江戸時代

ウェブ番号1003980  更新日 2021年2月10日

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江戸時代 宇部領主福原氏

福原氏は鎌倉幕府草創期の重臣大江広元の後裔で、毛利氏と祖先が同じです。広元の次男時広は、武蔵国長井庄(埼玉県)で「長井姓」と称し、四男季光は相模国毛利庄で毛利姓」を称していました。

南北朝時代、毛利元春の五男広世が長井氏の家督を継ぎ、安芸国内部庄福原村(広島県安芸高田市吉田町)を所領し、福原姓を名乗るようになりました。当時、福原家は「毛利福原」と呼ばれていたように、毛利家の一門として毛利氏を補佐し、以後も毛利氏と縁戚関係を保ちつつ、重臣として毛利氏の戦国大名への展開を支えました。

江戸時代、毛利氏が萩藩を治めるようになると、須佐の益田氏とともに、藩の永代家老として藩の重臣としての地位になりました。寛永2年(1625年)福原元俊は、厚狭郡宇部村・山中村・河上村・小串村・吉敷郡白松庄(東・西岐波、山口市阿知須町などの一部、山口市阿東生雲の一部、計8千石の領地を与えられ(下写真参照)、以来、宇部の領主として幕末まで宇部地域の発展に努めました。萩屋敷で藩政を行うかたわら、上宇部中尾に屋敷を構え、家臣の紀藤・定近・俵田・椋梨氏らを家老職にあてていました。

歴代の福原氏の業績として、宗隣寺の建立(寛文10年・1670年)、鵜ノ島開作(元禄8年・1695年)、常盤池の築造(元禄11年)、真締川(新川)の付け替え(寛政10年・1798年)などがあります。また幕末の激動期には、「蛤御門の変(禁門の変)」の責任を取って、自らの命を絶って防長2国を救った福原越後公の劇的な事件もありました。さらに、江戸時代最後の領主福原良道(芳山)公は、明治時代初めに、他村の手に渡っていた石炭の採掘権(鉱山借区権)を買い戻し、地元資本による炭鉱経営の基礎を築き、後の宇部の石炭産業発展の道を切り開きました。

歴代福原氏の事績

宗隣寺の建立 (寛文10年・1670年)

福原広俊は父元俊の菩提を弔うため、当時荒廃していた禅宗寺院普済寺の跡地に建立した寺院です。本堂裏の龍心庭と呼ばれる庭園は、普済寺時代に造られた県内最古の南北朝時代のもので、国の名勝に指定されています。なお、普済寺は平安時代に唐僧為光和尚が草創したと伝えられています。

鵜ノ島開作 (元禄8年・1695年)

真締川は、当初は樋の口付近で西に曲がり、鵜ノ島地区を流れ、居能から海へ注いでいました。藤山に江ノ内開作(1690年)ができると、鵜ノ島の水はけが悪くなったので、居能の砂丘を掘り割り新たに栄川を造りました。また、鍋倉山のふもとと助田の間に堤防を造り、唐樋(水門)を設けて水田ができるようにしました。なお、開作のかんがい用ため池として、蛇瀬池(小羽山)も築造しました。(1693年)

常盤池の築造 (元禄11年・1698年)

草江、常盤一帯の開発にあたり、用水の確保のため、元禄元年、領主福原広俊は萩藩に常盤池築造を願い出、許可を得ました。実際の工事は元禄8年からで、福原家当職椋梨権左衛門が担当しました。半年後に本土手(堤防)が完成し、翌9年池の水が初めて外に流れ出ました。池の要となる本土手は、膨大な水圧を巧みにさけるような位置に設置されています。(石炭記念館の東側・幅約54メートル)

天保末期(1840年頃)の記録によると、池面積90町歩(ha)に対し、用水を供給する田畑の面積は約306町歩(ヘクタール)あったそうです。

新川(真締川)の付け替え (寛政10年・1798年)

現在の市街地にあたる所は、江戸時代には深い入り江になっており、その沖に東西に細長い砂州が横たわっていました。樋ノ口付近は真締川が南西に曲がる角にあたり、湿地帯で水はけが悪くたびたび洪水が起き、作物が収穫できないことが多かったので、領主福原房純は、寛政9年砂州を掘り割って直線的に海に川水を流す工事を行い、現在の川筋としました。

工事区間は約1000メートル、延べ16000人を要したといいます。享和元年(1801年)には、開削工事の成功を感謝し、近隣諸村の鎮護を願って、中津瀬神社が建立されました。神社の春祭りには農具市がたち賑わいました。今の新川祭りの起源です。

江戸時代の教育

毛利藩は、藩校「明倫館」があるように教育に熱心で、家臣団も自分の領地に郷校を設立し、家臣などの教育にあたりました。

福原親俊は、文武の稽古場として上宇部中村に「晩成舎」を設立しました。弘化2年(1845年)には「菁莪堂」と改称し、翌年福原邸内に移しました。元治元年(1864年)福原越後は菁莪堂を廃して、上宇部中尾に学館「維新館」を建てるなど教育に熱心でした。

福原家については、「福原家文書」のページでもご紹介しています。

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