赤間硯

ウェブ番号1003868  更新日 2023年1月26日

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赤間硯とは

赤間硯写真

赤間硯(あかますずり)は、宇部市や下関市周辺で作られている硯で、赤間石(あかまいし)という石英(せきえい)や鉄分を多く含む石を原材料としています。
赤間石が緻密な石質であることから、赤間硯では墨を細かくすることができ、発色の良い伸びやかな墨汁を得ることができます。
脈々と受け継がれてきた職人の技術が息づく、実用的でありながら、美術的な価値も高い本市が誇る伝統的工芸品です。

赤間硯の歴史

鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)に源頼朝公が奉納(1191年)した硯が赤間硯とされており、12世紀末には生産が始まっていたとされています。
また、江戸時代初期の文献に「赤間硯」の表記があり、早くから赤間硯の名称で呼ばれていたことが確認できます。
下関市の古称である「赤間(関)」の地名を冠し、下関市を中心とする名産品として歴史を重ねてきた後、18世紀に採石の中心を宇部市に移して以降、宇部市と下関市が産地となっています。
吉田松陰が愛用した赤間硯が松陰神社(萩市)の御神体となっている例をはじめ、多くの幕末の志士に愛用されました。
当時から続く伝統的技法により製作されており、1976年、通商産業大臣(現在の経済産業大臣)により伝統的工芸品に指定されました。

赤間硯ができるまで

入坑

坑道入り口

赤間石は、採石用に山に掘った坑道から掘り出します。
原石は乾燥に弱く、普段の坑道は水で満たしているため、採石前に坑道の水をポンプで汲み出してから入坑します。

採石・選別

ピッキング

人がかがんで入れる程度の坑道を、5mから40m程度の深さを進むと赤間石の層にあたります。
硯に使用できる石質の層を見つけ、火薬やピックハンマー(先がとがったハンマー)などを使い、掘り出していきます。
採った原石は金づちなどで軽くたたいて、その音により硯石として使えるか選別します。

形作り

形作りの様子

作る硯の形に合わせ、ダイヤモンドカッター(切断機)やタガネ(小型ののみ)、ハンマーを使い、石の形を大まかに整えます。

じぎり

じぎりの様子

表と裏を大のみで大まかに同じ厚さにしてから、水と珪砂を研磨剤として、研磨盤で削り平らにします。

縁立て(ふちたて)

縁立て

硯の大まかな形を決め、縁立てのみを使って、陸(墨をするところ)と海(墨のたまるところ)の位置に合わせ、境目を彫って縁を立てます。

粗彫り・仕上げ彫り

粗彫り・仕上げ彫りの様子

大のみやコンプレッサーによる小型ピックを使い、大まかに陸と海を彫り、併せて陸と海をつなぐ胸を製作します。
次に、丸、角、半丸などの刃のついた大小5~10本くらい使って、陸と海を彫ります。
最後は清のみ(きよのみ。幅の広いのみ)をかけて、のみの目(彫った跡)をなくします。

粗磨き・仕上げ磨き

砥石や耐水ペーパーを使って全体を磨きます。
陸の部分を、墨が良くすれるように、目立て石で磨きます。

仕上げ(漆(うるし)塗り)

陸と海以外のところに、漆またはカシュー(代用漆)を薄め液などで少し薄めて布で塗り、乾かないうちに拭き取ります。風化を防ぎ光沢を出すために、これを2,3回繰り返します。
仕上げ粉をつけて、刷毛で磨いて完成です。

野面硯

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