生物多様性市民会議
生物多様性地域連携保全活動計画の一環として、参加者一人ひとりが生物多様性保全について考え行動するきっかけづくりとなることを目的に、生物多様性市民会議を開催しています。
令和5年度開催報告
うべのざんねんないきもの
- 開催日時 令和6年3月23日(土曜日) 14時~16時
- 会場 男女共同参画センター 軽運動室
- 講師 動物学者 今泉 忠明 氏
概要
ざんねんないきもの事典を監修される動物学者今泉 忠明先生をお招きし、宇部市や山口県のざんねんないきものから、今泉先生のフィールド調査の様子まで、今泉先生独自の視点から動画を交えて楽しくご紹介いただきました。先生のお人柄や子供たちを見守る温かい気持ちが伝わる素敵なご講演でした。講演のあとは里山のいきものをテーマにしたカードゲームで食べる・食べられるのつながりを楽しく学びました。
参加者の感想(抜粋)
- 今泉先生のお話を目の前できけ、友達とカードゲームも出来、大変満足
- 子どももわかりやすく聞きやすく、大人にも興味深いとても楽しい時間だった
- 子どもの動機づけやどのように答えを導くのがよいかわかりやすく説明してもらえた
- 街のなかにも生態系がありよく観察すると面白いことがわかり、身近な環境を守り、生物多様性を守る努力をしたいと思った
- 学ぶだけじゃなく、笑える話に満足、調査は大変だけど面白いことを教えてくれて自分もやってみたい
- 子どもの可能性を大切にしながら、今ある自然を大切にしていきたい
- 生きものの話でなくて、生きものに携わる視点についての内容でそれがとても興味深かった
- 近くの公園や森を散歩するのがさらに楽しみになった
アプリで自分だけのいきもの図鑑を作ろう
- 開催日時 2023年11月12日(日曜日) 13時30分~16時
- 会場 ときわ湖水ホールミーティングルーム及びその周辺
- 講師 株式会社 バイオーム 取締役COO 多賀 洋輝 氏
参加者の感想(抜粋)
- アプリを使って調べて報告する体験が大変面白く、また勉強になった。
- アプリで自分だけの植物図鑑を作りたい!
- ときわ公園内の生きものについて詳しく知れてよかった。
- 生物を観察して楽しむイベントと思っていたが、生物多様性を意識するよい機会になった。
- 木のうろになぜか虫がたくさんいて面白かった!
- 名前を知らないことで普段あまり注意してみることがない、いろんないきものに出会え、楽しい時間が過ごせた!
- このイベントにもう一回参加したい!
- 今回のイベントでだけでなく、今後も身近ないきものを楽しく調べたい!
- 子どもが夢中になって虫や植物を探して写真をとっていた、親子で参加出来、とてもよかった。
- 似たような形の植物でも名前が違ったり、知らないことが多いのだなあと思った。
概要
ときわ湖水ホールにて講師から生物多様性、その保全のために株式会社バイオームが挑戦すること、そのためのツールいきものコレクションアプリ「バイオーム」についてご紹介いただた後、ときわ公園内で実際にアプリを実践!湖畔で採餌するオオバンやカモ類から、この時期に咲く花、木の実、落ち葉の下に隠れている貝や虫など多種のいきものが見つかり、参加者全体で200以上の記録を投稿してもらいました。最後にみんなで投稿した秋冬ならではのいきもの図鑑を確認しながら、ときわ公園内の動植物、この時期の特徴などを振り返りました。
いきものと気候について考えてみよう
- 開催日時 2023年7月23日(日曜日) 9時~11時30分
- 会場 二俣瀬ふれあいセンター、里山ビオトープ二俣瀬
- 講師 国立研究開発法人 国立環境研究所 気候変動適応センター 特別研究員 辻本 翔平 氏
概要
二俣瀬ふれあいセンターで講師からいきものから気候変動を理解すると題して、気候変動の影響を調べる意義、いきものの季節性、生物季節観測の実施方法やこれまでわかってきたこと等を紹介いただいた後、里山ビオトープ二俣瀬へ出発。散策しながらカナヘビやアブラゼミなどを対象にしたいきものフィールドビンゴに挑戦。生物季節観測の対象種であるタンポポの見分け方やカブトムシと広葉樹との関係等講師に紹介いただきつつ、ビオトープへ!ショウジョウトンボ、チョウトンボ、シオカラトンボとトンボを追い回す子から、じっとカブトムシの木周辺で執着する子まで、採集スタイルも様々で、ノコギリクワガタ、キリギリス、キイトトンボ、コガタスズメバチといった地上の生きものから、ドンコ、スジエビ、タイコウチ、コオイムシ、カワトンボ幼虫といった水の生きものまで色んないきものに出会えました。最後にビンゴで振り返りながら、いきもの、自然とふれあい、その変化に気づくことの大切さを呼びかけました。
参加者の感想(抜粋)
- いろんないきものを実際に確認出来、豆知識も知ることができた。
- トンボを捕まえられて、幼虫も抜け殻も見つけられた、すごかった!
