令和5年度(2023年度)施政方針

ウェブ番号1018423  更新日 2023年2月27日

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令和5年2月27日

宇部市長 篠﨑 圭二

本日は、令和5年度当初予算並びにその他の諸案件につきまして、

御審議をお願いするため、御参集を賜り厚く御礼を申し上げます。

令和5年3月市議会定例会の開会に当たりまして、

令和5年度の市政運営に関する基本的な考え方と当初予算の概要について

御説明申し上げ、市議会並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

市政運営に関する基本的な考え方

(1)はじめに

私が令和2年11月に宇部市長に就任し、2年3か月が経過いたしました。

就任直後から、新型コロナウイルス感染症の影響は、

市民生活のあらゆる場面に影を落とし、

また、新たな変異株が広がりを見せるなど、先行きが見通せない状況にありました。

この間、何よりも市民の皆様の命と暮らしを守ることを最優先に、

市内における感染状況や地域経済の実情を勘案しながら、

対応に当たってまいりました。

市民や事業者の皆様には、長期にわたり御理解と御協力をいただいていることに、

深く感謝を申し上げます。

 

一方で、コロナ禍にありながらも、この2年余りの間、

第五次宇部市総合計画にもつながる、私の公約である「強い産業の創出」、

「未来を担う人材の育成」、「人々が行き交うまちの創出」、

「安心・安全な暮らしの確保」に関連した施策も、

一つひとつ丁寧かつ着実に進めることができました。

 

強い産業の創出では、令和3年5月に立ち上げた

産学公金からなる宇部市成長産業推進協議会を核とし、

全国でもトップレベルの規模となる

補助金制度の創設などによる支援を進めました。

その結果、令和4年度には成長産業のスタートアップ支援の第1号として、

衛星データを活用したインフラ監視サービスを提供する企業が

本格的に事業をスタートしたほか、

「ときわ公園チャレンジ」への参加を契機に、

ドローンビジネスを展開する企業の市内進出も実現しました。

また、これらの本市が支援するプロジェクトは、

経済産業省のビジネスコンテストでの表彰や

山口県の補助事業の採択を受けるなど、

国や県などからも、高い評価をいただいているところです。

このほかにも、産業振興計画や農林水産業振興計画を策定し、

それぞれの事業者に寄り添った施策を展開しています。

 

また、未来を担う人材の育成では、

大学と連携した小児救急医療提供体制の確立や

子ども医療費助成制度の所得制限撤廃、

早い段階から自らの将来を考える機会としての職業体験学習の実施、

多様な学びの機会を提供するふれあい教室の充実や

フリースクール等利用支援補助金の創設のほか、

子どもの将来が生まれ育った環境に左右されることがないよう、

山口県内で初めて、子どもの健全な成長にとって重要な課題である

養育費確保に対する支援を開始しました。

 

次に、人々が行き交うまちの創出では、

特に中心市街地の活性化に向けて、市長就任時に重要課題であった

旧山口井筒屋宇部店跡地の利活用について、ゼロベースで検討を始め、

先般の12月議会では、その利活用案について御承認をいただき、

さらには、常盤通りを中心としたウォーカブル化の実証事業などの取組が、

市民の皆様の御協力を得ながら着実に進んでいます。

また、「まちじゅうエヴァンゲリオン」など、

本市ならではのコンテンツを活用した観光イベントの実施や

プロスポーツチームとの連携によるまちの賑わいも生まれてきています。

加えて、子育て世帯からたくさんの要望の声があった

大型遊具公園の整備にも着手できました。

 

そして、安心・安全な暮らしの確保では、

市長就任直後に、現地を視察した厚南地区の旭ヶ丘団地内の地すべり対応に始まり、

今なお続く新型コロナウイルス感染症への対策のほか、

地域内交通による移動手段の確保や健康寿命延伸プログラムの充実、

さらに、防災ラジオの貸与・販売や

地域における見守り体制の構築等による災害対応力の強化などを

進めることができました。

 

これまでに、公約で掲げた施策のうち、ほぼ全てに着手しており、

人口減少対策や賑わいづくりといった大きな課題への対応として、

様々な施策が具体的に動き始めているところです。

そのような取組を進める中、

私が心がけていることは、「答えは現場にある」との考えのもと、

直接、市民や事業者、また様々な団体の皆様からの御意見を伺うとともに、

現場に赴き、そこで見て感じたことを大切にしながら、

市政運営を進めていくことであります。

このため、市内全24地区で開催している市政懇談会や

中心市街地の活性化をテーマにした高校生との対話など、

直接、幅広い世代の方々から、

多くの御意見やまちづくりへのアイディアをいただいているところであり、

特に、将来のまちの担い手である

若い世代の声をしっかりと市政に反映させる事が重要であるとの認識から、

宇部未来アドバイザーも任命いたしました。

今後も、まちづくりを進めるに当たっては、

第五次宇部市総合計画の大きなテーマである市民と共に創る「共創」の考えのもと、

直面する課題に真摯に向き合い、着実に歩みを進めるとともに、

このまちの可能性を信じ、新たな挑戦を続けながら、

未来に向けたまちづくりに全力で取り組んでいきます。

(2)現状認識

次に、市政を取り巻く現状に対する認識について申し上げます。

 

ア 新型感染症など変化する状況

近年、私たちを取り巻く状況は、

新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の人為的な抑制、

さらには、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響による

サプライチェーンの混乱や物価高騰など、

想定を超える状況の変化が次々と発生しています。

こうした変化は、個人や地域の活動の停滞にとどまらず、

社会経済活動全体への打撃となっており、

本市も大きな影響を受けているところです。

 

そのような中、コロナ禍及び物価高騰への対策を最優先として、

令和4年度は、オミクロン株対応を含め、コロナワクチンのブースター接種や

受験生に対するインフルエンザ予防接種費助成事業のほか、

過去最大規模でのプレミアム付商品券事業や

事業者に対するエネルギー価格高騰対策事業、

水道の基本料金の無償化など、

市民や事業者、商工会議所など様々な団体の皆様からの御意見・御要望に応えて、

随時、予算を補正しながら対応してきました。

 

