平成14年6月定例会議事録第5号(抜粋)

ウェブ番号1003222  更新日 2021年2月10日

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平成14年6月定例会(第2回) 6月20日 5号

平成14年6月定例会(第2回)

平成14年6月(第2回)宇部市議会定例会会議録 第5号(抜粋)

議事日程(第5号)
平成14年6月20日(木曜日)午前10時開議
議案第51号 宇部市男女共同参画推進条例制定の件

午前10時開議

議長(野田隆志君)

おはようございます。これより、本日の会議を開きます。
質疑の通告がありますので、通告順により発言を許します。まず、順位第1番広重市郎君の登壇、発言を許します。広重市郎君。

(議席番号19番 広重市郎君 登壇)

議席番号19番(広重市郎君)

清志会の広重市郎です。議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件について質問いたします。
なぜ、条例をつくらなければならないのか、基本的な点、原点について疑問があります。条例制定が不可欠であると言われる人がいらっしゃるようですけども、なぜ、何をもって不可欠と言われるのか、私にはわかりません。
市長は3月議会で、また、施政方針でも条例をつくると言われていますし、6月議会に上程するというふうに質疑に答えておられます。となると、執行部としては、条例案を上程せざるを得ないでしょう。したがって、私は、なぜ条例をつくるのかということについてはお尋ねいたしません。問題は、上程された条例案の中身です。常任委員会で十分審議されることはよくわかっていますが、基本的な考え方について、市政の最高責任者である、そして、男女共同参画社会の積極的な推進者だと思われます市長に、明確な考え方をお聞きしたい。
まず、第1点は、男女共同推進審議会の答申についてです。
1月31日に答申書が提出されました。私は2月4日に、答申書、条例案、議事録、配付資料、委員名簿等を資料請求し、入手し、議事録などを詳しく見させていただきました。議事録と条例案について、いささか疑問に思う点がありますが、議案質疑ですので、その点はここでは申しません。審議会の答申された条例案と今回議会に上程された条例案、明らかに違います。執行部、相当検討されたと思います。なぜ、答申された条例案と異なるものを上程されたのか、お尋ねいたします。
第2点は、第1条の目的についてです。
第1条の中に、「行政が家庭や個人の思想及び良心の自由の尊重に配慮しながら」という文言が入っております。極めて重要な文言です。私、2月に大阪に行ったとき、大阪近辺幾つかの市の男女共同参画推進のパンフレット、関係資料を入手いたしました。「ジェンダー・チェック」と称して、家庭の中に、個人の考え方に、行政が入り込み、個人を評価している。結婚という人生において極めて重要なでき事を安易に軽く扱い、家庭、家族という大切な社会の基盤を無視するようなことを言っている。行政による思想統制だとしか言い得ないような推進活動が行われております。これは、絶対に許すわけにはいきません。今後の推進活動において、これらの点についてどのように考えておられるのか、お聞きしたい。
第3点は、第3条「基本理念」についてです。
第3条の条文の中に「男女が男らしさ、女らしさを一方的に否定することなく、男女の特性を認め合い」云々という文言があります。男女共同参画社会なるものの基盤にかかわる大切な文言です。男らしさ、女らしさを一方的に否定するということは、昨年12月の一般質問でも言いましたが、歴史、文化を否定し、文化大革命を目指すものです。ジェンダー・フリーなる言葉のもとに、良識ある者としては許すことのできないパンフレットや冊子がつくられております。
文部科学省の委嘱で作成された新子育て支援「未来を育てる基本のき」なるパンフレット、御存じでしょうか。男女のらしさに縛られた子育てを批判し、らしさを一方的に否定しております。国会で問題になりました。男女共同参画担当大臣の福田官房長官が、このパンフレットの記述には賛成しないと表明しております。今後の推進活動について、男女の特性ということについて、どのように考えていかれますか、お聞きいたします。
第4点は、第12条の教育及び学習の振興です。
第12条で、「男女共同参画に関する教育及び学習の振興」が掲げてあります。どういうかたが教育を担当されるのか、これまで何人かの、いわゆる著名人が市の主催された講演会に来ておられる。どんな著名人だったのか、私は、その都度、担当される箇所に意見を言ってきました。無視されました。今後の推進に関して、教育、学習についてどう考えておられるのか、お聞きいたします。
以上で、壇上での質問を終わります。

議長(野田隆志君)

藤田市長。

(市長 藤田忠夫君 登壇)

市長(藤田忠夫君)

ただいま議題となりました議案に対する質疑につきましては、慣例に従いまして、助役ほか関係説明員から答弁をいたさせますので、よろしくお願いいたします。

議長(野田隆志君)

縄田助役。

(助役 縄田欽一君 登壇)

助役(縄田欽一君)

それでは、広重議員の御質問にお答えをいたします。
議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件、第1点は、審議会の答申についてであります。
本市といたしましては、国の男女共同参画社会基本法や宇部市男女共同参画推進審議会からいただいた答申を尊重するとともに、より広く意見を聞くため、市民の代表である市議会等の御意見も十分お聞きしたところであります。また、少子・高齢化への対応のためには、職場、地域、家庭などさまざまな分野で男女がともに豊かで心の通い合う男女共同参画社会の実現が必要であり、これらを踏まえ、本市の姿勢をより明確にした条例案にするため一部変更を加えたものであります。
第2点の目的についてでございますが、男女共同参画の推進に当たりましては、行政が家庭や個人の思想及び良心の自由についてまで踏み込むものではないという立場から、そのことに配慮いたしまして目的を定めようとするものであります。
第3点、基本理念についてでございますが、男女共同参画をらしさ否定と受け取る向きもありますので、一般的に言う、男らしさ、女らしさを否定するものではないということを明記した上で、個人としての尊厳が重んじられることが重要であるという考え方に基づき、基本理念を定めようとするものであります。
第4点、教育及び学習の振興についてでありますが、男女共同参画を推進するために開催される講演会や講座における講師の選定につきましては、男女共同参画についてさまざまな御意見もあると思いますので、各方面から講師を招いて、男女共同参画に対する市民の皆様の御理解を深めていただきたいと考えております。
以上でございます。

議席番号19番(広重市郎君)

確認も含めて、再質問をちょっとさせていただきたいと思います。
まず最初に、去年の12月、私一般質問をしましたが、その中で、これジェンダー・フリー教育ということで一般質問をしました。その中で、ジェンダー・フリーということと男女共同参画という点、極めて大きく関連がありますので、三重県の男女共同参画推進条例の制定のときに、県、これは三重県ですけれども、県が、条例は、いわゆる、らしさを否定するものではないと。それから、専業主婦は重要な役割を果たしている。それから、家庭、家族ですね、家庭、家族の重視は条例の前提であるという点が、県議会で答弁されておる。
これについて、市長はどう思われますかと、私聞きました。そのとき、市長は、それは、大変結構やないかと思うと、こういうふうに答弁されました。市長のこの基本的な考え方が、今回の条例案に盛り込まれておるというふうに、私理解、今の段階してるんですけれども、そのように思ってよろしいでしょうか、お聞きしたいと思います。