- 家の近くで見られないトンボやハチ、水の中の生きものについてよくわかった。
- 赤とんぼにかまれる痛さを知れた!
- いろんないきものに出会え、すごく好奇心が強くなった気がする!
- いろんな花があることを知り、虫もいっぱい見つけられて楽しかった。
- いきものだけでなく、水のせせらぎなど夏を感じられ、よかった。
- 休憩をとりながら3時間くらいぶっ通しで虫を採ってみたい。
- 生物季節モニタリングの調査員に是非参加してみたい!
令和4年度開催報告
開催日時
2023年2月12日(日曜日)13時30分~15時30分
会場
男女共同参画センター3F 軽運動室
プログラム
1.開会あいさつ・趣旨説明
2.講演「宇部市の生息・生育生物について」
- 植物: 山口県立宇部高等学校教諭 鶴谷 保 氏
- 魚類: 株式会社リクチコンサルタント 後藤 益滋 氏
- 鳥類: 宇部野鳥保護の会会長 原田 量介 氏
- 両生、は中、ほ乳類: 高川中学高等学校講師 村田 満 氏
3.報告
第二次宇部市生物多様性地域連携保全活動計画(素案)について
4.閉会
講演の概要
植物
宇部市は丘陵、平野、海、干潟、川、ため池、ダム湖、水田、畑、社寺林等環境が多様であり、そのそれぞれにスダジイなどの照葉樹林、丘陵地、社寺林などのクスノキ、タブノキ、沿岸部のエノキ、ムクノキ、塩性湿地のシバナ、ハマボウなど環境に対応した植物が生育する。一方生物多様性を脅かすものとして、外来種、耕作放棄地や放置竹林の存在が挙げられる。
魚類
たも網、投網、刺し網に加え河川水中に含まれる環境DNAを用いた調査を実施した。主に厚東川水系で魚類は確認されており、中流域またはダム湖での確認例が多い。河川中流域の緩やかな流れや河口湿地、干潟には希少ハゼ類が生息するが、原因は明らかでないものの、タナゴ、モロコ、ドジョウ類などかつて当たり前に見られた種が減っている。
鳥類
オシドリの生息には森林率が比較的高く良好な水辺環境が必要であるが、小野湖周辺が重要な生息地となっている。当地域では生態系上位種にあたるオオタカも稀に確認される。それ以外にも、小野湖右岸で多数確認されたカシラダカ、霜降山周辺のヤマドリ、東部海岸地域のシロチドリをはじめとしたシギ・チドリ類など、地域それぞれに特有の鳥類が生息している。一方で、ガビチョウ、ソウチチョウといった外来種も近年確認されている。
両生類、は虫類・ほ乳類
ネズミ類は、樹上を主に生息するヒメネズミ、草原に暮らすカヤネズミ、民家を利用するハツカネズミ等環境ごとにすみわけが見られる。また、ネズミ類以外に、ノウサギ、ムササビ、それらを捕食するアナグマ、タヌキ、キツネ、森や鍾乳洞に生息するコウモリ類など、山口県に生息するほとんどの哺乳類が宇部市でも確認される。また、農業等に深刻な被害をもたらすシカ、イノシシ、サル、外来種のヌートリア、アライグマも確認されている。両生類、爬虫類についても、近年新種登録されたヤマグチサンショウウオ、イシガメなどの希少生物が確認されている。
参加者の感想(抜粋)
- 生きものの大切さを再認識出来た
- 生きものたちのことがよくわかったので、よく考えて生きものたちによい環境にしていきたい
- 講演とあわせスッポンなどの生体やヌートリアなどの標本も展示されていたので理解が深まった
- 話に出てきた色んな生きものを実際に見に行きたい
- オオサンショウウオを探してみたくなった
- 環境DNAという調査方法など、生息生物以外で+αの話が聞けたのがよかった
- 想像以上にたくさんの生きものの住処になっている宇部市に愛着がわいた、人間だけでなく全ての生きもののため地元の環境を大切にしていきたい
- 私たちにできることをもっと知りたい、宇部市に住んでいても知らない色んな事をまず知ることがスタートだとわかった
