のリスクが高まっていることから、支援ニーズの高い子ども等を見守り、必要な支援につなげることができる体制を強化して参ります。

次に、「確かな学力・豊かな心を育む教育の推進」については、1人1台のパソコン端末と高速大容量の通信ネットワークを活用した、多様な子どもたち一人ひとりに応じる教育を推進するため、電子黒板の追加配置やデジタル教科書、AIドリルの導入など、小中学校におけるICT環境のさらなる充実に取り組みます。

また、「学びの創造推進事業」の成果を活かしながら、「主体的で対話的で深い学び」の視点に立った授業づくりに取り組むとともに、小中一貫教育による9年間の学びと育ちを見通した系統性・連続性のある指導の充実に取り組みます。

いじめの問題については、「宇部市いじめ防止基本方針」に基づき、アンケートやSNSによる相談などを実施し、引き続き、未然防止や早期発見、早期対応に取り組みます。

また、不登校対策については、「校内ふれあい教室」の体制を強化するなど、一人ひとりの状況に応じた適切な支援の充実に取り組みます。

特別な配慮が必要な子どもたちに対しては、教育支援員等による小中学校在学中の支援をはじめ、就学前から卒業後に渡る切れ目のない支援に取り組みます。

次に、「社会の変化に対応した特色ある教育の推進」として、英語教育については、外国人指導助手の派遣やオンライン英会話の実施などにより、義務教育9年間を通して「使える英語」の習得を目指します。

さらに、児童生徒が自分たちのありたい姿を自分たち自身で探し、実現できる力を育むキャリア教育を推進するため、中学生を対象に地元企業の魅力を体験できるイベントを開催し、自分の未来や働くことの意義を考える機会を提供することで、将来の社会的・職業的自立に必要となる能力や態度を育んで参ります。

また、将来のイノベーション人材の育成を図るため、山口大学等と連携して、子どもたちが宇宙やその先端技術に興味を抱くきっかけとなる宇宙を身近に感じる教育に取り組みます。

さらに、新たに本年2月8日に締結した「デジタル人材の育成等に関する協定」をベースに、山口大学や宇部工業高等専門学校と連携して、「ワクワク未来デジタル講座」を開講するとともに、子どもたちに対する地域教育にも取り組みます。

次に、「学校教育環境の充実」として、まず、学校施設の耐震化については、岬小学校、新川小学校、神原中学校の体育館3棟の改築工事を実施します。

また、令和3年度から、学校施設の長寿命化に向けた施設・設備の計画的な整備・改修に着手します。

さらに、地域コミュニティの拠点として、学校施設を誰もが安心して利用できるよう、バリアフリー化にも引き続き取り組みます。

3 人々が行き交うまちの創出

三つ目は、「人々が行き交うまちの創出」です。

まず、「地域特性を生かした観光・コンベンションの振興」については、県央7市町による「山口ゆめ回廊博覧会」が本開催を迎え、多くの方が本市を訪れることが見込まれることから、この機会を活かし、DMOと連携して本市の多彩な地域資源を活かした体験型観光ルートの造成や観光コンテンツを創出し、情報発信を強化することで、地域経済に好循環をもたらすまちづくりを推進します。

また、大きな遊具と駐車場を備えた、家族で出かけることができる場所が欲しいという要望を多くの市民からいただいていることから、空港というロケーションを活かして、家族がふれあい、子育て世代の憩いの場所となるよう、山口宇部空港内の「山口宇部ふれあい公園」へ大型遊具を設置することとし、令和5年春の完成を目指して関係機関と協議を進めていくことといたしました。

次に、一年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、ホストタウン相手国であるスペイン王国及びマダガスカル共和国に対する応援機運を醸成するための取組を展開しているところです。令和3年度には、宇部市共生社会ホストタウンジュニアサポーターによる現地での取材活動をはじめ、パブリックビューイングでの市民一丸となっての相手国応援や、大会終了後の両国のパラアスリートと市民との交流を進めて参ります。