市民生活部長(福山清二君)

お答えいたします。
そのように思われて結構でございます。
以上でございます。

議席番号19番(広重市郎君)

その第1条の方に、先ほども、ちょっと壇上でも言いましたけれども、「行政が家庭や個人の思想及び良心の自由の尊重に配慮しながら」という文言があります。県、これ、どこの県とは言いませんが、県、あるいは、市が、パンフレットや小冊子で、いわゆるジェンダー・チェックと称して、もっともらしい質問項目をたくさんつくってるんです。
そして、例えば、その質問に対して、例えば、ノーが、ノーというのはそれじゃないということでしょう、多分。その多い人ほどジェンダーに敏感な人だと、こういう評価がしてある。敏感の反対語ということになると鈍感ということになります。だから、ジェンダーに敏感な人という評価が行われているんですけれども、その敏感の反対語は鈍感、そうすると、私は明らかに鈍感になります。鈍感になります。それで結構です。
例えば、それから、あるいは、その質問に対して何点以上の人は、例えば、ジェンダー・フリーの意識が身についている。何点以下の人は、らしさにこだわる前にその価値観から離れて、価値観から離れてなどという表現が使ってあります。これ、まさしく、行政による住民の考え方のチェック、思想チェック、思想統制ということになります。今後、この男女共同参画推進という点で、こういう点をどう思われますか。このあたりについて、これは担当される部長さんの考え方をちょっと聞かせていただけたらと思うんですけど。

市民生活部長(福山清二君)

お答えいたします。
男女共同参画というのは、男女の人権を尊重するということ、あるいは、社会経済情勢の中で出てきたものでありまして、ジェンダー・チェックという方式といいますか、私たち自身が持っているようなジェンダーについて、さまざまな手法でいろんなことが試みられていますが、今、議員が言われましたように、敏感だとか、あるいは、さまざまな形でほんとに傷つくといいますか、思想チェックになるんじゃないかというふうに思われるかたがあるような、そういう表現方法といいますか、質問の仕方は適正でないと、そういうことで思ってますから、私どもは、そういうことについては気をつけてまいりたいと思います。
以上でございます。

議席番号19番(広重市郎君)

次、第3条の基本理念のところに、男らしさ、女らしさを一方的に、一方的に否定することなく、男女の特性を認め合いと述べてあります。先ほど、ちょっと壇上でも申しましたが、文部科学省の委嘱でつくられた新子育て支援「未来を育てる基本のき」という、こういうパンフレットがございます。こういうパンフレットがございます。
これは、実は、4月の11日、4月の11日に衆議院の青少年問題に関する特別委員会という委員会で、民主党の山谷えり子さんが、このパンフレットを取り上げておられます。私は、民主党は、私は好きではありませんけれども、このかたは、私は尊敬しております。国会の議事録もあります。国会の議事録もあります。
去年の12月、先ほど言いましたけども、私、12月の一般質問でジェンダー・フリーは、この考え方でいくと、ひな祭り、あるいは、端午の節句、こういったものを否定する。すなわち、歴史・文化・伝統を否定するものではないかと、その考え方を突き詰めていくと、そうなるんじゃないかという質問をいたしました。これは、ジェンダー・フリー教育という点で質問しましたんですが、教育長から明確な、この件に関してはお答えはいただいておりません。
ちょうど、そのひな祭り、端午の節句ということに関して、この新子育て云々なるこのパンフレットには、ひな祭り、端午の節句はもとより、もっともっとたくさんのことが、よろしくないということで取り上げられているんです。これ、ぜひ一度見ていただきたい。表現は極めてやわらかく書いてありますよ。表現は極めてやわらかく書いてある。しかし、こんなパンフレットがつくられてるんですよ。文部省が、これは委嘱して、文部科学省が委嘱してつくられたものですけども。
こういった点について、まさしく教育長、どう思いますかと聞きたいところですけれども、議案質疑ですので、教育長のお答えを求めませんが、これいずれ、私、本当に教育委員の方々にお聞きしたいと思います。どう思われるか、そういった点について、いずれお聞きしたいと、このように思っております。そういった基本的な考え方についてですね。
先ほど言いました民主党の山谷えり子さんっていうかたは、実はその後、5月29日、これは、文部科学委員会、衆議院の文部科学委員会で、やはり「ラブ・アンド・ボディー」という小冊子も取り上げておられるんです。「ラブ・アンド・ボディー」という、こういう小冊子ですけれども、ここでは、この件については詳しく言いませんが、これも、ジェンダー・フリー教育と極めて大きく関連してると、私は思っております。極めて大事な問題だと、このジェンダー・フリーなることに、言葉で、いろんな推進活動、推進のためのパンフレット等がつくられておりますけれども、極めて大事な問題だと思います。
長い間につくられた文化を否定して、さらに、いわゆる性道徳、性道徳、この場合の性、いわゆるセックスですが、その性道徳を否定するような動きが現実に行われているんです。いろんなパンフレット見ますと、そうとしか思えないパンフレットです。このような動きに同調しないでいただきたい。こう思っておりますが、この点については、これは、担当部長、助役でも結構ですが、市長からも、このあたりについては、考え方をちょっとお聞きしたいと思います。
そりゃ、担当部長が言われても一緒の考えというふうにとってもいいですけれども、やはりこの件に関しては、壇上での質問についても助役とか担当の部長が答弁するというふうに答えられました。それはそれでも結構ですけれども、こういう基本的な大事な問題については、やはり私は、市長からもお答えは聞きたいと、どうしてもだめだと言われるなら、そりゃほかのかたでもいいですけれども、その点についてはお聞きしたい。

市長(藤田忠夫君)

基本的な考え方としては、今、お話のあったとおりであると思っております。
以上であります。

議席番号19番(広重市郎君)