- 宇部市の環境は今は比較的豊かだとわかったが今のうちにもっと保護していかないといけない
令和3年度開催報告
開催日時
2022年3月20日(日曜日)11時~12時30分
会場
小野ふれあいセンター 2F 講堂
プログラム
1.開会あいさつ・趣旨説明
2.基調講演「小野湖のオシドリ」(宇部野鳥保護の会会長 原田 量介 氏)
3.話題提供
山口大学国際総合科学部小野地区PBLチーム、香川高等学校
4.閉会
開催概要
(基調講演)講演の概要は以下のとおりです。
"1950年に厚東川ダムは完工し、その後1980年ごろからオシドリが小野湖に飛来するようになった。当地がオシドリに好まれる理由については、地域によって育まれた二次林から餌となるドングリが豊富に供給されること、湖岸に隠れやすい木陰があること等が挙げられる。一方で生息を脅かすことが懸念されるものとしては、釣りによる湖上の攪乱や周辺での開発が挙げられる。多くの人に小野湖のオシドリに関わってほしいとの思いで、観察会や個体数調査等を実施している。まずは自然に親しむところからでよいので、自然を知る、さらには調査し守るという保全活動に段階的に関わってほしい。"
(話題提供)山口大学国際総合科学部小野地区PBLチームより小野小学校を地域のつながりの拠点とするための取組について、香川高等学校により小野湖クリーンウォーキングへ参加して感じたこと考えたことについて、それぞれ発表いただきました。質疑応答では、"参加することで視野が広がり、考えさせられ、活動が楽しくなる。まず参加することが重要で、色んな活動に参加したり、話を聞いたりすることを通して今後自分に出来ることをもっと拡げていきたい。"という生徒ならではの意欲溢れる意見が聞かれました。
令和2年度開催報告
開催日時
2021年3月6日(土曜日)13時~15時30分
会場
総合福祉会館 4階 大ホール
プログラム
1.開会あいさつ
2.話題提供
- 第46回小野湖清掃作業報告(宇部自然保護協会)
- 自然のしらべかた(宇部市環境政策課)
3.基調講演「山口県におけるギフチョウの保全活動」(山口むしの会会長 後藤 和夫氏)
4.閉会行事
基調講演概要
最初に、最長10mになる長竿を使った愛用の捕虫網等採集用具を用いて、採集方法をデモンストレーションいただいた後、山口県RDBで絶滅危惧IA類に指定されるギフチョウについて、その生活史から、県内での分布状況の変遷、食草の植え付けや放蝶といった個体数増加に向けた取組のほか、愛好家による採集を控える呼びかけなどの多様な保全活動について、写真をふんだんに使用しつつ御紹介いただいた。
"山口むしの会では、2006年から、県内におけるギフチョウの保全活動を実施してきたが、状況が好転しないため、2013年に、食草のカンアオイ類と卵から成虫に至る全ステージにおけるギフチョウの採集自粛のお願いを全国に向けて発信した。その後、7年が経過したが、食草の盗掘や保全地に無断で立ち入るなどの非常識な行動をする人が後を絶たず、事態は悪化の一途をたどっており、一刻も早いギフチョウの採集禁止の制度制定が望まれる。自分も60年にわたり虫採りをしてきて、虫が好きだからこそ虫を採りたい気持ちはよくわかるし、自分も今でも採りたい。しかし、そうしていられる状況では全くなく、採集を控えるようにとは本当は言いたくないが、言わざるを得ない。その状況をどうか理解してもらいたい。"
令和元年度開催報告
開催日時
2020年2月11日(火曜日) 13時30分~16時
会場
小野ふれあいセンター(大字小野字山根8294番地4)
プログラム
- 開会あいさつ
- 趣旨説明
- 話題提供
- うべの里に住もうプロジェクトについて
