令和6年度第1回人権を考えるつどい(終了しました)

ウェブ番号1011146  更新日 2024年9月20日

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イベントカテゴリ: 講座・教室(学ぶ・聞く)

目的

市民宣言にうたわれている「人間が尊重される都市づくり」をめざし、様々な場を通じて、市民一人ひとりの人権尊重の意識を高める人権教育を推進しているところです。

この取組をより確かなものにしていくために、広く市民を対象に「人権を考えるつどい」を開催します。

開催日

2024年8月7日(水曜日)

開催時間

午後2時 から 午後4時 まで

開催場所

宇部市多世代ふれあいセンター 2階 ふれあいホール
宇部市琴芝町二丁目4番25号

対象

市民

内容

演題

インターネットと人権

申込み締め切り日

2024年7月24日(水曜日)

申込みは終了しました。

申込み
  • Web会議システム「Cisco Webex Meetings」を使用して、ライブ配信も行う予定です。
    配信を視聴希望の方は、メール(メールアドレスはチラシに記載)またはお問い合わせフォームからお申込みください。
    後日、視聴方法をお知らせいたします。
費用

無料

問い合わせ先

教育委員会事務局 人権教育課 社会人権教育係
電話番号:0836-34-8620

主催者

宇部市、宇部市教育委員会

備考

・手話通訳がつきます。また、ハートウォーミングシート(優先席)を設置しています。
・ご来場は、できるだけ公共交通機関をご利用ください。
・会場などにおいて支援が必要な方は、事前に御連絡をお願いします。

講師
山口県金融広報アドバイザー 岡本 浩司

開催状況

開催状況の写真

会場での受講と並行して、ウェブ会議システムを使用してライブ配信も行いました。

会場102人、配信165人、計267人の方が受講されました。
 

受講者からの質問・意見と講師の回答・補足

質問

どうしても本当に伝えたい人に、学校のメッセージ(ネットトラブルの注意喚起)が伝わらないのが現状です。今日参加の人たちは、意識の高い方、常識をお持ちの方ばかりです。手遅れにならないように、どのような伝え方、取組をするとよいですか?

回答

実は「伝えたい人。聞いた方がいい人に限って、研修会や説明会などに来ない」というのは、あらゆる場面や対象で起こっています。この問題に対する特効薬は正直のところありません。ただ、そんな中でも可能性を感じさせる研究と、その結果に関する論文が過去に出ています。

ある研究者は、ダイエットに成功したとか、禁煙に成功したという人の周辺には、同じようにダイエットや禁煙の成功者がいることに気づきました。この研究者は「誰かが行動を変えるなどすると、その影響は池に石を投げた時の波紋のように、知り合いに広がっていくのではないか?」と考えます。

だいたい、ある人を起点として、「知り合いの人、知り合いの知り合いの人、さらにもう一つ知り合い」までは、影響が波及するのではないかという結果でした(4000人くらいを対象にした大規模調査の結果です)。

このことからすると、わたしたちのような研修を担当する者は(1)研修内容を興味深く、具体的なものにして、少しでも多くの受講者の心と行動を変えるよう努め(2)受講者の行動の変化や口コミによって周辺に影響を及ぼし(3)最終的に、本来のターゲットまで影響が届くよう務めることしか、手立てがないのではないかと考えています。

また、その対象者が行動を変えない場合でも、その周辺の人たちが正しい知識を持って行動すれば、それらの人たちが問題行動に巻き込まれない可能性も高まります。

結論としては、目の前にいる「聞く意思のある人」に対して、良質な情報発信を粘り強く行うことが、遠回りなようでも、確実なのではないかと考えます。

ちなみに伝え方ですが、話の中で(1)なんの問題を扱うのか(2)その問題の状況、理由、背景などの説明(3)具体例の検討(4)今後取るべき行動を順序立てて含めると、聞き手が理解しやすく、行動を喚起しやすいと言われています。