極めて単純明快なお答えありがとうございました。ほんとにありがとうございました。
次に、最後になりますが、その教育及び学習の振興についてという項目、第13条でしたか、いずれにしても、教育及び学習の振興についてという点です。
男女共同参画推進のために市の主催で、これまで講演会、それから、これからも、啓蒙のための研修会、講座っていうのを当然のことで開かれるでしょう。これまでも、いろんな講演会等がありましたが、その今までどんな講師を呼ばれてきたか、宇部市が呼ばれたか、私、壇上で、意見を言ってきたが無視されたと言いましたけれども、具体的な例をちょっと挙げますよ。何言ってるんかと言われたら困るんで、具体的な例を挙げますと、平成10年です。「何でもかんでも腹が立つ」という本を書いておる残間何々さん、何がしという人が、宇部に講演会に来られております。彼女は、そのなんでも腹が立つようですけれども、私も、これには腹が立ちましたね。今、監査委員やっておられます山根さんが総務部長のときだったと思います。そして、私は、その山根部長、当時の総務部長さんのところに意見を言ったということをよく覚えてるんですけども、山根さんは、お忘れになっているかもわかりませんけれども、話したことがあると思います。
それから、昨年の遙洋子氏、7月19日に、私はこれを担当しているところにメールを打ちました。こういう人は、だれが呼ばれたんですかと、いまだに返事はありません。そろそろ1年になりますけれども、いま返事をもらってもしようがありませんが、そのほかの講師にしても、極めて偏ってると言うしかありません。これは、職員の研修ですか、朴木佳緒留さんという神戸大学の教授のかたも来ておられる。それから、落合恵子というかたも来ておられます。大阪の親しい人から、いろんな資料を送ってもらったりしてるんですけれども、大阪近辺の市でその専ら、この男女共同参画の推進のための講演会の講師をしておるある大学の助教授のかた、名前は言いませんが、その人が、ある市での講演会で使われたレジュメ、講演で使うレジュメを送っていただきました。はっきり言いまして、とんでもない、私は内容だと思いました。
これも、たしか、昨年でしたか、私、総務部の方にこういうものをある市では講演会で、こういうかたが講師でやってますよということで、私、その資料をたしか差し上げたような気がするんですけれども、その人が、実はこの6月8日の日に、大阪市の講演会に講師として出ておられる。そして、話をされたんでしょう。
で、市民のかたが、中身について大阪市に抗議されてます。そして、公開質問状を6月13日に出しておられるんです。そういったことも含めて、これから市がいろいろな意味で、教育、あるいは、講習会、研修会、啓蒙のためのいろんなそういったものをやられると思いますけども、講師の選定に当たっては、やはり偏らないでいただきたい。この点についてはどうでしょうか。

助役(縄田欽一君)

先ほど壇上でお答えをいたしましたように、考え方にはいろいろさまざまな御意見もあるというふうに考えておりますので、最近でも講師の講演ということにつきましては、両方のサイドで講演の申し出があったものについては受け付けて、できるだけ多くのかたの講演を聞きながら、本人の、市民の皆さんの個人でその判断をしていただいて、それぞれの理解をしていただくというような方向で、どちらに偏ったというようなことでなくて、市としては両方の意見を十分皆さんの判断で聞いていただきたいというふうな方向でまいりたいというふうに思っております。

議席番号19番(広重市郎君)

以上で質問は終わりますが、いずれにしましても、この条例そのものを最終的に決めるのは議会です。審議会とか、行政が、この条例を決める場ではありません。そして、これから男女共同参画を推進するのは結構ですけれども、その目的は何か。そして、いろんな意味でノイジーに吹聴しておられるかたの思想的な背景というものは何なのか。行政、あるいは、教育の面で、そういったものに安易に振り回されないでいただきたいということを強く要請して、質問を終わります。

議長(野田隆志君)

以上で、広重市郎君の質疑は終わりました。
次に、順位第2番大野京子さんの登壇、発言を許します。大野京子さん。

(議席番号12番 大野京子君 登壇)

議席番号12番(大野京子君)

日本共産党宇部市議団を代表いたしまして、議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件について質問をいたします。市長の明快な答弁を求めます。
本市は、国の男女共同参画社会基本法に基づき、2001年3月に「うべ男女共同参画推進プラン」を策定しました。21世紀にふさわしい男女共同参画社会の実現に向けて、本市独自の条例制定が求められていると思います。昨年10月26日、市は宇部市男女共同参画審議会に対し、男女共同参画推進に関する条例の基本的な考え方について諮問されました。
私は、議会選出の審議会委員の一員として、その歴史的な作業に参加させていただいたわけです。審議会は、諮問された内容について、慎重にかつ審議会内に部会まで設け熱心に審議を重ねました。その結果、本年1月31日、諮問された内容について答申するに至ったわけです。新年度の4月には、庁内の機構変更が予定されていることもあり、本条例の扱い部局が変わることが予測されていたため、できれば13年度中、3月議会に上程・成立を条例案づくりにかかわっていたメンバーの多くは望んでいたようです。
ところが、そんな予測は否定されました。私は、3月議会の代表質問の中で、条例上程の予定についてただしたところ、6月議会にはと答弁をいただいたのです。5月に入って、会派代表者会議に提出された条例案を見て、私は血の気の引く思いがしました。審議会の答申は、無残にも至るところが黒塗り修正がされ、まるで戦前の統制教科書を思わせるような印象を受けたからです。一言で言って、顔に泥を塗られたとは、このことではないでしょうか。
審議会は、市が示した男女共同参画推進に関する条例の基本的な考え方について、これにのっとって条例案づくりに努力をしてきたわけです。委員のさまざまな意見、また、市民の声も踏まえ、その基本的な考え方から外れずに答申をしたわけです。一字一句どころか、男女共同参画を推進するための基本部分までが括弧つき修正がされていたわけです。
条例をつくる目的は一体何なんでしょうか。審議会とは何なのでしょうか。答申とは何なのでしょうか。市長、どなたの御意見でこんな哀れな姿になったのでしょうか。これが市長の本意とすれば、あらゆる点で矛盾が多過ぎる。いろんな疑問がわいてきました。
1998年6月、宇部市は、男女共同参画都市宣言を行いました。その宣言文には、「男女がともに一人ひとりの個性を生かし、生き生きと豊かに生活ができる社会をめざす。男女がともに政治・経済・文化などあらゆる分野へ参画し、活力ある社会をめざす。男女がともに健康で住みよい環境をはぐくみ、さまざまな人との交流協力を深め、世界に平和と友情の輪を広げる」この決議文と条例案、どう見てもマッチしない、そのように思えて仕方ありません。
壇上からは、以下4点についてお尋ねいたします。
その1点、審議会答申の条例案では「責務」、これを「役割」に変えた理由。答申では、前文、第1条、第4条、第5条、第6条に、その該当する文章がございます。
2点目、第3条、基本理念に男らしさ、女らしさを入れた理由。
3点目、第7条、表題では、禁止規定、内容では努力規定、その整合性についてお尋ねいたします。
4点目は、第18条、表題では、処理規定、内容では対応になっています。この整合性についてお尋ねいたします。
以上で、壇上での質問を終わります。

議長(野田隆志君)

縄田助役。

(助役 縄田欽一君 登壇)

助役(縄田欽一君)