一方、国においては、新型コロナウイルス感染症について、

感染症法上の分類の見直しが進められるなど、

ポストコロナに向けた出口戦略に舵を切る局面を迎えており、

本市においても、感染症の状況をしっかりと注視しながら、

日常生活や社会経済活動を新しい平時に転換する必要があるものと

認識しています。

 

イ 人口減少への対応

日本の人口減少は止まらない状況が続いています。

日本全体で人口減少が進み、

特に少子化は、国の予想を8年も上回るペースで進行しており、

令和4年は、統計開始以降初めて、

出生数が年間80万人を割り込む見込みであるとの報道もありました。

今後、世界に類を見ない超高齢社会を迎える我が国にあっては、

一つのターニングポイントとされる、

団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年に向けて、

生産年齢人口や年少人口が減少し続けることで、

人口構造が大きく変わっていきます。

本市の状況に目を向けると、人口、出生数ともに減少傾向にあり、

令和4年10月1日現在の人口は160,690人と、

1年間で1,380人減少しており、

その内訳は、出生者と死亡者の差による自然動態で1,321人の減、

さらに、転入者と転出者の差による社会動態で59人の減となっています。

昨年4月にスタートした「第五次宇部市総合計画」においても、

本市のまちづくりの課題として、人口構造の変化への対応を第一に掲げており、

今後、人口減少や少子高齢化については、

本市が取り組むべき、重要かつ最大の課題であると認識しています。

(3)取組の方向性

私は、市長就任以来、

足元の課題に的確に対応することで、市民の生活を支えると同時に、

先行きが不透明な時代にこそ、未来に向けた明確なビジョンを描き、それを実行し、

まちが変わっていくことを実感していただくことが重要であると考え、

未来に向けた まちづくりや人づくり、産業づくりなど、

未来への投資にも注力してきたところです。

 

令和4年度は、本市の新たな100年に向けて、

第五次宇部市総合計画がスタートし、

成長産業や中心市街地の賑わい創出など、新しい取組が着実に進み、

これまで撒いてきた種の芽吹きを感じられた年となりました。

これらの芽が本市の発展を支える幹となるように、

「共創」のもと、多様な主体が連携したまちづくりをより一層進めることが

私の使命であると決意を新たにしています。

 

令和5年度においては、

引き続き、新型コロナウイルス感染症や物価高騰に適切に対応していくとともに、

ポストコロナも見据えて、市民の安心・安全な暮らしを守ること、

そして地域経済を支えていくことを最優先に、機動的に取組を行っていきます。

また、第2期宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略の取組と合わせ、

総合計画に掲げた5つの基本目標の実現に向けて、

あらゆる施策を総動員し、人口減少の抑制につなげていきます。

さらに、本市が活力に満ちた都市であり続けるための投資はもちろん、

行政サービスのデジタル化、さらにはSDGsへの貢献や温室効果ガスの削減など、

本市の未来を創るための様々な課題に対しましては、

既存の価値観や慣例にとらわれずに、共創の取組を進める中で、

新たな価値を創造し、提供することで解決につなげていきます。

第五次宇部市総合計画前期実行計画に掲げた

4つの重点プロジェクトを中心に、

施策を関連付けながら横断的に実施することで、

人口減少をはじめとする複合的な課題の解決につなげ、

本市が目指す将来都市像

「ひとが輝き 交流ひろがる わたしたちの宇部(まち)」の実現を

力強く推進していきます。

令和5年度の主要な取組

重点1「暮らし安心・安全プロジェクト」については、

冒頭で申し上げましたとおり、

市民の安心・安全と社会経済活動の下支えのための対応を

適時、適切に実施していきます。

加えて、市民の生活の土台となる、自治会やコミュニティの活性化に向け、

「地域活動の日」をスタートし、事業者にも協力を得ながら、

仕事を持つ人でも様々な市民活動に参加しやすい環境づくりを進めていきます。

また、地域の消防力、防災力を高めていくため、

老朽化した消防庁舎の建て替えを進めるほか、

引き続き、地域で呼びかけあって避難する体制づくりに取り組んでいきます。

 

重点2「たくましい産業育成プロジェクト」については、

現在、先進的かつ有望な研究シーズを活用した

成長産業分野における起業や事業化を支援する取組を進めており、

宇宙関連分野における起業の実現や、

県の補助制度による新規採択テーマの全てに本市に関連する企業が参画するなど、

その成果が着実に現れてきています。

今後も、産学公金の緊密な連携のもと、

この取組を更に加速化させ、成果の拡大を目指していきます。 

また、昨年5月には、本市の起業創業支援施設である「うべスタートアップ」に、

県のDX推進拠点「Y-BASE」の県内初のサテライト施設として、

「Y-BASE・宇部ブランチ」を開設しました。

デジタル技術を活用した新たな価値やビジネスモデルの創出に向け、

県とも連携しながら、DXの推進に取り組んでいきます。

 

次に、重点3「子ども未来応援プロジェクト」についてです。

私は、未来の主人公である子どもたちを大事にできないまちに

未来はないと考えています。

また、子どもや子育てを応援することは、人口減少問題の解決にもつながります。

そのために、

子どもたちが自分の夢や希望を実現できるように支援していくことや、

経済的な負担を理由として子どもを持つことを諦める方を

なくしていく取組が必要です。

昨年は、中学生までの子ども医療費の完全無償化を実現しました。

令和5年度も、困難や課題を抱える子どもたちやその保護者に寄り添う施策、

複数の子どもを育てる家庭の保育に係る負担を軽減する施策など

新たな事業を展開していきます。

未来に向け、子どもの笑顔があふれ、夢を叶えられるまちづくり、

そして、本市に生まれ育った方はもちろん、本市へ移り住んだ方、

本市と関わりを持った方など多くの方々から、「子育てするなら宇部」と

選んでもらえるまちづくりを力強く継続していきます。

 