- 農家になろうプロジェクトについて
- 山へお帰りプロジェクトについて
- 基調講演「自然の声に耳をすます 持続可能な暮らしを求めて」(山口県立大学名誉教授 安渓 遊地氏、山口大学非常勤講師 安渓 貴子氏)
- 閉会行事
基調講演概要
はじめに、後継者不足、獣害対策、耕作放棄地の増加、生物多様性を自分ごとにするためのコツ、環境教育の進め方など、関心のあることや心配していることに関する参加者からのメモを紹介いただいた。
25年前に山口に移住してきたが、山口に住むと決心できたのは、地域の自然との関わりを大事にする様々な人とめぐり合えたことが大きい。具体的には家を建てるにあたって、山林で利用されなくなっている木を利用しようとしたが、どこの木を利用すべきか現地に詳しい方に材選びに協力いただき、藁等を含め、ほとんど地域のものを利用して家を建てることができた。また、土地の選び方についても、先人から受け継ぐ知恵として、ここは危ないと言われ、避けた場所があるが、実際、数年後にそこでは土砂崩れがあり、話を聞いておいて良かったと痛感した。家が完成した際には、建てるまでではなく、これからどのように家を利用していくかが重要であると言われたことから、地元の人から近隣学生、これまで各地で出会った人まで様々な文化背景を持つ人が交流できる場所として、現在は活用している。学生など若い人が来ると、地域が元気になるが、中国地方の山間部は全国的な傾向とは逆に、若い人が増えている地域がたくさんあり、大変活気がある。
BiologicalDiversityは一般的に”生物多様性”と訳されるが、川那部先生は”いのちのにぎわい”と訳された。これは、地域の環境、そこに住む人を含む生きものの暮らし、文化の関係性を示す、とてもよい訳だと思う。人の暮らしが生きものを支えていることの分かりやすい例として、農と自然の研究所が実施した「田んぼの生きもの調査」がある。例えば、アマガエル1匹なら、お茶碗でごはんを57杯食べることで育てられるが、茶碗の米粒の量や面積あたりの米の生産量、面積あたりの生物生息量を実際に調べて、それらの換算式を作られている。ごはんを食べることがどれだけ、生きものを守ることに貢献できるのか、直接的で非常によい指標だと思う。
生物多様性保全を自分ごととしてとらえるには、流域の思想(バイオリージョナリズム)が重要で、水と大気の循環の中で地域をとらえ、流域を流れる水の恩恵を受けるすべての命の一員として、そのすべでが大事だと考え、行動していくことが重要である。また、自分の足元のビオトープだけが守られればいいのではなく、生きものが渡っていく先を含め、ひいては地球全体を守っていくためには、国際的な視野が必要である。未来の世代に対して、恥ずかしくない持続的な暮らしをしていくためには、小野という地区は大いに魅力的な場所であり、それを支える施策も含め、大変楽しみに思っている。
平成30年度開催報告
開催日時
2018年11月10日(土曜日) 10時~11時30分
会場
宇部市立図書館
(琴芝町一丁目1番33号)
概要
Cool Choice in Libraryの一環として、常盤動物園協会共催により、生物多様性市民ワークショップ「動物のうんちから紙をつくろう!」を常盤動物園協会共催で実施。草食動物(アルパカ)のうんちから紙をつくることで、自然の中での物質の循環等について学んでもらいました。
平成29年度開催報告
開催日時
2017年9月2日(土曜日)
9時~11時、13時~15時
会場
アクトビレッジおの
(大字小野字大日原7025番地)
概要
計画の中間見直しにあたり、本年度は地域で自然や野生生物に係る保護・利用活動を行なっている団体等に集まってもらいワークショップを開催することで、日頃の活動を通じて認識される自然環境の変化とその原因、大切にしたいことや守っていきたいこと、それらを実現するための方策等について意見聴取や意見交換を行いました。