大野議員の質問にお答えをいたします。
議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件、第1点、審議会答申の条例案の「責務」を「役割」に変えた理由。
男女共同参画の推進に関する取り組みは、行政が強制して行うものではなく、人々の意識にかかわる取り組みでありますので、市民、事業者、市が、みずから主体的に取り組み、三者が連携してそれぞれの役割を果たしていくことが必要とされるため、責務規定ではなく、役割とするものであります。
第2点、男らしさ、女らしさを入れた理由。
男女共同参画をらしさ否定と受け取る向きもありますので、一般的に言う「男らしさ」「女らしさ」を否定するものではないことを明記した上で、個人としての尊厳が重んじられることが重要であるという考え方に基づき、基本理念を定めようとするものであります。
第3点、第7条の表題と内容の整合性についてでありますが、条例案第7条は、性別による権利侵害となる行為の根絶を目指すことを趣旨としていることから、これらの行為が互いに人間としての尊厳を損なう行為であることを深く理解することによる抑止効果を期待する表現に改めたものであります。
第4点、第18条の表題と内容の整合性についてでありますが、苦情の申し出の処理は、苦情の内容に応じた対応が必要となってまいりますので、適切に対応するとしているところであります。
以上でございます。

議席番号12番(大野京子君)

ありがとうございました。
壇上での質問の再質問に入る前に、数点お尋ねをしたいと思います。
今回、議案として提案をされているこの条例案でございますけれど、これは、審議会答申の修正案なのでしょうか。それとも、別案、独自案なのでございましょうか、どちらでしょうか。

市民生活部長(福山清二君)

お答えいたします。
審議会にお願いしましたのは、条例をつくるに当たっての基本的な考え方ということを諮問いたしまして、審議されまして、その中で基本的考え方ということを諮問、答申をいただきました。その中で、いろいろその基本的な考え方だけじゃなくて、条例案もあった方がより、その方がはっきり表現できるということもあったでしょう、最後のところでその条例案としてはこういうのがいいという形で出されました。
そういう意味で、審議会からは、答申案としても、条例案とほぼ同じものが出ましたけども、それは、あくまでも、それを修正したというんじゃなくて、市としては、基本的考え方を諮問し、答申をいただきましたんで、それを参考にし、それを尊重する中で、先ほど御答弁申しましたように、委員の皆様だとか、市民の皆様方の御意見を入れながら、宇部市としての、修正案じゃなくて、宇部市としての条例案を提出し、上程されたところでございます。
以上でございます。

議席番号12番(大野京子君)

わかりました。独自案というふうにとらえてよろしいわけですね。
次に、諮問機関である審議会、その審議会に対して、昨年の10月にこういった男女共同参画に関する条例の基本的な考え方というのが示されたわけです。私どもは、委員会でこれに基づいて審議をしていったわけです。壇上でも申し上げましたけれど、この文章については、どちらの責任で出されたのでしょうか。

市民生活部長(福山清二君)

基本的な考え方の諮問につきまして、あるいは、その後につきましても、たたき台なるものは宇部市の責任として出しました。
以上でございます。

議席番号12番(大野京子君)

済みません。ちょっと、よくわかりませんね。私どもは、何ていいますかね、宇部市っていうふうに書いてあって、特に、藤田市長というふうに書いてあるわけでもありませんけれど、宇部市、行政側から提案をされたものと信頼をしてずうっと審議をしたわけです。この基本的な考え方の中には、条例案の中にずうっと盛り込まれております前文からすべて最後の第何条までですかね、それまで全部含まれています。
で、私どもは、ほんとに素直にこの基本的な考え方に沿って答申文をつくっていったわけなんですね。だから、これから大きく外れているんでしたら、当然、宇部市の考え方を曲げたというふうにとらわれて仕方ないのかなというふうに思いますが、先ほどの質問の中にも、考え方についてというふうな確認がございましたけれど、なかなかこの辺は難しい問題だなというふうに思いますが、これ以上申し上げるつもりはございません。ちょっと、考え方についてどうなのかというのは、また後ほど、この議会が済んでからでもお尋ねしたいと思います。
次に、審議会についての位置づけですけれど、審議会の位置づけ、重み、この点、一般質問でも、ある議員さんがちょっと質問されていたと思いますけれど、一体審議会というのは何なんだろうかというのを、私、この間、ずうっと疑問に思っております。この審議会というのは、どういうふうに位置づけられているのでしょうか。

助役(縄田欽一君)

審議会は、市長は諮問をし、意見としてこれを尊重して、できるだけその審議会の意見を尊重するというのが建前でございます。したがいまして、今回につきましても、審議会の答申ということの重みを十分に考えまして、これを市だけで直接直すというのはいかがかというようなことも慎重に考えました上で、議会にも意見をお聞きをするというような前代未聞のことでございますけども、そういう措置までとって修正すべきところは修正したというふうに、私は認識をしております。

議席番号12番(大野京子君)