意見

人権侵害の例えの話で、親子関係の自由の衝突を「子どもだから不自由でも我慢してもらおう」と例えたことに関して、「親子であっても自由を侵害している。ただし、親子という特殊な関係上、受忍限度内である。」という建て付けの方が納得しやすいのではないかと思いました。今回の説明では、「親子間で人権の侵害はない」という風に捉える子がいるかもしれないと思いました。依存については、これ自体は病気なので、その点をはっきり明らかにした方が良いと思います。依存は治療しないと治りません。時間制限を設けられるのは依存前です。「依存に陥ったら治療が必要」という認識を広めた方が良いと思いました。

回答・補足

「子どもだから不自由でも我慢してもらおう」と例えたことに関して、「親子であっても自由を侵害している。ただし、親子という特殊な関係上、受忍限度内である。」という建て付けの方が納得しやすいのではないか、というご指摘はその通りです。

わたしも、そのような趣旨でお伝えしていたつもりでしたが、実際の話の表現が不十分だったようです。ありがとうございます。

親子間での人権侵害は起こりうるものですし、現に起こっています。保護と制限のバランスは算数のように明快な回答はなく、お互いに間違いを犯す不完全な人間同士では、完璧な対応は親子共に取ることはできません。

重要なのは、特に大人の側が人権の大きな枠組みを理解し、子供を一個の独立した権利の主体と認めた上で、その子の持つ自由意志を可能な限り尊重するよう努めることではないかとも考えています。

また、依存が病気であり、専門的な治療が必要であることも、おっしゃる通りです。

どちらの話題についても、もう少し丁寧な表現や説明が必要だったようです。親切なご指摘、ありがとうございました。

質問

市役所もSNSを開設していますが、施策等の実務を担当する職員が、匿名性の高い 悪質な誹謗中傷等を受けるストレス・リスクを考えたとき、自治体のSNS開設についてどのようにお考えですか。

回答

自治体のSNS開設自体は、メリットが十分感じられる用途であれば運用し、そうでなければ運用の必要はないと考えています。

同時に、SNSが若年者のコミュニケーションの主要ツールである現状からすると、SNSによる情報発信やアクセス受理体制が全くないことは、「若年者に対する公平性」の観点から、今後は問題になる可能性も、ないとは言えません。

そこで、全体としては「自治体は業務の実情に合わせてSNSの運用をうることは必要である」という立場で、もう少し説明を加えたいと思います。

(1)利用目的:利用目的は情報発信(イベントの告知や災害時の情報発信など)と、アクセスの手段(郵便やメールの代わりに、住民が自治体に情報を伝える)になろうかと思います。

すると、発信した情報に対するなんらかのリアクションか、住民からの情報を受理した後の対応によりクレームや誹謗中傷等が引き起こされるリスクをまず念頭に置きます。

(2)発信の内容:いわゆる不適切投稿と呼ばれるものについては、ある程度抑止する方法を考える必要があります。

基本的には、役所はあまり悪ノリしない方がいい、ということが原則となります。特定の集団(性別等、思想・信条・宗教・政治的立場、人種・民族など)をネタにすることや性的な含みのある投稿などは、絶対に書かないようルールを明文化しても良いでしょう。

過去の炎上事案には、この手の「どう考えても不適切な内容」を、その場のノリや「このくらいはフツーだろう」と安易に考えて投稿したケースが散見されます。

あくまでもビジネスとしての情報の受発信であるという基本に沿って、ある意味では「おもしろくはない」けれど「必要な内容はきちんと書いてある」ことを徹底することがスタートとなります。

(3)クレーム発生時の対応:クレームに関しては、(1)クレームの内容が適当であるかどうかと。(2)クレームの入れ方や要求が適当であるかどうかで、大きく4つに分類できます。

(A)内容もクレームの入れ方や要望も適当であれば、相手方に必要な程度誤った上で、粛々と対応すれば良いと考えられます。対応の後に検証の上、再発防止策を考えます。

(B)クレームの内容は適当だが、怒鳴り散らしたり過剰要求をするなどのケースでは、不適切な内容を詫びますが要望に対する対応は妥当なものしかできない旨、伝えることとなります。クレーム対応全般に言えることですが、一定の対応基準に沿って処理し、個人任せにしないこと。また、過剰要求等がエスカレートする場合は、警察への通報等の「適切な」措置をとることでしか、解決しない場合があります。