次に、「ときわ公園の魅力発信」については、ときわ公園が「山口ゆめ回廊博覧会」の主会場となっているこの機会を活かし、TOKIWAファンタジアや同事業のクロージングイベントをはじめ、様々なイベントの開催を通して、ときわ公園の魅力発信を強化することで、さらなる誘客につなげて参ります。

次に、「文化・アートに親しめる環境づくり」については、第29回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の一次審査及び応募作品プラン展を開催するとともに、「市制100周年記念彫刻プロジェクト」の招待作家を決定します。また、アートを介して、ひと・もの・ことをつなぎ、まちの創造的発展に向けて自ら活動する「アートコミュニケーター」を育成し、市民が身近に文化やアートに親しめる環境づくりを進めます。

次に、「スポーツ活動の推進」については、プロスポーツチームやトップリーグチームが立地する強みを活かし、スポーツを通して豊かな心を育む教育の推進や健康寿命延伸に取り組み、スポーツによる元気な人づくり・まちづくりを一層進めて参ります。

また、恩田運動公園については、スポーツの振興と市民の憩いの場として、新たな魅力と、にぎわいあふれるエリアにするため、「恩田スポーツパーク構想」に基づき、公民連携手法による計画的な整備を進めます。

次に、「若者・女性の活躍促進」については、まず、山口大学や宇部工業高等専門学校と連携して、地域で活躍するデジタル人材を育成する講座や若者クリエイティブコンテナでのまちづくり活動につながる、山口大学との社会連携講座を開催することで、地域人材の育成や地元定着への促進につなげて参ります。

また、女性の活躍推進に向けては、うべ女性活躍応援ネットワークの活動を中心に、意識啓発や人材育成の充実を図るとともに、女子学生と女性活躍を進める市内企業による意見交換会などを通じて、学生の地元就職につながるよう支援を行います。

さらに、誰もが働きやすい職場環境づくりを促進するため、宇部市女性活躍推進企業や、うべイクボス宣言企業の拡大を図り、積極的な取組を行う企業を支援します。

また、男性の育休取得の促進に向け、企業向けの育休取得奨励助成金を充実させるなど、ワークライフ・バランスについての理解と男性の家事・育児参画を促進します。

併せて、女性の声を市政に反映させるため、引き続き、各種審議会等における女性委員の登用率向上に取り組むとともに、地域活動における女性の役員登用についても地域団体に働きかけを行って参ります。

次に、「移住・定住の促進」については、移住・定住サポートセンターにおいて、宇部市の魅力を積極的にPRしながらニーズに沿った移住相談や支援を行うとともに、首都圏等に向けた情報発信や体験ツアー等を実施し、さらなる移住者の増加につなげて参ります。

次に、「中心市街地の魅力・にぎわい創出」については、本市の喫緊の課題である中心市街地の活性化を図るため、個々の土地や建物などの点の議論ではなく、エリア全体の方向性をしっかりと見定め、面の議論を行いながら「宇部市中心市街地活性化基本計画」に基づいた様々な施策を展開し、民間活力を活用した中心市街地のにぎわい創出につなげて参ります。

「市役所周辺地区」では、中心市街地の整備を先導的に進めるため、新庁舎1期棟の建設を進めるとともに、常盤通りを中心とした回遊性向上のため、常盤通りや真締川公園などの歩行者空間等の質的向上に向けて、関係機関との協議を進めます。

旧山口井筒屋宇部店の利活用については、令和2年8月に公表した案も含めゼロベースで再度、検討するため、令和3年1月下旬から、改めて民間事業者から広く自由な事業提案を募る「サウンディング型市場調査」を実施しており、今後、これらの事業提案等や市民、市議会等の意見をお聞きしながら、利活用計画の検討を進め、令和3年中に方針決定することとしています。

