世界かんがい施設遺産 常盤湖
平成28年11月8日(火曜日)にタイ王国のチェンマイで開催された、国際かんがい排水委員会(ICID)国際執行理事会において、常盤湖が世界かんがい施設遺産に登録されました。
登録施設
- 名称 常盤湖
- 施設の所在市町村 宇部市
- 供用開始年 1698年
- かんがい面積(排水施設は排水面積) 17ヘクタール
- 経度・緯度 経度131度17分・緯度33度57分
- 流域名 塚穴川
- 申請をした国内委員会 ICID日本国内委員会
概要・特徴
常盤湖は、宇部市南東部に位置する山口県最大の湖(堤高9.4メートル、堤長65メートル、堤体積3800立方メートル、貯水量3,767,700トン、満水面積80.9ヘクタール)で、国内有数の観光地である、緑と花と彫刻に彩られた「ときわ公園」の中心を占めています。
1625年毛利藩永代家老福原家は、関ケ原の戦いで敗北した毛利家のお家事情により、宇部に領地換えとなりました。領主の福原広俊は、積極的に田畑の開作政策を進めていましたが、農民からの訴えを聞き入れ、1695年に常盤湖築堤に着手し、1698年に完成しました。さらに、溜水、用水路工事、検地等関連作業が1701年に完成し、その結果、305町9反7畝の水田を灌漑することができたといいます。
工事は、福原家筆頭家老の椋梨権左衛門が中心となって行い、築堤にあたっては、本土手の位置を白髪の老人のお告げによって決めたり、池になかなか水が溜まらず、湖畔に松を植えたり、神仏に祈ったりしたという逸話が残っています。
湖は、南北に約1.8キロメートル、東西に約1.3キロメートル、掌をほぼ南北の方向に押し付けた形で、北部には指先に相当する入り組んだ地形が見られます。この入り江を形づくる長く突き出した岬とそこに残された森の緑が生み出す陰影は、広大な水面の表情に変化を与え、常盤湖の景観を大変美しく彩っています。
1920年には、湖岸の別荘地にサクラが植樹されるなど、自然風景を活かした景勝地として知られるようになりました。1921年には、湖面を楽しむための遊覧船の使用が、常盤溜め池水利組合に許可され、現在も水上からの景色をボートで楽しむことができます。
炭鉱のまちとして栄えた宇部市は、人口が増加し、1921年に村から一躍市に昇格しました。これに伴い、地元の実業家渡辺祐策らにより、風光明媚な常盤湖周辺を市民に一般開放する目的での土地購入が1924年から進められ、市への寄贈により、1925年にときわ公園が開設されました。
1943年に、山口県の常盤池用水改良事業により、厚東川から常盤湖へ水が引かれ、常盤湖を遊水池とした工業用水にも活用するようになりました。
当初は人工的に堰き止められた、降水を主水源とした貯蔵湖だったため、単純な淡水湖でしたが、厚東川からの導水やペリカンの飼育、水鳥の生育により水質も変化していきました。
現在でも周辺では100種類を超える多くの野鳥が観察され、市民が水鳥と親しむ場となっています。
戦後の復興を遂げる中、日本有数の煤塵公害で名を馳せた宇部では、逆境を克服するために市民による「市民公園を花で埋める運動」が提唱され、「花いっぱい運動」が展開されます。また市民の活動は、「宇部を彫刻で飾る運動」に広がり、1961年には、日本初の試みとして、ときわ公園を会場とした「宇部市野外彫刻展」が開催されました。
現在も、常盤湖畔は緑と花であふれ、「UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」の会場や彫刻の展示場として利用されています。
常盤湖の湖畔を巡る5.7キロメートルの周遊園路も整備され、ウオーキング等を楽しむことができ、多様な利用形態を有する都市公園として多くの市民に愛されています。
なお、ときわ公園は、2008年7月28日には、「近世萩藩の新田開発に伴って造成された人造湖を母体とし、その後、自然風景を活かした景勝地として発展を遂げた都市公園で、現在でも宇部市民に広く親しまれています。地元の実業家による土地購入活動・寄贈の下に開設に至った公園であり、その造園史上の意義は深く、造園文化に果たす役割が大きい。」という理由により、国の登録記念物に登録されました。
また、これまでに「日本の都市公園100選」、「日本さくら名所100選」、「21世紀に残したい日本の風景 総合公園部門1位」、「美しい日本の歩きたくなるみち500選」、「池坊花逍遥100選」、「新日本歩く道紀行文化の道100選」にも選出されています。
関連リンク先
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