平成28年度開催報告
開催日時
2017年2月24日(金曜日) 14時30分~16時30分
会場
宇部市文化会館 2階 研修ホール
(朝日町八丁目1番)
概要
生物多様性保全活動への企業参画をテーマに、「アサヒビール社有林アサヒの森-責任ある森林管理と生物多様性の保全-」と題して、アサヒグループホールディングス株式会社アサヒの森環境保全事務所長 松岡洋一郎氏に基調講演をいただいたほか、「多様な主体の参画による連携・協力の可能性」と題してコーディネーターに山口県立山口博物館田中浩氏、パネリストに市内活動団体を迎え、パネルディスカッションをしていただきました。
平成27年度開催報告
開催日時
2016年1月16日(土曜日)13時~17時
会場
アクトビレッジおの
(宇部市大字小野字大日原7025番地)
主催
宇部市
出席者数
70名
プログラム
第1部
- 開会あいさつ
- 趣旨説明
- パネルディスカッション
- 事例発表
- 意見交換
第2部
- 現地見学会
場所:やびつ山荘椎茸ハウス
概要
開会あいさつ・趣旨説明
私たちが生きていく上で、他のいきものとの関わり、つながり(生物多様性)は切っても切れない。しかし、今の私たちのライフスタイルはそのつながりが見えにくくなっている。
私たちにできることは、この見えづらいつながりを知ることが第一歩。
現在、本市においては、企業・市民のニーズ、活動団体のシーズ情報が上手く整理されていない、また様々な主体につながりがあることに気付いていないという課題がある中で、市民会議は2つの目的をもって開催する。
1つめは多様な立場の方に生物多様性保全活動への参画を促す場づくり、2つめは活動団体同士の情報共有の場づくり。これを活かして今後、各主体同士の連携を図っていきたい。
パネルディスカッション
事例発表
小野湖の水を守る会
小野湖の水を守る会の運営は、マンパワーとして宇部自然保護協会等の他の活動団体から協力を得ている。また、資金面として、山口県、宇部市などの行政機関、民間企業からの助成金を受けている。
会の目的は、生物多様性保全、良好な水源地保全、里地里山の保全活性化、子どもの自然体験学習。特に里山の活性化は水源地保全ともリンクする。
目的を達成するために、大きく6つの具体的な活動を行っている。
しかしながら、こうした活動は、マンパワーの面でスタッフの高齢化が進んでおり、資金面では助成金頼みで、それぞれ継続性の観点で課題を抱えている。
そこで会の自立を目指して、「オリーブの森創生事業」に今年度から挑戦する。オリーブは平和の象徴であり、イメージが良く、栽培に手間がかからない、実・葉・幹など有効活用出来る範囲が広く、新規雇用や6次産業化が期待できるなど、良いことづくめ。今後、宇部方式(※環境保全に関する産官学民の連携)を活用して、水源地である小野湖周辺地域活性化に貢献したい。
親子自然観察隊
親子自然観察隊は、元々休耕田をビオトープとして造成した「里山ビオトープ二俣瀬」を拠点に活動している。4月から12月までの毎月1回程度このビオトープでの様々な体験を通じて、子どもたちやその父母たちに、「自然っていいね」と思ってもらうことを目的に親子自然観察隊という行事を始めた。
行事の内容は、多種多様ないきものが生息するビオトープの特徴を活かした観察会、田植え、稲刈りや昔の里山暮らしの風習を今に伝える体験活動などである。なかでも昔の風習は、今の若い人達にとって新鮮な驚きを与えている。