この間、常盤町1丁目スマイルマーケット(通称トキスマ)は、引き続き運営をして参ります。

また、民間資金が導入され、昨秋、地域待望のスーパー等が開店した旧レッドキャベツ新天町店については、国の施策に基づいた支援を実施するなど、官民連携によるにぎわい創出に取り組んで参ります。

次に、「中山間地域の振興」については、廃校舎を活用し、豊かな自然環境の中で食とアートが融合したイベントの開催や、地域特有の伝統文化の継承を支援するなど、地域資源を活かした魅力ある中山間地域を形成するとともに、県央事業との連携による広域発信により、交流人口や移住・定住人口の増加につなげて参ります。

4 安心・安全な暮らしの確保

四つ目は、「安心・安全な暮らしの確保」です。

まず、「健康づくりの推進」については、市民が楽しみながら健康づくりに取り組むことのできるスマートウエルネスシティの実現を目指し、3年目となるICTを活用した健幸ポイントプログラムにより、健康状態の計測と見える化を行います。また、科学的根拠のある個別運動プログラムを実践することで、運動習慣の定着を図り、生活習慣病等のコントロールや重症化予防、フレイル予防など、介護予防対策に取り組みます。

併せて、特定健康診査の受診率の向上と特定保健指導を強化して、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の発症・重症化予防に取り組みます。

次に、「共生の福祉の推進」については、暮らしを支えるサービスの充実と地域福祉の推進のため、地域住民の抱える複雑化・複合化した課題に対応できるよう、「福祉なんでも相談窓口」や「宇部市成年後見センター」等の相談員のスキルアップに取り組み、地域における関係者との連携・協働の体制を強化します。

さらに、高齢者や障害者、就職氷河期などのあらゆる世代の就労支援を包括的に考える就労支援プラットフォームを構築し、アウトリーチ支援員が一人ひとりの就労や自立に向けて関係機関と連携して支援を行い、農福連携事業をはじめとした多様な働き方の提供や生きがいづくりなどの取組につなげて参ります。

また、障害のある人など、それぞれの特性に応じたコミュニケーション手段を利用できるように、コミュニケーション支援員や手話通訳者の設置、コミュニケーション支援人材の養成などを計画的に実施して参ります。

ひきこもりの人とその家族の支援体制の強化として、地域関係者などを対象とした支援人材の育成、ひきこもりの人の居場所づくりや就労の体験の場づくり等に取り組みます。

さらに、誰もが社会参加できる環境づくりを進めるため、「うべシニア大学」を開催して高齢者へ学習の機会を提供するとともに、ご近所ふれあいサロン等の生きがいづくり活動や支え合い活動などの地域活動の場を創出します。

次に、「介護予防・介護支援体制の充実」については、今後も増加が予測される認知症の方やその家族が地域で暮らすことができるよう、認知症ケアに携わる認知症地域支援推進員の知識・技術の向上を図り、地域の中で必要な支援に取り組むチームオレンジの活動を推進します。

次に、「地域コミュニティの充実」については、地域住民が主役となる「元気・安心・地域づくり」を促進するために、「地域・保健福祉支援チーム」を中心に、地域の課題解決や活性化、健康づくりや地域の支え合いにつながる取組を支援するとともに、地域への中間支援機能を強化し、地域内外の多様な人材の発掘や育成とマッチングを進めて、地域運営基盤の充実・強化を図ります。

次に、「環境保全対策の推進」については、まず、地球温暖化対策の推進として、国が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、気候変動対策や地域循環共生圏の形成を盛り込んだ新たな「地球温暖化対策実行計画(地域編)」の策定に取り組みます。

また、ごみ減量の必要性や効果について、より市民理解が進むよう、周知の機会や内容の充実を図るとともに、生ごみ処理機等の購入助成や、美観の形成とごみ収集の効率化を目的としたごみステーションの更新助成など、市民の3Rへの取組に対する支援制度等を充実し、一層のごみ減量に取り組みます。