重点4「まちの賑わい創出プロジェクト」については、

国の政策とも連動させながら、まちなかのウォーカブル化をはじめ、

中心市街地の活性化に向けた取組を着実に進めていきます。

旧山口井筒屋宇部店跡地に関しては、昨年12月の市議会定例会にて、

「宇部市常盤通りにぎわい交流拠点施設条例」について

御承認をいただき、既存建物の解体工事を開始するなど、

中心市街地の新たなにぎわい創出拠点の整備がいよいよスタートしました。

そして、令和5年度には、

市役所新庁舎2期棟や常盤通りのウォーカブル化整備に着手するなど、

まちの姿を大きく変貌させていきます。

併せて、アニメなどのサブカルチャーや若者に人気のアーバンスポーツ、

そして、好評を得ている

常盤通りのウォーカブル化の社会実験「ときわいこっと」など、

各種イベントを契機として、

日常的に様々な体験や交流ができる居心地のいい空間を形成していくことで、

ワクワク感を高め、新たな中心市街地への市民の期待を膨らませていきます。

また、 デジタル技術が急速に発展していく中、

市役所においてもDXを積極的に推進していくため、

民間から新たにCIO補佐官を登用するなど、

市民サービスの向上と職員の働き方改革につなげます。

さらに、連携・共創の強化に向けては、市の考えや行おうとしていることを

市民にしっかりと伝えることが肝要です。

YouTubeチャンネルなどを通して、情報発信に努めるとともに、

市政懇談会などで私自身が率先して、市民の声に耳を傾けるなど、

広報広聴に努めていきます。

令和5年度当初予算案の概要

こうした考えのもと、令和5年度当初予算は、

「コロナ禍、物価高騰への対応」を第一に、

「市民の安心・安全な暮らしを支える」、 

「社会変革を成長へつなげる産業振興」、

「子ども・子育てへの支援の拡充」を加えた4つの項目を最重要課題としました。

併せて、「中心市街地の活性化」についても、

ハード・ソフト両面での取組を着実に進めていくこととし、

EBPMの手法や外部評価の活用により、

必要性、効果性の高い事業の構築を図りました。

その結果、一般会計の予算規模は、699億4千万円、

特別会計の予算規模は、6つの特別会計全体で

412億7千9百万円となりました。

なお、予算編成に当たっては、安定した財政基盤の確立にも留意し、

市債残高の抑制と財政調整基金残高の留保に努めたことで、

令和5年度末の市債残高は、約666億9千7百万円となり、

令和4年度と比較して約8億8千4百万円の減少、

また、令和5年度末の財政調整基金残高は、

約44億8千5百万円となる見込みとなっており、

財政運営の持続性を確保しながら、各種施策に取り組みます。

 

それでは、令和5年度の取組についてです。

まずは、コロナ禍および物価高騰への対策の主なものについて、

御説明いたします。

まず、新型コロナワクチンの接種については、国の方針に沿って、

市民への分かりやすい情報提供と市民に寄り添った相談体制の構築に

取り組んでいきます。

また、公立小中学校における、

食材費の高騰による給食の質・量の低下と保護者負担の増加を防ぐため、

給食費を超える食材費の増加分の公費負担も継続します。

 

次に、長期化する新型コロナウイルス感染症や

物価高騰等の影響を受ける市民・事業者の双方を支援して、

市内経済を活性化することを目的に、

令和4年度に続き、「宇部市プレミアム付商品券」を販売するとともに、

原油価格・エネルギー価格の高騰による経済活動への影響を緩和するため、

市内事業者が事業活動において使用する

電気代、ガス代、ガソリン代等の支援を実施します。

さらに、健康・省エネに資する住宅リフォーム工事に対する

支援も継続していきます。

 

続いて、「第五次宇部市総合計画前期実行計画」の体系に沿って、

当初予算の主な取組を御説明いたします。

1 活力に満ちた強い産業のまち

一つ目は、「活力に満ちた強い産業のまち」づくりです。

「ひと」が集まり、暮らしたくなる「まち」として、

本市が発展をしていくために、

まずは、強い産業への転換や魅力的な雇用の場の創出など、

「しごと」を創り出すことが重要であり、

産業に携わる様々な関係者との共創のもと、

「宇部市産業振興計画」と「宇部市農林水産業振興計画」に基づく施策を

効果的に推進することで、産業力の強化に取り組んでいきます。

 

まず、「未来を支える成長産業の創出」については、

産学公金の連携による「宇部市成長産業推進協議会」を中心に、

医療・健康や宇宙産業などの成長産業分野における起業や

研究開発・事業化に対する支援を拡充するとともに、

中長期的な視点から、関連企業の誘致・集積の核となりうる

先端的研究分野への支援も新たに実施します。

また、ときわ公園を実証フィールドとして活用する

「ときわ公園チャレンジ」についても、

学生等の参加機会の充実などを通じ、

産業人材の育成や企業誘致といった成果の拡大を目指して取り組みます。

さらに、「うべスタートアップ」においては、

成長産業の創出・育成に向けた取組との連携を強化するとともに、

山口県のDX推進拠点である「Y-BASE」のコンサルティングと連動した

ハンズオン支援に取り組みます。

加えて、メタバースなど、最新のデジタル技術の活用については、

市内企業における利活用と、

それらをツールとして駆使できるデジタル人材の育成を併せて進めることで、

相乗効果が発揮されるよう取り組んでいきます。

 

次に、「地域を支える商工業の振興」として、

市内事業者の生産性向上とものづくりの高度化・スマート化を推進するため、

市内事業者で構成する「うべ中小企業等DX研究会」等を活用し、

中小企業のDX推進に取り組みます。

また、昨年12月に地元経済団体とともに協定を締結した、

「同志社大学 中小企業マネジメント研究センター」が実施する

市内中小企業の持続可能な経営に関する調査・研究を支援し、

優良事例やノウハウを共有するとともに、

関係支援機関と連携した事業承継や販路拡大等の取組を進め、

市内中小企業の経営基盤の強化を図っていきます。

さらに、市内コンビナート企業等の脱炭素化の取組を支援します。

 