私自身は、この答申した条例案と今回提案されている議案をよくよく読めば読むほど、基本的なところからちょっと変わってきてるなちゅうことをつくづく思うわけです。この点について深く討論していくと随分時間がかかってしまうと思いますので、その中でも、幾つかこの場所でお尋ねしたいと思います。
では、壇上で質問させていただきました4点目の一番最初の、1番目の質問ですが、審議会答申の中でね、条例案の中には、責務というのが4カ所ですかね、1、2、3、4、5カ所ほど出ております。私ども日本共産党の市議団が、この6月の初めに、市長さんに時間とっていただきまして、この問題について御意見を聞かせていただきました。その場所で、私、「責務」が「役割」にかわっているのは、これはどういうことなんでしょうかというふうにお尋ねしました。
市長さんは、「責務」も「役割」も同じじゃないかと、そういうふうに答えてくださったんですが、何日たってもこれ同じだというふうに、私自身思えません。そこで、広辞苑っていうのを調べてみましたけれど、責務と役割は全く違うということが、この中でも明らかになりました。責務とは、一言に言って、「責任として果たすべきつとめ」というふうに書いてあります。役割は、一言で言うと、「役をそれぞれ割り当てること」と、こういうふうに書いてありますので、その重みは全く違うと、この辺を指摘させていただきます。
2点目、第3条の男らしさ、女らしさを挿入した理由ですけれども、答申案の中には当然この文章はありませんでした。そして、なぜ、この「らしさ」を入れていく必要といいますかね、というのは、国の基本法でもそうですし、県がつくっている条例案でもそうですし、私の手元に随分たくさんのいろんな条例案がありますけれども、その「らしさ」というのを入れているのに、私はまだ当たっていないんですね。
で、この基本的な考え方の中でも、そして、先ほど御答弁いただいた中にも、個人としての尊厳が重んじられることが重要であるという考え方に基づきというふうな御答弁もいただいているわけです。
で、ここで、「らしさ」のことを議論してもどうかとは思うんですけれど、「らしさ」というのは、いろいろその見方によって違うと思うんですね。女性は女性らしい、男性は男性らしいというのが、昔からありますけれど、じゃ、何を指して男らしいというのか、女らしいというのか、その辺はその個人によって全然違ってくるというふうに思うわけですので、この「らしさ」をわざわざ入れる、しかも、法文として入れるということについて、私はどうも解せないわけです。ですから、この辺もまた、ぜひ考えていっていただきたいと思うわけです。訂正ができるなら。
そして、第3点目の第7条の表題と内容の整合性です。
答申案の方には、「すべての人は、家庭、職場、学校、地域、その他の社会のあらゆる分野において、次に掲げる行為を行なってはならない。」表題が性別による権利侵害の禁止などというふうになってます。で、禁止項目として、1点、2点、3点と挙げています。この禁止項目が外れて、こちらの条例文でいくと、第7条は、「尊厳を損なうことのないように努めなければならない。」表題には、権利侵害の禁止などとあるのに、説明の中には努めなければならないと、努力規定になってしまってる。
そして、特に、問題だと思うのは、この中の内容として、条例文と答申文は同じですから申し上げませんが、1点、2点、3点と、要するに、性別による差別的な取り扱いをしてはいけませんというふうなことが、ずうっと書かれているわけですけれど、これは、性別による差別的取り扱いをしてはいけない。特に、職場でもそうです。地域でもそうです。家庭でもそうです。あらゆる場所でそういう差別的な扱いをしてはいけないっていうふうなことがきちんと書いてあるわけで、これを努めなければならないというような努力規定に変えていくということは、大きな問題ではないかっていうふうに思います。この辺についていかがでしょうか。
この答弁でいくと、女らしさ、否定と受け取る向きもありますのでというふうに御答弁いただきましたが、らしさを否定っていうふうにわざわざ、条文の中っていいますかね、らしさを否定するっていうようなことは、特にないと思うんですよね。ないと思うものが、なぜわざわざここに入ってくるのか。
あっ、ごめんなさい、話がちょっとあっちこっちなりましたね。性別による禁止の項目、そして、この中で、禁止しなきゃいけないというものが努力規定になっている。そして、その努力規定では、一歩も進まないんだということを私は思うわけですけれど、この辺についていかがでしょうか。

市民生活部長(福山清二君)

お答えいたします。
先ほど助役が答弁いたしましたように、確かに議員さんが言われるようなこともありますが、私どもとしましたら、そういう尊厳を損なうような行為があることをお互いにしてはならないということですけども、抑止効果を期待する表現という形でこういう表現にしたということで答弁をさせていただきます。
以上でございます。

議席番号12番(大野京子君)

根絶を目指すことを趣旨としていることからということで、最終的には抑止効果を期待するという、何かちょっと、これも、ちょっと矛盾じゃないかなというふうに思いますので、この辺もぜひ考えていただきたいと思います。
次に、第18条、18条、壇上の質問では最後のところで、第18条の表題と内容の整合性、ここも、表題では、苦情の申し出の処理というふうになっております。そして、答申の中では、「適切に処理するように努めるものとする」というふうになっているわけですけれども、今回の議案では、適切に対応するようにというふうなことで、対応をするだけではいけないのではないかと、対応して処理をするが入らないと、とりあえず聞いておきましょうかというふうなことだけでは一歩も進まないと、そのように思うわけです。この辺もぜひ、お考えいただきたいと思います。
次に、第8条、第8条、皆さん、お手元にお持ちですかね。第8条、公衆に表示する情報に関する留意というところで、これが、答申の中は、女性に対する暴力などを助長しというふうな文章になっていたわけですけれど、これが、今度異性に対する暴力にというふうになってます。
異性に対しての暴力がいけないということは、じゃ、同性に対してならいいのかなというふうに思いますし、わざわざ「女性」を「異性」に変えるっていうのは、この男女共同参画を進めるという条例をつくる中で、この異性に変えるということ自身が、大変おかしいのではないかなと。今の世の中、例えば、こんな冗談話もありましたけれど、今ごろは、女性もだんなさん殺すじゃないかなんていうふうな発言も聞こえてきました。
それと、今のこの21世紀に入っても、実際に女性があらゆるいろんなところでそういったものに一言で言えば、DVとかいいますけれど、そういう目に遭っているっていうそういう状況の中で訂正していかなきゃいけないんだいうので、条例を制定しているわけですから、これを女性を異性に変えていく、これもおかしいのではないかなというふうに思います。
それから、まだたくさんありますけれど、全部は言いませんが、第14条で、これは大きな差しかえになっているのではないかと、私思いますので、この辺はしっかり御答弁いただきたいわけですが、答申の方では、事業者の報告、第14条、「市長は、この条例の施行に関し、必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画の推進に関する事項について報告を求めることができる。」こういうふうに事業者の報告責任を書いていたはずですけれど、議案の方では、そっくりすりかえられていますね。市長は、前条に規定する、前条というのだから、第13条に書いてあることに関して支援を行なったときには、こういうふうなことっていうふうに書いてあるわけですけれども、これは、職場内、主に事業者の報告ですから、職場の中でこういうふうな男女共同参画事業に関することが行われたとき、報告しなければいけないというふうな表題になっているはずですので、これを市民及び事業者の報告にかえて、前条にっていうふうにすると、事業者の報告責任っていうのが消えてしまうんではないかな、第13条に関してだけのことに、ほんとに幅が狭められてしまってるんじゃないかと思うわけですが、ここを御説明いただけますか。

助役(縄田欽一君)

この件につきましては、先ほどから申しておりますように、あくまでも、これは個人の意思によって、男女共同参画というのは行われるという基本理念から、市がいわゆる事業者について支援を行なった場合に限って限定をするという意味もありまして、そういう文章にかえておるところでございます。
そして、大変失礼ですが、つけ加えますと、今までいろいろ、いわゆる努力規定になっているということにつきましては、今申しましたように、あくまでも、個人の人間としての尊厳を損なうということのないように、個人の意思によって、例えば、男女の行動にいたしましても、これは、お互いが協力をしてすべてのいわゆる、女性の地位の向上とか、いろいろな問題もありましょうが、これは、男女が協力をしてやるという意味から、男女共同参画という言葉になっておるというふうに、私は理解をしておりますので、そういう基本的な理念から、こういう文言を直していったというふうに御理解をいただきたいと思います。

議席番号12番(大野京子君)