さらには、世界規模で問題となっているプラスチックごみの削減に向けて、使い捨てプラスチック製品の利用抑制や分別回収の徹底など、廃棄されるプラスチックごみの削減や循環利用に向けた取組を進めます。

次に「災害に強い安全なまちづくり」については、令和3年3月11日には、東日本大震災から10年の節目を迎えます。

また、令和3年2月13日には、福島県沖を震源として福島県と宮城県で震度6強を観測する地震が発生しました。東日本大震災の余震と言われています。

この地震で被災された方、その御家族・関係者の皆様に、心よりお見舞い申し上げますとともに、早期の復旧をお祈り申し上げます。

本市においては、東日本大震災以降、本市の防災減災の指針となる防災基本条例の制定をはじめ、様々な取組を行って参りましたが、今後も、いかなる自然災害が発生しようとも、人命を守り、経済社会への被害が致命的にならず迅速に回復する「強さとしなやかさ」を備えたまちづくりを目指して参ります。

まず、防災情報を全市民に届けるため、屋外スピーカーの運用開始、防災ラジオの導入や固定電話一斉サービス、防災メールの拡充など、多様な伝達手段の確保、利用の促進に取り組むとともに、「逃げ遅れゼロ」を目指し、自主防災会や自治会単位での率先避難、呼びかけ避難の体制の構築、防災リーダーの育成を推進して参ります。

また、消防庁舎の老朽化対策や消防団員の確保、装備の充実などに取り組み、防災・減災力及び消防力の強化を図ります。

さらに、防災上の危険箇所のハード面の整備では、危険ため池の整備や急傾斜地の崩壊防止対策、大規模盛土造成地の滑動崩落対策、河川や水路の氾濫防止対策に取り組んで参ります。

次に、「人権の尊重」については、SDGs未来都市として、本市の市民宣言にうたわれている「人間が尊重される都市づくり」を目指し、共生社会実現の観点から、障害者や外国人、さらにLGBTをはじめとする性的マイノリティに対する偏見などの人権問題に対応していくとともに、新たな社会問題となっている新型コロナウイルス感染者等への偏見や差別の解消に取り組むなど、学校や地域、家庭、職場など様々な場を通じ、関係機関等と連携を深めながら、人権教育・啓発活動を効果的に推進して参ります。

次に「都市環境の質的整備」については、平成29年に策定した「道路の個別施設計画」(舗装編)に基づき、緊急輸送道路などの重要度の高い路線、「あんしん歩行エリア」とその周辺、損傷度の高い路線について、舗装修繕を計画的かつ効率的に実施し、健全な道路状態の維持に取り組みます。

5 ひとつになった市政の推進

五つ目は、「ひとつになった市政の推進」です。

まず、市民の市政への関心や参画意識を高めるため、ウェブサイトや様々な広報媒体の特性を活かした効率的・効果的な市政情報の発信に取り組むとともに、市民の声を市政に活かすため、私が各地域に赴き、お話を聞かせていただく市政懇談会を開催、また、インターネット市民モニター制度に地区毎のモニター枠を設定するなど、市民の声を直接聴く機会を積極的に拡充して参ります。

次に、新庁舎建設に当たり、市民生活の利便性向上や行政運営の効率化を図るため、行政手続きのオンライン化の推進やデジタル環境の整備を行うことで、市民が、いつでも・どこでも・わかりやすく利用できるデジタル市役所の構築に取り組みます。

さらに、まちづくりに向けた5つの基本政策を着実に展開し、新型コロナウイルス感染症対策など、新たな行政課題・市民ニーズに迅速かつ的確に対応できるよう、デジタル人材枠職員の採用の実施や民間人材をはじめとする外部人材の活用を行いながら、市の組織や機構を見直すとともに、市長と職員が率直に意見交換できる環境づくりに取り組みます。