次に、「強くて稼げる農林水産業の振興」についてです。

まず、農業については、 

次世代へつなぐ担い手を確保・育成し、持続可能な農業への転換を促進するため、

就農相談から農業体験・研修、農地の斡旋、

就農後のフォローアップに至るまでの包括的な支援をより強化するとともに、

農業参入法人や認定農業者などの中核経営体の規模拡大に対する支援を

実施します。

また、農作業の効率化や生産性の安定・向上を図るため、

引き続き、ICT・IoTを活用したスマート農業の導入や

収益性の高い農産物への転換を支援するとともに、

有害鳥獣の捕獲対策を進めていきます。

林業については、二酸化炭素吸収や水源かん養、災害防止など、

森林が有する多面的な機能の維持・充実を図るために、

県や関係団体等と連携して、

除伐や間伐、作業道の整備等、健全な森林資源の維持と増進に取り組みます。

さらに、本市の竹資源を積極的に活用していくため、

事業者や研究機関等と連携した商品化やビジネス化に対する支援を行うとともに、

県と連携して、広域での竹資源の利活用に取り組みます。

漁業については、就業に必要な技術の習得や生産基盤の整備、

就業後の経営の自立に向けた支援を行うとともに、

適切な資源管理や種苗放流による効果的な栽培漁業を推進し、

収益性の高い持続可能な漁業への転換を図ります。

また、多様なステークホルダーとの連携により、

うべ産水産物の認知度の向上を図り、より一層の消費拡大につなげていきます。

6次産業化・農商工連携の推進については、

農林水産物や地域産品の消費拡大に向けて、

消費者ニーズに対応した商品開発や

既存商品のブラッシュアップに対する支援を行うとともに、

県や関係機関と連携して、販路拡大の支援を行います。

市民の食を支える流通拠点である、中央及び地方卸売市場については、

長期的な視点に立った市場の再整備に向けて、

現在、基本方針の策定に取り組んでいるところであり、

この基本方針をもとに具体的な検討を進めていきます。

 

次に、「安定した雇用の創出と産業人材の育成」として、

産業団地や工場適地への事業所誘致を推進するとともに、

首都圏等の企業をターゲットにサテライトオフィスの誘致に取り組みます。

また、地元企業の魅力を積極的に発信することにより、

若者の地元就職を促進します。

さらに、健康経営の観点から、

より働きやすい職場環境づくりに取り組む事業者を支援するとともに、

中小企業等の経営者や従業員に対する能力開発、

専門的な知識の向上に向けた取組を支援していきます。

2 未来を拓くひとを育むまち

二つ目は、「未来を拓くひとを育むまち」づくりです。

まず、「子どもを生み育てやすい環境の充実」については、

病気の早期発見・対応や、

子育て、保育に関する支援を行う機会を増やし、

児童虐待等のリスクの早期発見にもつなげるため、

新たに、1歳児健康診査を導入し、

妊娠・出産・子育て期における切れ目ない支援体制の

更なる充実を図ります。

保育環境を充実させるための取組については、

県内初の新たな経済的支援として、

所得制限や第1子の年齢制限を設けない第2子以降の保育料の無償化を

令和5年9月から開始します。

また、保護者の負担軽減を図るため、使用済みのおむつを

保護者に持ち帰らせることなく、保育所等で処分する取組を進めるとともに、

従来から取り組んでいる保育士確保策に加え、

幼稚園に就職する方に対しても就職支援金を助成することにより、

幼稚園教諭の人材確保に取り組みます。

さらに、タブレット端末で宿題ができるよう、

学童保育室にWi-Fi環境を整備するとともに、

病児・病後児保育施設の予約や空き状況の確認が、24時間いつでもできるよう、

オンライン予約システムを導入するなど、ICTの活用も進めていきます。

また、おたふくかぜワクチンについては、

1回目の接種費用の一部助成に加え、2回目の一部助成を開始し、

罹患及び合併症、集団感染の予防を図ります。

そのほか、子育て世帯に必要な支援を届けるため、

「妊婦・あかちゃん応援給付金」による

経済的支援と伴走型相談支援を一体的に実施します。

 

次に、「子どもが健やかに育つ環境の整備」については、

子どもの将来が、その生まれ育った環境に左右されることのないよう、

「第2期宇部市子どもの貧困対策推進計画」に基づき、

生活困窮世帯の小中学生を対象とした学習支援を継続して実施します。

また、子どもの健全な成長にとって重要な課題である

ひとり親家庭の離婚後の養育費の不払い解消に向け、

令和3年度からの2年間実施した法務省のモデル事業の実績を踏まえながら、

新たに独自の制度として、養育者への法律相談や公正証書の作成を支援します。

さらに、一般的に大人が担う家事や家族の世話などを

日常的に行っている「ヤングケアラー」や子どもの貧困などをはじめ、

様々な困難を抱える子どもの支援体制を強化するため、

新たに「こどもコーディネーター」を配置し、

関係機関のネットワークを通じて、具体的な支援につないでいき、

生まれ育った環境に関わらず子どもたちが笑顔で成長できる

温かな支援環境を整えます。

また、令和5年4月1日から施行されるこども基本法に基づき、

子ども施策に子どもの意見を反映するための

アンケート調査等を実施します。

加えて、子育ての孤立化を防止し、育児不安の解消につなげるため、

現在、黒石ふれあいセンターに開設している子育てサークルを

ゆめタウン宇部店内に移設し、

西部地域の子育て支援センターとして、機能強化を図ります。

児童虐待の根絶に向けては、関係機関や地域、民間団体等との連携を強化し、

要保護児童等の支援や支援が必要な子どもの早期発見、

虐待の未然防止に積極的に取り組みます。

そして、令和5年5月に完成予定の

山口宇部空港内の「山口宇部ふれあい公園」では、

大型インクルーシブ遊具の設置に伴い、屋外施設である特徴を活かし、

開放的なスペースで、障害の有無に関わらず、気軽に子どもや子育て家族が集い、

打ち解けた雰囲気の中、外遊びの紹介や育児相談を行うなど、

子育て世代の交流や情報交換の場として、

ソフト面の充実も図っていきます。

そのほか、これまで定期開催してきたプレーパークに加え、

新たに、プレーカーを市内の様々な場所に派遣し、

時間や場所にとらわれない遊びの場の提供による様々な体験を通じた

子どもたちの健やかな成長を後押ししていきます。

 