観察隊の協力者として、里山ビオトープ二俣瀬をつくる会の会員、山口大学の学生・留学生、地元の小中学生などがいるが、課題としては、維持管理の中心的な役割を担っている「里山ビオトープ二俣瀬をつくる会」の会員の高齢化が挙げられる。また、観察隊の子ども達が自然のフィールドを使って楽しく遊んでいることをもっと市内の小学生や親御さんにも知ってほしいと思っている。
宇部自然保護協会
宇部自然保護協会は、宇部方式で昭和46年9月に設立された。
これまでの実績は、霜降山の自然保護、小野湖の水質保全、公共事業における自然保護運動など。具体的な活動としては、ホタル鑑賞、巨樹名木鑑賞などの自然体験活動、生物多様性に関する自然学習会、そして今回紹介する小野湖清掃作業。
清掃作業を実施する目的は3つ。1つめは宇部、山陽小野田市民の水源地を保全するため。2つめは小野湖周辺の自然環境保全。3つめは動植物の生息環境を保全するため。特に小野湖周辺は、豊かな自然環境の恩恵を受けて、日本でも有数のオシドリの飛来地となっている。
昨年も8月23日に企業、行政機関など多様な関係者の協力で45回目となる清掃作業を実施した。作業としては流木、プラスチックごみなどを引き揚げ、立木、可燃物等に分別してトラックに積載する。特に流木の回収運搬については、飯森木材株式会社にボランティアで行ってもらっており、感謝している。今後の課題としては、作業範囲の決定、事前準備など会の負担が大きいこと、そして市民、企業、地元相互に協力するため、積極的な広報をしたいことが挙げられる。
上小野自治会(やびつ山荘)
上小野地区は、アクトビレッジおのから5キロメートル上流。平成25年に『やびつ山荘椎茸ハウス』として拠点施設を新設した。「やびつ」の由来は集落の小字(こあざ)名。何だろうかと思って名前を覚えてもらいやすい。
やびつ山荘は、18年前、上小野地区を流れる川にゲンジボタルがたくさん生息していたことで、案内所としてバザーを行ったことが始まり。昨年まで15回実施している。また、近くの山にエビネを植えている方がいたので、この方にも声をかけて、昨年5月にお披露目した。このように私たちの地域にはお宝がある。このお宝を活用したイベントで地域の魅力を発信し、地区内外との交流を図り、地域を元気にするよう様々な活動を実施している。
他にもオシドリ見学、椎茸狩り、里山ウォークなどを組み合わせたグリーンツーリズム、カヌー教室を行っている。また、昨年のホタル祭りでは地元の学校や市内の幼稚園に提灯づくりをしてもらったおかげで、親御さん共々約500人の来場があった。
今後も、地域のお宝を活用した自然体験や食など多様なイベントを試みて、地域活性化を図りたい。
意見交換
コーディネーター
- 青山 範子 氏(環境省中国環境パートナーシップオフィス)
パネリスト
- 津島 榮 氏(小野湖の水を守る会)
- 管 哲郎 氏(親子自然観察隊)
- 福場 達朗 氏(宇部自然保護協会)
- 古谷 孝之 氏(上小野自治会)
- 佐藤 学 氏(宇部興産株式会社《宇部地区環境保全協議会》)
(青山氏)企業側の生物多様性保全の取組はどのようなものがあるか。
(佐藤氏)ある。厚東川上流域の森林保全活動、植林を通じた緑化活動。森林保全活動は特に宇部地区環境保全協議会の会員事業所15社17事業所より約160名の参加がある。
(青山氏)宇部市では、宇部方式の理念が根付いていて、企業も本来の事業目的ではない環境保全活動に取り組んでいることは、全国会議でも話題となっている。
(青山氏)それぞれ発表団体の課題を整理したい。
小野湖の水を守る会は、マンパワーと資金面、宇部自然保護協会は、企業の協力を得たいという趣旨であったと思うが、親子自然観察隊と上小野自治会(やびつ山荘)はどうだろうか。
(管氏)親子自然観察隊は、フィールドを維持管理する、保全するという人手の部分。