また、これまでの経験に頼るだけでなく、データや根拠など、エビデンスに基づいて事業を推進していくために、データ利活用技能をはじめとする職員の能力向上を図る研修を実施します。

限られた行政資源を有効かつ効率的に活用するため、PDCAサイクルによる業務改善を全庁的に取り組んでいくとともに、事務事業の見直しをさらに進めるために民間主体で構成される委員会を組織し、外部からの視点による多様な意見を取り入れることで、持続可能な行財政運営と質の高い行政サービスの提供に取り組みます。

公営企業

上下水道事業については、水道水の安定供給の持続と、汚水・雨水を適切に排除し、公共用水域の水質保全を確保するとともに、地震などによる被害を最小限にとどめるため、浄水場や配水池、ポンプ場や合流管など老朽施設の更新と耐震化に積極的に取り組みます。

また、持続可能で安定した事業経営を行うため、水道事業の広域化の推進や下水道の整備区域の見直しに伴う合併処理浄化槽を含めた汚水整備を進めるとともに、DBO方式により工事着手している玉川ポンプ場事業など、官民連携手法に取り組んで参ります。

さらに、令和3年3月末の宇部・阿知須公共下水道組合の解散に伴い、浜田川以東の東岐波・西岐波地区の汚水整備を着実に進めて参ります。

また、市制施行100周年記念事業として、新たに下水道デザインマンホール蓋を一般公募して作成します。

次に、交通事業については、コロナ禍にあっても、市民生活に欠かせない移動手段として、車内の感染防止対策の徹底をはじめ、安心・安全な運行を行うとともに、安定した事業運営に向け、受注型の貸切業務を確実に実行するなど収益の確保に取り組みます。

また、「使いやすく、持続可能な地域公共交通網」を形成するため、引き続き、公共交通の利便性の向上を図りながら、バス事業のあり方を含めて検討し、事業実施の最適化を進めて参ります。

むすびに

以上、申し上げました事業をはじめとする諸施策の執行に当たりましては、職員と一丸となり『和衷協同』の精神で取り組んで参ります。『和衷協同』とは、100年前の国吉市長臨時代理が市制施行式において職員宛に使用した言葉であり、「心を同じくして力を合わせ、物事に取り組むこと」を意味します。私と市政の最前線に立つ職員一人ひとりが、同じ方向を向き、パフォーマンスを最大限に発揮していくことにより、「暮らし満足度ナンバー1」が実現できるよう、全力で取り組んで参る所存です。

令和3年度は、市制施行100周年という宇部市にとりまして大きな節目を迎え、次世代によりよい宇部を引き継いでいく大切な年であります。コロナ禍の厳しい状況が続いていますが、コロナだからと言って様々な事業をあきらめるのではなく、どのようにやったらできるのか等、新しい生活様式の中で、創意工夫を凝らしながら挑戦し、様々な記念イベントを含め、「オール宇部市」で力強く推進して参ります。

先人の方々が、「宇部の精神(こころ)」である「共存同栄・協同一致」を原動力に築き上げた「ふるさと宇部」を、将来にわたって輝き続ける宇部市として次の世代に引き継ぐため、令和4年度から予定しています第五次宇部市総合計画を策定し、この計画を推進するための市の組織や機構を整えた上で、活力と活気があふれるまちづくりに取り組みます。

市議会議員各位をはじめ、市民の皆様におかれましては、これまで申し述べました令和3年度の施策提案と当初予算案に対しまして、深い御理解と御賛同を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、令和3年度の施政方針といたします。

添付ファイル

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

総合政策部 政策企画課
〒755-8601 宇部市常盤町一丁目7番1号

  • 市の総合的な政策の企画立案・調整及び進行管理、重要な分野別の計画及び施策の調整に関すること
    電話番号:0836-34-8113 ファクス番号:0836-22-6063

総合政策部 政策企画課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。