次に、「子どもの学びの充実と学力の向上」については、

1人1台のパソコン端末を活用した、

子どもたち一人ひとりに応じた教育を推進するとともに、

教員のICT活用力の向上に取り組むほか、

学習のつまずきが生じやすい小学校3・4年生の課題を検証し、

効果的な学習を行うことで、基礎学力の定着を図ります。

また、「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った

授業づくりに取り組むとともに、

小中一貫教育による9年間の学びと育ちを見通した

系統性・連続性のある指導の充実を図ります。

さらに、学びの成果や意欲を高めるため、

英語教育における外国語指導助手の派遣やオンライン英会話の実施、

キャリア教育における地元企業の魅力を体験できるイベントの開催など、

社会の変化に対応した実践的な教育に取り組みます。

 

次に、「一人ひとりを大切にする教育の推進」として、

まず、安心・安全な施設環境を整えるため、

神原小学校体育館の改築工事や見初小学校体育館の改築実施設計を実施し、

学校施設の耐震化を進めます。

また、小中学校特別教室への空調設備設置をはじめ、

学校施設を誰もが安心して利用するための

バリアフリー化やトイレの洋式化など、

学校施設の長寿命化改修に計画的に取り組みます。

いじめの問題については、「宇部市いじめ防止基本方針」に基づき、

アンケートやSNSによる相談などを実施するとともに、

いじめ対策推進支援員を学校に派遣するなど、

引き続き、未然防止や早期発見、早期対応に取り組みます。

また、子どもの貧困、ヤングケアラー、不登校など、

様々な困難を抱える子どもたちに対する適切な支援につなげるため、

スクールソーシャルワーカーを増員し、支援体制を強化するとともに、

新たに小学校に「校内ふれあい教室」を設置するなど、

一人ひとりの状況に応じた学びの機会の充実を図ることで、

将来の社会的自立に向けた支援に取り組みます。

併せて、特別な支援を必要とする子どもたちが安心して学校生活を送れるように、

教育支援員を増員し、学校や関係機関等と連携しながら、

一人ひとりの特性や状況に応じた支援体制を整えるとともに、

子どもたちが、校則の見直しに、より主体的に参画できるよう、

各学校における仕組みづくりを支援します。

さらに、子どもたちにとって最適な教育環境を提供するという観点から、

小中学校の適正規模・適正配置の計画策定を進めます。

 

次に、「いつでも いつまでも学べる環境の充実」として、

市民ニーズに対応した生涯学習環境の充実を図り、

読書のまちづくりを推進するため、

市立図書館のリニューアルに向けた基本設計に着手します。

また、地域住民による主体的な地域づくりにつなげるため、

地域における社会教育活動を支援します。

さらに、少子化が進行する中で、

生徒がスポーツや文化芸術などの部活動に継続して取り組んでいけるように、

学校部活動の地域連携、地域クラブ活動への移行を段階的に進めていきます。

3 魅力と賑わいにあふれるまち

三つ目は、「魅力と賑わいにあふれるまち」づくりです。

まず、「宇部の魅力を高めるシティプロモーションの推進」については、

市ウェブサイトやSNS等を活用するとともに、

新たに、宇部市の「泊まる」、「食べる」、「遊ぶ」を紹介する

インフルエンサーを活用した動画や電子雑誌などを作製し、

より多くのターゲット層に効果的に届けることで、

本市の認知度や観光意欲度の向上につなげていきます。

また、宇部フィルムコミッションと連携し、

新たに創設する助成制度を活用しながら、

テレビドラマや映画などのロケーション誘致を引き続き推進していきます。

さらに、地域ブランドの創出に向けて、

様々な分野の関係者や地元事業者同士の交流・連携を図り、

地元産品の魅力向上、情報発信力の強化に取り組んでいきます。

 

次に、「地域の魅力を活かした観光振興・MICE誘致の推進」についてです。

本市は、全世界のアニメファンが選ぶ「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に、

新世紀エヴァンゲリオンの聖地として、昨年に引き続き、2年連続で認定されました。

全国的に注目が集まるこの機会を活かし、

本市出身の庵野秀明氏の作品に関連したイベントを引き続き開催し、

本市ならではの魅力を発信することで、交流の創出につなげていきます。

また、一般社団法人 宇部観光コンベンション協会(DMO UBE)と連携し、

MICE主催者への助成金を拡充することで、

MICE誘致に積極的に取り組むとともに、

近隣自治体との連携による周遊の促進を図り、

賑わいの創出や地域経済の活性化につなげていきます。

さらに、ときわ公園については、

「TOKIWAファンタジア」や「ナイトミュージアム」など、

集客性の高いイベントを実施するとともに、

新たに県内の学生が企画・運営するにぎわい創出イベントや、

地元事業者との連携による

本市の食材等を活かしたTOKIWAマルシェの開催など、

ソフト面の魅力向上を図ります。

加えて、中山間地域の振興については、共創によるまちづくりの考えのもと、

令和4年度に開催したシンポジウムで、

様々な可能性が潜在していることが確認された北部地域の

住民や事業者が地区を越えて意見交換をする場として、

「北部オープンプラットフォームラボ」を開設し、

今後の北部地域のあるべき姿を共に考え、

交流人口の増加、賑わいの創出を目指します。

 

