男女共同参画推進に関する条例の基本的な考え方についての諮問

ウェブ番号1003224  更新日 2021年2月10日

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諮問書

宇男女第54号

平成13年(2001年)10月29日

宇部市男女共同参画推進審議会会長 様

宇部市長 藤田 忠夫

男女共同参画推進に関する条例の基本的な考え方について(諮問)

宇部市男女共同参画推進審議会条例第1条の規定に基づき、男女共同参画推進に関する条例の基本的な考え方について、貴審議会の意見を求めます。

前文

宇部市は、平成10年6月に、中国地方で初めてとなる男女共同参画都市宣言において、「男女がともに一人ひとりの個性を生かし、いきいきと豊かに生活できる社会をめざす」「男女がともに政治、経済、文化などあらゆる分野へ参画し、活力ある社会をめざす」「男女がともに健康で住みよい環境をはぐくみ、さまざまな人との交流、協力を深め、世界に平和と友情の輪をひろげる」ことを決意した。

本市は、国際社会や国内における取り組みを踏まえながら、男女共同参画社会の実現に向けて、男女共同参画センター・フォーユーを活動拠点とし、様々な取り組みを積極的に推進してきた。

しかしながら、社会には、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会慣行をはじめ、男女の自由な活動の選択を妨げる要因が残っている。

また、一方、少子・高齢化の進展、家族、地域社会の変化、高度情報化、国際化等社会経済情勢の急速な変化が生じている。

このようなことから、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現が重要な課題となっている。

ここに、宇部市では、男女共同参画の推進についての基本理念並びに宇部市、事業者、市民の責務を明らかにするとともに、「活力とやすらぎに満ちた国際交流都市」をめざし、男女共同参画の取り組みを総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(1)目的

男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、事業者、市民の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、施策を総合的・計画的に推進し、男女共同参画社会の形成を図ることを条例の目的とする。

(2)定義

「男女共同参画」

男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画し、かつ、共に責任を担うことをいう。

「積極的改善措置」

男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3)基本理念

  1. 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が直接的であるか間接的であるかを問わず性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人としての能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として行われること。

    (説明)

    「男女が直接的であるか間接的であるかを問わず性別による差別的取扱いを受けないこと」につきましては、差別する意図のあるなしに関係なく、結果として差別的な取扱いとなる「間接差別の禁止」を表したものであります。
    山口県男女共同参画推進条例にも同様の表現がありますが、市町村条例の中では特徴のあるものとなっております。

  2. 男女共同参画の推進に当たっては、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会における制度や慣行が、男女の社会的な活動の選択に影響を及ぼさないよう配慮されること。

    (説明)

    社会的・文化的に形成された性別を「ジェンダー」と言いますが、「ジェンダーの視点」から社会における制度や慣行について見直していくという趣旨を基本理念として定めようとするものであります。

  3. 男女共同参画の推進は、市における政策の立案及び決定並びに民間団体の方針の立案及び決定に、男女が共同して参画する機会が確保されることを旨として行われること。

    (説明)

    男女共同参画の推進は、市の政策の決定に重要な役割を果たす審議会等や企業、労働組合、農業協同組合、町内会等の民間団体の意思決定に、男女が共同して参画する機会が確保されることを重要な点として行われることを基本理念として定めようとするものであります。

  4. 男女共同参画の推進は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援のもとに、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動及び職業生活等社会における活動に対等に参画することができ、責任を分かち合うことを旨として行われること。

    (説明)

    「職業生活と家庭生活の両立」について基本理念として定めようとするものであります。

  5. 男女共同参画の推進は、生涯にわたる妊娠、出産、その他の生殖に関する事項に関し、自らの決定が尊重されること及び健康な生活を営むことについて配慮されることを旨として行われること。

    (説明)

    生涯にわたる妊娠、出産、その他の生殖に関することについて、女性自らの決定が尊重され、健康な生活をすることについて配慮されることについては、男女共同参画社会基本法においては規定されておりません。
    山口県男女共同参画推進条例に規定されておりますが、市町村条例の中では、特徴のあるものとなっております。