ちょっと納得できませんけれど、第14条のことについても、事業者の報告責任ということをしっかり規定するべきだというふうに思います。
そして、今、責務と役割のことについて触れられたのではないかなと思うわけですが、私の手元にあるのは、先ほども言いましたけれど、責務でなくて役割だっていうふうに書かれているものは一つもないわけですね。
そして、宇部市が、最近っていうんですかね、この近年情報公開条例とか、環境保全、何ですかね、条例を幾つかつくっておられますけれど、その中でも、責務っていう、事業者の責務、市民の責務とか、市の、何ていいますかね、そういうふうな責務規定になっているわけですね。
で、なぜ、女性、女性じゃない、男女共同参画の条例だけが責務でなくて役割になるのか、その辺もよくわかりません。これは、やっぱりしっかり責任と義務っていう形で、その個人の思想に入っていくとか、そんなおどろおどろしいことでなくて、責任と義務というものがきちんとあるということは押さえていかなければいけないんではないかなというふうなことを強く思います。
で、私自身の感想ですけれども、全体を通して答申に対する後退だというふうに思います。せっかく、審議会のメンバー、自信持って出されたものが、こういうふうな形でほんとに骨抜きになってしまっているっていうのを言わせていただきます。そして、一番肝心なのは、やっぱり国の基本法もそうですけれど、女性差別撤廃条約とか、国の世界の関係、そういうふうな世界の流れの中で、制定する条例にほんとにふさわしいかどうか、こういうふうに思うわけです。
ですから、ここで、慌てて条例をどうしてもきょうじゅうに成立させなきゃいけないとか、内容がどうであれ、条例が通ればいいんだっていうふうにお考えのかたも、中にはいらっしゃるかもしれませんけれども、そういうものでいいのかどうか、しっかり議員、議員っていいますかね、議会のかたもですが、執行部側のかたもしっかり考えて、ほんとに宇部市として誇りが持てる、どこに持っていっても恥ずかしくない条例文に仕上げていくべきだと、感想を述べさせていただきまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

議長(野田隆志君)

以上で、大野京子さんの質疑は終わりました。
次に、順位第3番岡村精二君の登壇、発言を許します。岡村精二君。

(議席番号5番 岡村精二君 登壇)

議席番号5番(岡村精二君)

失礼しました。どうも、無所属の岡村精二です。通告に従いまして、議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件について質疑を行います。
宇部市男女共同参画推進条例制定につきましては、男女共同参画推進審議会から、1月31日に答申を受けた後も、早期制定を求める女性団体による署名運動が行われたり、また、6月1日には、意見の異なる2つのグループがそれぞれの集会を開催し、市民の声は一つという印象がありません。この種の条例、特に、男女共同参画推進にかかわるような条例は、宇部市民が一体となって熱望してつくり上げたという印象がなければ、条例そのものが意味をなさないのではないかと思えてなりません。委員会では、慎重な審議をお願いしたいと思います。
さて、私は、男女共同参画の男性と女性がお互いに尊重し、喜びも責任も分かち合い、一人一人が個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現という趣旨には賛成ですが、男女共同参画という美名に惑わされて、逆に、女性が不幸になってしまうのではないかという懸念を持っています。男女共同参画が求められるようになった背景には、少子・高齢化による労働力の不足という社会的な要請があります。少子・高齢化により、将来的な年金や健康保険料などの収入不足を家庭にいる専業主婦を働かせることによって、補いたいという政府の思惑が働いているように思えてなりません。
また、政府が制定した男女共同参画基本法や、宇部市が男女共同参画実現のために独自に作成したパンフレットの内容にも大きな疑問点があります。
まず、男女共同参画基本法では、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会を形成することと書かれてあります。社会のあらゆる分野で均等に責任を担う。男女共同参画だから当然と言えば当然なのですが、均等ということは、あらゆる機会、場面において、男女が数字的にも同等でならなければならないということです。会社における仕事内容や量に男女差はなくなり、条例を後ろ盾に女性が過酷な労働を強いられる場合もあります。各種審議会や会社における役員の数、また、自衛隊の隊員の数まで、男女同数でなければならないという極論まで出てくる可能性があります。
タイタニックなど、映画の遭難シーンでは、救命ボートに乗船するとき、女性と子ども、お年寄りが優先されます。それは、船舶安全法で定められているからです。しかし、男女共同参画基本法では、女性が優先されるとは限りません。私は、緊急事態に陥ったとき、必ず女性や子どもが優先されるべきだと思います。極端な考え方は危険です。
宇部市が発行した「男女共同参画」というパンフレットを見ますと、家事や育児を大切にしている専業主婦や一般的な結婚のあり方を否定するような文面が見受けられます。
また、「男らしい」とか、「女らしい」という表現を使ってはいけないと書かれてありますが、男の子を男らしく、女の子を女の子らしく育ててはいけないという考え方に、私は賛成できません。性差よりも、余りにも個性を重視していることにも疑問を感じます。まともに受けとめれば、端午の節句やひな祭りまで否定してしまうことになります。度胸のあるなし、優しさ、たくましさは、男女差ではなく個人差だという考え方も気になります。優しさは、女性の持つの性的な特性ではいけないのでしょうか。
結婚の形については婚姻届を出しました、形に縛られたくないので婚姻届は出しません、別々に暮らしています、夫婦別姓にします、独身で生活していますと、5つの形態が示され、一般的な結婚の形はそのうちの一つにすぎないという書き方になっています。形に縛られたくないので婚姻届は出しません。別々に暮らしていますは、同棲や愛人関係の関係であり、ある意味では、男性に有利な交際の形です。女性を不幸にしてしまう可能性があります。子どもが生まれたとき、二人の関係はどうなるのでしょうか。
夫婦別姓もまだ政府が審議中のことです。男性と女性はそれぞれ性的な特性が違います。妊娠や出産など、母性保護ということを考えれば、女性は大切にされるべきです。特に、子どもに対する愛情の深さは、男性は女性には絶対に勝てません。それは、神様が女性に与えた特性だと思います。
高校2年になる息子が、幼稚園のとき、運動会で園児全員が頭から米袋をかぶり、ひざから下だけ出して運動場を走り回り、お父さんが、自分の子どもを探すというゲームがありました。私は、自分の子どもがまったくわからず、5人の米袋をはぐって全部外れでした。ゲームが終わり、観客席に戻ると、嫁さんの冷たい視線が待っていました。お父さんは、なぜわからないの、私は初めからわかっていたと言われました。嫁さんにはわかっても、私にはわからない。十カ月十日、自分のお腹の中で命をはぐくんだ母親と1回の行為で終わる父親の差だと思います。命がけで産み、命がけで育てる。それが、女性、母親の姿だと思います。男女の性的特性は動物的役割でもあります。
先日、小野田発電所で人工の巣で育つハヤブサのひなを映したビデオを見る機会がありました。子育てをする雌鳥は、子どものそばをいっときも離れようとせず、また、雄鳥はひたすら雌と子どものためにえさを運び続けていました。ハヤブサの家族のように、お互いの性的な特性を認め合い、協力し合う社会こそ、男女共同参画社会の目指す姿ではないでしょうか。子育ては一時的なものではなく一生続くものです。男性はもちろん、社会全体が支援することが大切だと思います。
私の母は78歳ですが、今も母の何げない一言に大きな教育力を感じることがあります。母の笑顔だけで力づけられることも多く、大きな愛に支えられている自分を強く感じます。母から見れば、48歳の息子などは頼りないという思いを持っているに違いないと思います。それが、母という存在ではないでしょうか。
私は、男女共同参画実現とは、男性と女性がそれぞれの性的特性を理解し、認め合い、助け合ってすばらしい社会を築いていこうとすることだと改めて思います。男女共同参画条例を制定することには賛成ですが、極端な考え方には賛成できません。本条例案につきましては、委員会に付託されますが、日本の文化と伝統を大切にし、子どもの立場に重きを置き、子育てを大切にする内容であってほしいと願っています。
それでは、以下3点について質問をいたします。
まず、条例案第2条の定義、男女共同参画社会についての質問です。
男女共同参画基本法では、「男女が社会のあらゆる分野における活動に参加する機会が確保され、もって男女が均等に社会的、政治的及び文化的利益を享受でき、かつ、ともに責任を担うべき社会を形成する」というふうに書かれております。条例案では、「あらゆる分野」が「さまざまな分野」と変更されていますが、その理由、また、「均等」という言葉も削除されていますが、その理由をお聞かせください。
次に、条例案第3条基本理念と宇部市発行の男女共同参画社会実現に向けたパンフレット「with you(ウイズ・ユー)」記載事項の差異についての質問です。
条例案第3条1項では、男女が男らしさ、女らしさを一方的に否定することなく、男女の特性を認め合い、お互いにその人格と役割を認めるとともに、尊厳を重んじ合うこと、また、男女がその特性と能力を発揮する機会が確保されることとあり、第5項では、専業主婦を否定することなく、現実に家庭を支えている主婦を男女がお互いに協力し、支援するよう配慮に努めることとあります。
条例案は、男女の特性を認め、また、専業主婦も否定することなくとあります。しかしながら、宇部市が発行した男女共同参画啓発パンフレット「with you(ウイズ・ユー)」を見ますと、男らしさ、女らしさを否定した内容となっています。また、結婚についても、5つの例が示され、婚姻届をだすごく普通の結婚は、その中の一例にすぎないという書き方になっています。不適切な記述があるということで、既に回収されているようですが、今後のパンフレットの取り扱いについてお聞きしたい。
また、今後つくられる新しいパンフレットは、男女の特性を認め、専業主婦を支援したものになるのかどうか、伺いたい。
最後に、将来的に本条例によって、女性が不利益をこうむる可能性はないのか、その点について質問をいたします。
男女共同参画基本法や山口県男女共同参画条例が、将来的に家庭や事業所、学校教育で大きな比重を持って扱われ、男女均等を旗印に女性が仕事上で過酷な労働条件に置かれ不利に扱われる懸念はないのか、母子家庭の扱いはどうなるのか、専業主婦が肩身の狭い思いをさせられる懸念はないのか、以上、伺いたい。
以上で、壇上での質問を終わります。