次に、『「する」「みる」「ささえる」スポーツの振興』については、

市民の誰もが生涯にわたり、スポーツを通じて体力づくりや健康増進、

社会参加などが実現できるように、

一般社団法人 宇部市スポーツコミッションと連携し、

スポーツを行う機会や気軽にスポーツを始めるきっかけを提供します。

特に、若者に人気の高いアーバンスポーツの推進のため、

3人制バスケットボール国内ツアー大会に加え、

新たにパルクール日本選手権を招致するなど、

スポーツ離れが懸念される若年層へ積極的にアプローチを行います。

また、本市にゆかりのあるプロスポーツチームや

トップリーグチームと連携したまちづくりを推進することで、

交流・関係人口の増加や地域経済の活性化を図るとともに、

市民の連帯感やシビックプライドの醸成につなげていきます。

さらに、恩田運動公園については、

スポーツの振興と市民の憩いの場としての

新たな魅力と賑わいがあふれるエリアにするため、

スケートボードやBMXなどのアーバンスポーツが楽しめる

都市型スポーツ広場や屋根付きグラウンドの新設、

野球場や俵田翁記念体育館の改修など、「恩田スポーツパーク構想」に基づき、

公民連携手法による計画的な整備を進めていきます。

 

次に、「人と地域がきらめく文化の振興」については、

庵野秀明氏が生まれ育ったまちとして、アニメ・特撮文化の魅力を市民に発信し、

新たな文化資源の創出に取り組みます。

また、第30回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の公募及び

応募作品展を開催するとともに、

これからの持続可能な現代日本彫刻展の在り方を検討し、ビジョンを策定します。

文化施設については、市民の皆様には、長期間にわたり御迷惑をおかけしますが、

文化会館の耐震改修及び大規模修繕を行うとともに、

国の重要文化財である渡辺翁記念会館の

今後の活用や施設改修の方向性を検討するため、保存活用計画を策定します。

さらに、本市の歴史や文化、郷土に対する愛着と誇りを次世代へ継承するため、

宇部市史の編さんと宇部市100年の歴史を振り返る絵本の制作を進めていきます。

 

次に、「移住・定住の推進」については、

移住・定住サポートセンターにおいて、本市の魅力や強みを情報発信しながら、

ニーズに沿った移住相談や支援を行うとともに、

移住体験ツアーやお試し住宅の実施などにより、

更なる移住者の増加につなげます。

併せて、結婚定住を促進するイベントの開催や移住助成金制度の拡充など、

若者・子育て世代をターゲットに定住・定着に向けた取組を推進します。

また、将来的な移住を見据えて、

本市を応援してくださる方や地域の担い手として関わってくださる方など、

多様な形で本市と継続的に関わる関係人口の創出・拡大を図ります。

4 誰もが健康で自分らしく暮らせるまち

四つ目は、「誰もが健康で自分らしく暮らせるまち」づくりです。

まず、「多様性を尊重する社会の構築」については、

SDGs未来都市として、共生社会実現の観点から、

誰もが生きづらさを感じることのないよう、

障害者や外国人、性的マイノリティに対する

偏見や差別などの人権問題に対応していくとともに、

様々な人権問題に対する相談体制の充実に努めます。

また、女性活躍の推進に向けては、意識啓発や人材育成の充実を図るとともに、

働きやすい職場環境づくりを行う企業を支援します。

併せて、魅力的で効果的な情報を発信するため、

これまでの女性活躍応援ポータルサイトをリニューアルし、

本市の女性活躍の取組をより一層充実させていきます。

さらに、市内には2千人を超える様々な国籍の外国人が在住していることから、

多文化共生に係る課題やニーズに対応したビジョンを策定し、

国籍にかかわらず、すべての市民が異なる文化や価値観を理解し、

だれもが安心して暮らせる地域づくりを推進していきます。

また、姉妹友好都市への訪問についても再開し、

幅広い分野での国際交流を促進していきます。

 

次に、「生涯を通じた健康づくりの推進」については、

令和4年度に地域を限定して試験的に実施した

がん検診の受診勧奨を市全域で実施するとともに、

新たに国民健康保険に加入している若年者の健康診査を実施し、

生活習慣病の早期発見・早期治療につなげます。

また、引き続き、ICTを活用した健幸ポイント事業を実施し、

働く世代の運動習慣の定着や、

高齢者の社会貢献等の生き甲斐づくりを推進します。

さらに、高齢化に伴い発症率が高くなる帯状疱疹のワクチン接種費用の

一部助成を新たに開始し、重症化予防を図ります。

 

次に、「地域医療体制の充実」については、

休日・夜間救急診療所での小児救急医療体制の充実と

適正受診の推進によって、一次救急医療の安定的な運営を図るとともに、

宇部・小野田保健医療圏の二次救急医療を維持するために、

関係機関への支援を強化します。

 

次に、「心かよう地域福祉の充実」については、

福祉なんでも相談員などが、支援が必要な人を早期に発見し、

その方に寄り添った伴走支援を行います。

また、山口大学と連携して、ひきこもりに関わる支援者を育成し、

社会から孤立しない地域づくりの実現につなげていきます。

さらに、宇部市成年後見センターや

地域包括支援センター等の相談窓口の周知・啓発を進め、

個人の尊厳を守る適切な支援につなげていきます。

生活保護受給者については、健康の保持増進等を図るための健康管理支援や、

就学生活支援員とケースワーカーによる就学・進路の支援を行います。

 

次に、「高齢者福祉の充実」については、

新たな健康遊具を設置し、体験教室を開催することで、

コロナ禍で活動が控えめになっていた高齢者が

自ら健康づくりに取り組むことができる環境を広げていくとともに、

高齢者が地域の集いの場に出向き、

参加者として、また、講師としても力を発揮できる仕組みを構築し、

住民主体の取組を後押しします。

また、認知症にやさしい地域づくりを推進するため、

当事者やその家族を支える「チームオレンジ」の活動を強化していくとともに、

認知症になっても安心して暮らせるまちづくりに向けて検討を進めます。

さらに、ひとり暮らしの高齢者等を対象に、

見守り安心コールサービスの安否確認センサー利用料を無償化し、

見守り体制の充実を図ります。

 