  6. 男女共同参画の推進に向けた取り組みは、国際社会での取り組みと密接に関連していることを理解したうえで行われること。

    (説明)

    男女共同参画の推進に向けた取り組みは、女子差別撤廃条約や、北京行動綱領、国連女性2000年会議の成果文書の履行などの国際社会の取り組みと密接に関連しており、そのことを理解した上で行われることを基本理念として定めようとするものであります。

(4)責務規定(市・事業者・市民)

  1. 市の責務

    市は、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を策定し、実施する責務を有する。
    市は施策を実施するにあたり、国、県、市民及び事業者等との連携に努めるものとする。

  2. 事業者の責務

    事業者は、その事業活動に関し、男女共同参画の推進に努めるものとする。
    事業者は、市が行う男女共同参画の推進に向けた施策に協力するよう努めるものとする。

    (説明)

    男女共同参画社会の実現にとって、企業内における男女共同参画を推進していくことは大変重要なことであります。
    そこで、「事業者の責務」を明記し、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進に努めるという事業者自身の責務と、市が行う男女共同参画の推進に向けた施策に協力するよう努めるという責務を定めようとするものであります。

  3. 市民の責務

    市民は、男女共同参画社会についての理解を深め、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、自ら進んで男女共同参画の推進に寄与するよう努めるものとする。
    市民は、市が実施する男女共同参画の推進に向けた施策に協力するよう努めるものとする。

(5)性別による権利侵害の禁止等

すべての人は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、次に掲げる行為を行なってはならない。

  1. 性別を理由とする差別的取扱い
  2. 相手の意に反した性的な言動により、相手の尊厳を傷つけ、又は不利益を与える行為
  3. 配偶者等に身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為

市は、これらの行為の防止について必要な広報その他啓発に努めるものとする。

(説明)

すべての市民に対する性別による権利侵害の禁止等を定めようとするものであります。
性別を理由とする差別的取扱いの禁止及び相手の意に反した性的な言動により、相手の尊厳を傷つけ、又は不利益を与える行為、いわゆるセクシュアル・ハラスメントの禁止、配偶者等(男女を問わない)に身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為の禁止を定めるとともに、市は、これらの行為の防止について必要な広報や啓発等に努めることを定めようとするものであります。

(6)公衆に表示する情報に関する留意

すべての人は、公衆に表示する情報において性別による固定的な役割分担及び女性に対する暴力等を助長し、及び連想させる表現並びに過度の性的な表現を行わないように努めなければならない。

(説明)

市民であるすべての人は、公衆に対して表示される情報は、それが一般に与える影響が大きいことからも、性別による固定的な役割分担や女性に対する暴力などを助長したり連想させる表現と過度の性的な表現を行わないように努めなければならないことを定めようとするものであります。
山口県男女共同参画推進条例には規定されておらず、市町村条例の中では、特徴のあるものとなっております。

第2章 基本的施策等

(1)男女共同参画計画

市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「計画」という。)を策定するものとする。
市長は、計画を策定するに当たっては、市民の意見を反映することができるよう適切な措置をとるものとする。
市長は、計画を策定したときは、これを公表するものとする。

(説明)

市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的・計画的に推進するための基本的な計画(現在の「うべ男女共同参画推進プラン」に当たるもの)を策定し、策定の際は、市民の意見を反映することができるようにするとともに、策定後は公表することを定めようとするものであります。

(2)施策の策定等に当たっての配慮

市は、男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するときは、男女共同参画の推進に配慮するものとする。

(説明)

男女共同参画社会基本法及び山口県男女共同参画推進条例にも同様の規定があります。

(3)事業者及び市民の理解を深めるための措置

市は、男女共同参画の推進について事業者及び市民の理解を深めるため、広報活動等適切な措置を講ずるものとする。

(説明)