議長(野田隆志君)

縄田助役。

(助役 縄田欽一君 登壇)

助役(縄田欽一君)

岡村議員の御質問にお答えをいたします。
議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件、第1点の条例第2条の定義、男女共同参画についてでございますが、条例案第2条の男女共同参画の定義につきましては、男女共同参画社会基本法を踏まえながら、参画する分野が性質の違うさまざまな種類に広くわたっていることをあらわすために変更を加えたものであります。
また、男女共同参画基本法においての「均等」という用語は、男女共同参画社会の形成の定義であり、本条例案につきましては、男女共同参画の推進について、具体的な行為の重要性に着目した定義としたため、異なった表現となっているものであります。
第2点の条例第3条の基本理念と宇部市発行の男女共同参画社会実現に向けてたパンフレット「with you(ウイズ・ユー)」記載の事項の差異についてでございますが、男女共同参画社会の実現に向けたパンフレット「with you(ウイズ・ユー)」につきましては、その内容の一部に誤解を招く不適切な表現がありましたので配布を中止したところであります。今後は、内容について見直しを行なってまいりたいと考えております。
第3点の将来的に本条例によって、女性が不利益をこうむる可能性はないかとの御質問でございますが、本条例案においては、目的及び基本理念に定めておりますように、個人の特性を認め合い、尊厳を重んじ合うことなどから、男女共同参画の推進を目指すものでありますので、女性が不利益をこうむることはないと認識をしております。
また、社会参画は、みずからの意思によって行われるべきものであり、専業主婦の立場を選択するか否かについても、みずからの意思に基づくべきものでありますので、専業主婦の立場も当然のことながら尊重されるものであります。
以上でございます。

議席番号5番(岡村精二君)

回答の中の第3点について、何点か質問をさせていただきたいんですが、まず、今の回答の中で、私、いただいております回答の中の3行目に、「個人の特性を認め合い」というふうになっておりますが、ここは、「男女の特性」の間違いではないでしょうか。いかがですか。

市民生活部長(福山清二君)

お答えします。
個人の特性を認め合いというふうに、先ほど壇上で助役が申し上げましたが、それには間違いございません。男女の特性ということは条例文にありますが、ここの回答については個人の特性ということでございます。
以上でございます。

議席番号5番(岡村精二君)

条例からずうっと読んでいきますと、文字のつながりからいくと、男女の特性を認め合いというふうに読む方が、何か正しいような気もするんですが、どうでしょうか。そこをもう一度。

市民生活部長(福山清二君)

お答えします。
条例案の方の文章は、男女の特性を認め合いとなってますが、ここの今、お答えしましたことにつきましては、個人の特性ということであります。
以上でございます。

議席番号5番(岡村精二君)

それ以上言いませんけども、私は、できればここは男女の特性を認め合いというのが、何か文面からすると、そちらの案からすれば当たっているような気がいたしますが、もうこれ以上は言いません。
それでは、ちょっと2点か3点、ちょっとお伺いしたいんですが、担当福山部長で結構ですが、子どもに対する愛情の深さは、女性と男性はどちらが深いと思われますか。私は女性だと思いますが。

市民生活部長(福山清二君)

お答えします。
どちらとは言えない、どちらも深いというふうに思ってます。
以上でございます。

議席番号5番(岡村精二君)

なぜ、それを聞いたかと申しますと、今、私の友人が実は離婚をいたしまして、親権の取り合いをするときに、どうしても女性優位なんですね。女性が浮気をして仮に別れた場合でも、女性が大抵の場合、親権を、子どもの養育権とかをとっちゃうということです。男女共同参画社会になりますと、対等な立場でこれから取り扱われるような将来的な可能性というのは出てくるんでしょうか。その辺について、ちょっとお伺いをしたいと思いますが、どうでしょう。

市民生活部長(福山清二君)