次に、「障害者(児)福祉の充実」については、

障害の特性や配慮の必要性について正しい理解が浸透するよう、

様々な機会を活用して周知啓発に取り組みます。

また、障害特性に応じてコミュニケーション手段を選択できる環境整備や、

コミュニケーション支援に携わる人材の育成、施設のバリアフリー化など、

社会全体の合理的配慮を促進し、

障害を理由とする差別の解消に取り組みます。

5 安心・安全で快適に暮らせるまち

五つ目は、「安心・安全で快適に暮らせるまち」づくりです。

「市民活動・コミュニティ活動の活性化」については、

地域、事業者、行政など、地域全体で、

地域活動の担い手不足や子ども会の加入率の低下など、地域の課題を共有し、

働く世代など、あらゆる世代が

地域活動に関心を持ち、参画するための

「地域活動の日」の取組を令和5年4月からスタートします。

また、SNSによる効果的な地域情報の発信や共有など、

デジタル技術の活用も図りながら

地域活動の維持及び活性化を支援します。

 

次に、「カーボンニュートラルの推進」については、

国が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、

市民・事業者への支援制度を新たに創設し、

再生可能エネルギーの更なる導入と

省エネ型ライフスタイルへの転換を促進するとともに、

教育機関と連携し、実体験を伴う環境教育や自然環境学習を通して、

幼少期から環境問題に興味を示すことができる人材の育成に取り組みます。

 

次に、「循環型社会の構築」については、

「宇部市一般廃棄物処理基本計画」に基づき、

3R講習会の開催や事業所訪問による指導啓発を行うとともに、

段ボールコンポストや生ごみ処理機の普及促進、子育て関連用品のリユースなど、

市民と一体となって、更なるごみの減量と再資源化を図ります。

また、新たな石油資源の使用削減などに有効とされる

ペットボトルの水平リサイクル導入に向けた検討を開始します。

 

次に、「利便性の高い地域公共交通の確保」については、

路線バスのことを知り、身近に感じていただく機会、並びに、

コロナ禍で控えめになっているお出かけのきっかけを創出する

「路線バス運賃無料デー」や運転士不足解消のための取組を実施するほか、

交通空白地域等における地域内交通の運営支援などを行い、

公共交通の利用促進と地域住民等の移動手段の確保を図ります。

 

次に、「生活の安全性の向上」については、

青少年の健全育成・非行防止のための啓発のほか、

地域と関係機関が一体となった家庭等への働きかけやふれあい運動の推進に取り組み、

青少年の規範意識の向上、居場所づくりを進めます。

また、犯罪抑止の観点から、防犯灯の設置助成に加え、

新たに、防犯カメラの設置助成を開始し、地域の自主的な防犯への取組を支援します。

さらに、管理が適正に行われていない空き家・空き地の所有者に対して、

適正な管理の指導を行うとともに、

専門家による相談会の開催や除却に要する経済的負担の軽減に加え、

令和5年4月から運用を開始する

「宇部市空き家流通促進プラットフォーム」を活用することで、

流通・利活用の促進等を図ります。

 

次に「消防・防災の推進」については、

災害に強い安全なまちづくりに向けて、

引き続き、災害時の「逃げ遅れゼロ」を目指し、

地域住民同士による率先避難、呼びかけ避難体制づくりの支援を進めるとともに、

若い世代への防災教育の充実にも取り組みます。

併せて、災害時に支援が必要な方が安心安全に避難できるよう、

現在、作成を進めている個別避難計画については、

対象エリアを拡大するとともに、対象者の状況に応じて、

受け入れ可能な福祉避難所との調整を行っていきます。

また、ハード面の整備として、

宇部西消防署の建て替え、急傾斜地の崩壊防止対策、

災害備蓄品の分散配置のための防災倉庫の整備、

大規模盛土造成地の滑動崩落対策及び河川や水路の氾濫防止対策のほか、

厚南エリアへの防災公園整備に向け、地区の代表者と検討を進めていきます。

 

次に「活力ある都市空間の整備」については、

本市の喫緊の課題である中心市街地の活性化を図るため、

「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの形成を目指し、

「ウォーカブル」なまちづくりに取り組んでおり、

先導的に進めている「市役所周辺地区」では、

市役所新庁舎2期棟の建設や、

旧宇部税務署跡地への平面駐車場の整備を進めるとともに、

常盤通りのウォーカブル化の整備に着手します。

旧山口井筒屋宇部店跡地の利活用については、

既存建物の解体工事に着手しており、

新たに整備する複合施設「常盤通りにぎわい交流拠点施設」は、

「子育て支援拠点」と「くつろぎ・交流機能」を核とする公共施設と

「飲食機能」などの民間施設を導入した施設とし、

令和5年度に、設計・建設から維持管理・運営までを

一括して行う事業候補者の選定を行い、設計に着手します。

また、民間資金が導入され、複合施設が建設される予定の

新天町一丁目の旧松井家具跡地については、

引き続き、国の施策に基づいた支援を実施し、

官民連携による賑わいの創出に取り組んでいきます。

併せて、令和4年度に、市の玄関口である宇部新川駅周辺において、

誰もが安心して快適に利用できる多目的公衆トイレの整備に着手しており、

引き続き、滞在空間を兼ねた駐輪場の整備を進めることで、

利便性の向上と賑わい創出につなげていきます。

 