(古谷氏)マンパワーは必要だが、草刈機を使えるなど必要なスキルを持った人が来てほしい。
(青山氏)小野湖の水を守る会では、発表のなかで草刈講習があったと思う。
(津島氏)これは宇部市主催行事。今後も参加してほしい。
(青山氏)企業として何か協力できることはあるか。
(佐藤氏)生物多様性という言葉自体がここ何年かでクローズアップされている中で、企業側としては何ができるか模索しているところである。今日の発表者の意見を聞いて、「人手が足りない、費用がかかる」という問題点が分かった。一つの企業としてこうした問題に対する支援をするのは難しいと思うが、企業、事業所の集合体である宇部地区環境保全協議会が、地域の環境保全のために活動するとなると動きやすいと思う。具体的な支援の一歩として、こうした情報を社員に周知することなどが考えられる。
(青山氏)宇部市で生物多様性保全の推進のための活動を進めていくためには、「つながり」が一番大切。人と人だけでなく、その前に情報と情報がつながることが必要。今回登壇者の今後の意気込みを聞かせてほしい。
(津島氏)小野湖の水を守る会では、オリーブの森創生事業に賭けている部分がある。我々の目的を達成し、かつ地域の活性化に貢献する事業なので、ぜひ多くの皆さんに参加していただきたい。
(管氏)親子自然観察隊は、若いお父さんお母さん、子どもたちにとって必ず将来のためになることをやっている。ぜひいろいろな方に参加していただきたい。
(福場氏)宇部自然保護協会、我々は環境のために何ができるかと考えたときに、継続が一つのチカラとなる。一人一人が身近なところで、小さなことでもやっていく必要がある。その上で、小野湖周辺で保全活動に参加していただいて、自然のことを考えてほしい。会としても継続して発展していきたいので、行政機関等をはじめ、協力をお願いしたい。
(古谷氏)竹林の繁茂しているのが問題ととらえている。一方で椎茸栽培に必要なナラやクヌギといった材料がなくなりつつある。竹林を伐採し、跡地にナラ・クヌギを植えれば再生のサイクルができる。企業の方にはぜひ協力していただき、地元に目を向けてほしい。
(佐藤氏)宇部地区環境保全協議会は、公害防止の目的で立ち上がったが、昨年規約を改正し、「地域の環境保全」という目的を追加した。地域の環境保全には生物多様性の保全も含まれる。今後は協議会としても協力できる。
(青山氏)今回の市民会議、目的は「つながりを知り、いまを知る」ということだったが、参加者の皆さんに生物多様性保全の取り組みが、この地域でたくさん、多様な活動として行われていることを知ってもらった。「知る」というところは本日達成できたのではないか。
この会議をきっかけに、小野湖周辺地域の素晴らしい自然の宝が活かされ、私たち人と人とがつながっていき、地域が活性化するように祈念してパネルディスカッションを終わりたい。
現地見学会
見学場所:やびつ山荘椎茸ハウス
このページに関するお問い合わせ
市民環境部 環境政策課
〒755-8601 宇部市常盤町一丁目7番1号
- 環境基本計画の推進、環境保全思想の普及及び啓発、国際環境協力、地球温暖化対策の推進、環境マネジメントシステムの推進に関すること
電話番号:0836-34-8245 ファクス番号:0836-22-6016 - 環境審議会、自然環境の保全、公害対策の企画立案及び実施、公害に係る各種調査及び公表、環境保全協定、建築物等に係る環境保全対策の指導、公害に係る苦情の処理に関すること
電話番号:0836-34-8248 ファクス番号:0836-22-6016 - 市営墓地、墓地等の経営許可、宇部市火葬場、犬・猫の飼育、衛生害虫、飲用井戸に関すること
電話番号:0836-34-8251 ファクス番号:0836-22-6016