山口県男女共同参画推進条例にも同様の規定があります。

(4)男女共同参画に関する教育及び学習の振興

市は、市民があらゆる機会を通じて男女共同参画に対する関心と理解を深めることができるようにするため、学校教育及び社会教育における男女共同参画に関する教育及び学習の振興に必要な措置を講ずるものとする。

(説明)

山口県男女共同参画推進条例にも同様の規定があります。

(5)事業者及び市民の自主的な活動の支援

市は、事業者及び市民が男女共同参画の推進に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(説明)

山口県男女共同参画推進条例にも同様の規定があります。

(6)事業者の報告

市長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画の推進に関する事項について報告を求めることができる。

(説明)

山口県男女共同参画推進条例にも同様の規定がありますが、事業者の責務を受けて、具体的に実施すべき内容を規定しようとするものであります。
市長は、この条例の施行に関して必要があると認めるときは、事業者に対して、男女の就業状況等、男女共同参画の推進に関する事項について報告を求めることができることを定めようとするものであります。

(7)情報の収集及び分析

市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施に関し必要な情報の収集及び分析を行うものとする。

(8)施策の実施状況等の公表

市は、施策の総合的な推進に資するため、主要な施策の実施状況等について報告書を作成し、公表するものとする。

(9)施策の推進体制の整備

市は、事業者及び市民の協力のもとに施策を推進するため、必要な体制整備に努めるものとする。

(説明)

山口県男女共同参画推進条例にも同様の規定がありますが、市は、事業者や市民の協力のもとに男女共同参画に関する施策を推進するため、庁内の横断的組織である「うべ男女共同参画推進本部」をはじめ必要な体制整備に努めることを定めようとするものであります。

(10)苦情の申出の処理

市長は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関する事業者又は市民からの苦情の申出の適切な処理に努めるものとする。
市長は、苦情の申出のうち特に必要があると認められるものについては、宇部市男女共同参画推進審議会の意見を聴くものとする。

(説明)

山口県男女共同参画推進条例にも同様の規定がありますが、市町村条例の中では、特徴のあるものとなっております。
また、苦情の申出のうち特に必要があると認められるものについては、審議会の意見を聴くことを定めようとするものであります。

(11)相談窓口の設置

市長は、市民が性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害に関する相談を受けるために窓口を置くものとする。
市長は、相談を受けた場合においては、他の関係機関等と連携をとり、必要な支援を行うよう努めるものとする。

(説明)

市長は、個別的な被害者の救済措置として、市民が性別による差別的取扱いや、その他の男女共同参画の推進を阻害する要因によって、例えば人権を侵害されるおそれのある場合等の相談を受けるために窓口を置き、相談を受けた場合には、関係機関等と連携をとり必要な支援を行うよう努めることを定めようとするものであります。

条例の必要性について

(1)男女共同参画社会の実現の必要性

社会経済の進展により、女性は家庭生活、地域活動、職業生活など社会の幅広い分野で大きな役割を果たすようになり、これに伴い、男女共同参画推進に向けた法律や制度の整備もかなり進んできている。
しかしながら、社会には依然として様々な分野・場面で性差別意識、男女の役割を固定的に考える意識や慣習等が根強く残っており、様々な形で大きな障害になっている。
このようなことから、男女がともに人権が尊重され、社会のあらゆる分野に参画し共に責任を分かち合い個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現が必要とされている。
本市では、第三次宇部市総合計画において、全市民の共通の目標となる21世紀の本市の求める都市像として「活力とやすらぎに満ちた国際交流都市」を掲げ、すべての市民が生き生きと活動する活力ある地域社会を実現するための都市づくりを進めており、そのためには男女共同参画社会の実現が必要である。

(2)男女共同参画社会基本法及び山口県男女共同参画推進条例との関係

男女共同参画社会基本法においては、地方公共団体の責務として、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と規定されており、山口県男女共同参画推進条例がすでに施行されているが、地域の特性に合わせた政策を推進するため、本市においても、男女共同参画の推進に関する条例を制定しようとするものである。
必要な支援を行うよう努めることを定めようとするものであります。

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