お答えします。
離婚をされた場合の親権につきましては、協議離婚の場合はお互いが協議をして決められるというふうに聞きますし、調停とか裁判になれば、そこの第三者の判断も入ってきます。しかしながら、これは、あくまでも、子どもを中心に子どもにとってどちらが一番いいのかということで判断されているようでございますから、どちらが優位だという、優先だということじゃないというふうに認識しています。
それから、後段言われました今後の問題ですけども、やはり男女がお互いの平等に、また、お互いの権利を認めながら、尊厳を認めながら助け合っていく社会になれば、いろんな社会制度もそういうふうなことで変わってくるんじゃないかというふうに思ってます。
以上でございます。

議席番号5番(岡村精二君)

はい、わかりました。今のところ、どうも、離婚になりますと、女性の立場が優位に見られておるようですね。慰謝料にしてもそうですし、養育費も子どもと折半に将来なるんではないかと、母親が半分、父親も半分出せばいいと、慰謝料も半々じゃないかというふうな社会が将来つくらされていくとなると、女性にとってこれが非常に不利になるように、私は思えてならないんですよね。私は、あくまでも、子どもに対する愛情というの、男は女性には勝てない。私は、このことをつくづく思うんですが、再度、福山さんいかがですか、その辺は。

市民生活部長(福山清二君)

お答えします。
愛情の問題とかは別にしまして、将来的には、やはり男女が共同して社会をつくり上げる。また、家庭をつくるという、そういうことからすれば、社会制度やさまざまな問題が変わってくると思います。
先ほど、議員さんが、例えば、仕事上で過酷な労働条件に女性がなるんじゃないかと言われましたけども、これなんかも、逆に、過酷な労働条件をなくしていく、そして、長時間労働をなくして時間を短くする。男女どちらも短くして、家事にも、育児にもどちらにも携われるようにするというような、そういうこともあわせて検討されていますように、これからの社会も、男女共同参画になれば、いろいろな意味で変わってくるものだと認識しています。
以上でございます。

議席番号5番(岡村精二君)

今の福山さんの発言からすれば、女性の性的特性をますます認めてあげなさいということですね。そういうふうに解釈をしてよろしいわけですか。はい。
それから、もう一つ、母子家庭がありますが、現在、母子家庭は児童扶養手当が4万2,370円、1人当たりついてます。あと、母子家庭等医療費助成制度とか、母子寡婦福祉資金とか、職業訓練手当であるとか、税の軽減であるとか、JRの通勤用の定期券の割り引きであるとか、また、女性に対する優遇な法律がたくさんあるわけですね。これらは、もしも、男女共同参画社会がどんどん推進されてきますと、父子家庭にも、これと同じことが当てはまるような可能性は、将来出てくるわけでしょうかね。父子家庭にも、児童扶養手当が出てくるような可能性というのは、将来的にどうでしょう。

健康福祉部長兼福祉事務所長(古林信義君)

お答えいたします。
母子家庭と父子家庭の制度につきましては、やはり母子家庭の方々は、父子家庭と比べてやはり、経済的に弱い立場に置かれているかたが多いといったことから、やはり経済的な支援が中心となっております。
で、父子家庭につきましては、介護人派遣事業等、父親が一時的に疾病等で家庭のことができないといったときの家庭の支援といったような制度もあるわけでございますが、私ども、福祉的な立場で申し上げますと、やはり母子家庭、父子家庭といった、いわゆる世帯の形態の特性といいますか、その中で、どのような福祉が欠けているのか、どのようなサービスが必要なのかといった視点で、いろんな施策を検討していくべきであるというふうに考えております。
以上でございます。

議席番号5番(岡村精二君)

現在、いろいろなこう女性を優遇する制度がたくさんあるようですし、母子家庭も、たくさん優遇制度もあるようですけども、この条例が全国的に広まることによって、女性がつらい立場に追い込まれることがないように、父子家庭に対する、例えば、児童扶養手当がある、ふえるのは構わぬとは思うんですけども、逆に、そういう制度そのものがなくなってしまうようなことのないように、この条例がより女性にとっても、男性にとっても、有意義なものであるように祈念をいたします。
最後になりますけども、先日、駅のホームに座っておりましたら、向かい側のベンチに若い女性が座られました。赤ちゃん抱えていらっしゃった。3カ月ぐらいかな、だいて座られましたところが、しばらくして赤ちゃんが泣き始めまして、お母さんが、かばんから哺乳びんを出されたんですが、3分の1も入ってなかったんですね。ちょこっとしか、それを飲まされたんだけども足りなくて、赤ちゃんがすぐに泣き始めました。
どうするかなと見てますと、思い切ってブラウスのボタンを外され、ブラジャー外して、おっぱいをぱっと上げ始めた。最近、そういう姿見てなかったんで、びっくりしたんですけども、ああ、恥ずかしいかなと思ったんでしょうけども、赤らめてこうやってらっしゃいましたが、そばにおられた女性のかたが、ぱたっと駆け寄っていって、かばんからハンカチを出して、肩にぽっと当てられました。
そうしますと、その回りにいた10人ぐらいの女性が、そのかたを囲むように視線を遮るようにしてですね、立たれて、その若いお母さんをですね、かばうような態度を示されました。私、こういう社会こそが、男女共同参画の中で子育てを支援していくということじゃないかなっていうふうに思います。
私、少子化という日本を支え合うための条例であってほしいし、また、今回の条例制定に当たっては、どうしても、市民総意でつくり上げたという社会的な印象が一番大切だろうと思います。一部の女性がかち取ったという印象がぜひないようにしていただきたいし、また、本条例は、委員会に付託され、賛否が検討されるわけですが、内容を見ますと、男女が男らしさ、女らしさを一方的に否定することなく、男女の特性を認め合いとあります。また、専業主婦を否定することなく、現実に家庭を支えている主婦を男女がお互いに協力し、支援するような配慮に努めるという文章が導入されたことは、今までの男女共同参画社会実現のための流れを、運動の流れを変えるものだと、私は思ってます。全国的にも画期的な内容だと思われますが、この流れが全国の自治体に波及するように期待して、質問を終わります。

議長(野田隆志君)

以上で、岡村精二君の質疑は終わりました。
以上で、通告による質疑は終わりました。ほかに質疑はありませんか。

(「なし」と呼ぶ者あり)

議長(野田隆志君)

ないようであります。これにて質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております議案第49号から第57号、報告第1号及び第2号並びに本日までに受理した請願第1号については、お手元に配付しております議案等付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
以上で、本日の日程は全部終了いたしました。

議長(野田隆志君)

本日はこれにて散会いたします。

午前11時22分散会

地方自治法第123条第2項の規定により、ここに署名する。

平成14年6月20日

宇部市議会議長 野田 隆志

宇部市議会議員 柴田 敏彰

宇部市議会議員 田中 敏弘

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