次に「快適な生活基盤の構築」については、

「宇部市橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、

優先度の高い橋梁の修繕を計画的かつ効率的に実施するとともに、

劣化した路面標示の更新などを実施し、

健全な道路環境の維持に取り組みます。

また、老朽化した火葬場の更新に向け、

令和4年度中に策定予定の「宇部市新火葬場建設基本計画」に基づき、

新火葬場整備事業者の選定に着手するとともに、

用地・地質等の調査測量業務を実施します。

さらに、公共下水道の整備を計画的に推進するとともに、

補助金等を活用した合併処理浄化槽の普及促進により、

快適な生活環境の確保と公共用水域の水質保全を図ります。

6 計画の推進に向けて

最後に、「計画の推進に向けて」です。

まず、「効果的な行政運営システムの構築」については、

限られた行政資源で最大の効果を発揮するため、

客観的根拠に基づき政策の立案や効果の検証を行う

EBPMの活用を更に推進していきます。

このため、まちづくりの各施策と市民ニーズや満足度との関係性を分析する

市民意識調査を令和4年度から開始しており、

この結果も踏まえながら、効果的な施策の構築につなげていきます。

また、令和4年度から実施している

「市民に信頼され、より良い市民サービスを提供できる 市役所」と

なるための組織改革においては、引き続き、

「事務の適正な執行」、「業務量の増加への対応」、「人員不足への対応」、

「職員の意欲の高揚」を市役所改革の4つの柱として取り組みます。

 具体的には、「行政事務を適正に執行するための手引」に基づく、

内部統制の本格運用、デジタル技術を活用して、

業務と意識の抜本的改革につなげるDX推進計画アクションプランの策定、

また、多様な人材の採用や外部人材の活用、

職員研修の見直しなどにより、新たな行政課題・市民ニーズに、

迅速かつ的確に対応できる職員を育成していきます。

さらに、本庁舎に通話録音システムを導入し、

電話対応における公正かつ適正な業務の執行と

サービスの向上につなげていきます。

 

次に、「健全な財政運営の推進」については、 

財政負担の軽減と平準化の観点から、

公共施設について、定期的な点検・診断により、安全性の確保を図りながら、

「宇部市公共施設等個別施設計画」に基づき、

計画的な更新、長寿命化改修及び複合化を進めていきます。

 

次に、「共創によるまちづくりの推進」についてです。

「共創」の考え方を職員や市民に浸透させるためのセミナーの開催など、

「共創」に向けた機運をより一層高めていきます。

また、昨年11月に設立した「うべ・未来共創プラットフォーム」を軸に、

本市と産業界、大学等が一体となって地域の課題を共有し、

その解決や、人材の育成を図っていきます。

さらに、市民の市政への関心や参画意識を高めるため、

引き続き、様々な広報媒体を活用した市政情報の発信に取り組むとともに、

市民の声を市政に活かすため、市政懇談会の開催や、

うべ未来モニター、未来アドバイザーなどの活用により、

高校生や大学生などの若い世代をはじめ、幅広い世代と

対話を重ねていきます。

また、SDGs未来都市として、これまでの取組に加え、

自発的な市民・団体・企業等のSDGs活動を促進することを目的に、

新たに「SDGs私たちの未来共創補助金」を創設し、

市を挙げたSDGsの啓発・浸透を図ります。

公営企業

水道事業については、

水道水の安定供給の持続と地震などによる被害を最小限に止めるため、

浄水場や配水池など老朽施設の更新と耐震化を計画的に進めます。

また、持続可能で安定した事業経営を行うため、

水道事業の広域連携に向けて課題解決に取り組んでいきます。

 

次に、交通事業については、

引き続き感染防止に加え、事故防止対策に取り組み、

安全・安心な運行を徹底します。

また、経営基盤の強化に向けた取組を着実に進めていくため、

「宇部市交通事業経営戦略」に基づき、

サブスクリプション定期券の販売をはじめICカードの利用促進を図るなど、

利便性の高いサービスの提供を行っていきます。

むすびに

令和4年度は、職務執行における不適切な事案が複数発生しました。

一方で、これらの不適切事案は、職員間の声掛けや確認が確実にできていれば、

防げたものと考えています。

現在の宇部市の組織としての課題がそこにあります。

職員間のコミュニケーションがより密になるよう、

心理的安全性を担保しなければなりません。

私が先頭となって、職員とともに先ほど述べた組織改革を進め、

新たな組織風土を築き、

市役所が、職員にとって「やりがいと誇りを持てる職場」となるよう

尽力していきます。

 

その取組の中で、私は二つの「じっこうせい」を徹底していきます。

市役所の業務は、大きく二つの分類に分けられます。

まず一つは、社会状況の変化に関係なく、

市民生活を支える、健康福祉、市税等の賦課徴収、市民窓口など、

市民の皆様の生活の基盤となる基本的業務です。

これらの業務については、

ミスなく確実に業務を進めていく『実行性』を徹底していきます。

二つ目は、社会的状況の変化に適切に対応するとともに、

未来のありたい本市の姿の実現に向けて取り組む

産業振興、子育て支援、交流人口の拡大など、

本市の未来を創造する戦略的業務です。

これらの業務については、失敗を恐れずに取り組み、

効果を上げる『実効性』を徹底していきます。

確実に業務を行うことの「実行性」と、

効果を上げることの「実効性」を両輪として、

市役所の業務パフォーマンスを最大限に発揮し、

コロナ禍や物価高騰など、目の前の課題への対応、

そして未来を見据えた施策の展開、未来への投資という、

二つのミッションの達成に向けて行動していきます。

 

市議会議員各位をはじめ、市民の皆様におかれましては、

これまで申し述べました施策提案と当初予算案に対しまして、

深い御理解と御賛同を賜りますよう、

心からお願い申し上げまして、令和5年度の施政方針といたします。

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このページに関するお問い合わせ

総合政策部 政策企画課
〒755-8601 宇部市常盤町一丁目7番1号

  • 市の総合的な政策の企画立案・調整及び進行管理、重要な分野別の計画及び施策の調整に関すること
    電話番号:0836-34-8113 ファクス番号:0836-22-6063

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