多くの場合、1日中窓口で怒鳴り散らす市民がいても、警察への通報もせずに放置するような対応が多いように思いますが、これは職員の安全に対する配慮の欠如であり、これによって心身に故障が生じた職員が出た場合には、管理責任を問われうる事案であることに留意が必要です。

(C)はクレーム内容は不適当だが、申し入れ姿勢は常識的な場合。このケースの大半が、理解不足や誤解なので、分かり易く親切に説明すれば足りることが多いでしょう。

(D)に関しては、説明をしてもなお納得がいかないなどと暴言を吐き続けるケースですので、市としての対応を打ち切る旨伝えたり、当人の要望を書面で提出するよう促したり、必要に応じて警察に通報して対応をお願いすべき事案と考えられます。

こうして考えてみますと、SNS運用に伴う悪質な誹謗中傷リスクに関しては、(1)そもそもクレームを招かないような投稿をするための運用指針の作成とチェック体制(2)適切なクレーム対応のためのマニュアル等の作成と「実施」(3)組織対応ののちに、検証と再発防止策の策定を徹底するならば、本来は特定個人が過度にストレスを抱えることは少ないものと考えます。

個人的な見解ですが、自治体は住民対応の最前線にいるためか、悪質な過剰要求に対して毅然とした対応をとることが少なく、現場の(職位の低い)職員に延々と対応させて、見殺しにしているケースがあまりにも多いように感じます。

これはSNS運用上の問題ではなく、憲法で「全体への奉仕者」と定められている、公務員のあるべき姿に対する理解不足ではないかと考えます。特定の人に、理由もないのに延々と人的資源を割くことで、他の住民サービスの提供が滞ることとなります。つまり、特定の住民が「特別扱いされている」状況を良しとしているわけです。

ですので、問題のあるクレームや誹謗中傷に関しては、速やかに警察への被害届の提出や相談など、毅然とした対応をすることが、何より必要な手立てではないかと考えます。

結論としましては、あらゆる公務には、これまでも住民からの理不尽な過剰要求や誹謗中傷のリスクがありましたが、それでも誹謗中傷を理由にやめた施策などというものは、聞いたことがありません。そのため、必要があるならば、SNSの運用はすることが求められるでしょう。

ただし、ネット上で批判に火がつくと、関係のない多数の人々による無責任な非難が起きるのも事実です。そのため、窓口対応で延々と担当職員にクレーム対応させるような体制では、深刻な職員への被害が生じる可能性があります。担当職員任せではなく、組織としての運用ポリシーやチェック体制、トラブル発生時の対応をきちんと明文化し、対応責任者は職位の高い職員が務め、組織対応をする。現時点では、それ以外には方法はないかと思います。

全体の補足

アンケートを通じて、受講者の皆様が熱心にお聞きくださったことが伝わってきました。ありがとうございます。

話の中でも触れましたが、人権の問題に関しては、「これは絶対にダメ!」と明確になったルール(法律の禁止事項など)のほかに、グレーゾーンも幅広く存在します。ある集団にとっては気にならないが、別の集団にとってはとても嫌なこと、と言い換えてもいいと思います。

かつては、社会的に力を持っている集団(社会的立場、性別、民族など)の「常識」が、社会のルールとしてまかり通り、それを守るよう有形・無形の圧力を加えることも「仕方ない」と考えられてきました。要は「ここらではこれが常識だから、お前たち少数派(や、いわゆるよそ者)はこの考え方に従え」と、弱者に我慢を強いるやり方です。

しかし、少なくとも現時点では、「可能な限り、互いの多様性を認め合い、それぞれの自由を保障する社会にしていこう」という方向で、わたしたちの社会は努力をしています。

それで、このたびのわたしの拙い話を契機に、「こうすべき」「ああすべき」ではなく、「世の中にはどんな考え方があるのだろう」「それらの自由を認めることは、本当にいけないのだろうか」「完全に自由を認められないとしても、どのようにお互いの自由を認め合う方向で、うまく共存できるだろうか」と考えたり、話し合ったりするきっかけになればうれしく思います。
 

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このページに関するお問い合わせ

教育委員会事務局 人権教育課
〒755-8601 宇部市常盤町一丁目7番1号

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    電話番号:0836-34-8620 ファクス番号:0836-22-6066
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