市長所信表明(令和2年 宇部市議会12月定例会)(HTML版)

ウェブ番号1011114  更新日 2021年2月24日

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市長所信表明(令和2年 宇部市議会12月定例会)

皆様、おはようございます。篠﨑圭二でございます。

令和2年12月市議会の開会にあたり、所信を申し述べさせていただく機会をいただき、射場議長をはじめ、市議会議員の皆様には、厚く御礼を申し上げます。

まず、新型コロナウイルス感染症については、全国的に感染者の増加に歯止めがかからず、現在、感染の第3波にあると言われています。山口県では11月中に178件の陽性者が確認され、クラスターも発生しています。本市においても、11月中に2件、12月に入り新たな陽性者が確認されました。感染された方々に謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご回復を心からお祈りいたします。
まだまだ予断を許さない状況にありますので、市民の皆様におかれましては、今一度、「3密の回避」、「ソーシャルディスタンスの確保」、「手洗いの徹底、咳エチケットの実施」、「マスクの着用」を基本とする新しい生活様式により、感染拡大防止対策へのご協力をお願いいたします。

この度の久保田前市長の体調不良による突然のご退任については、私も一市民として本当に驚きました。まずもって、市民の皆様に寄り添われ、宇部市の発展のため尽力されました久保田前市長のこれまでのご功績に心から敬意を表しますとともに、一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

私は先の市長選挙におきまして、多くの市民の皆様からご支援を賜り、この度、第30代宇部市長として市政の運営を任せていただくことになりました。この上ない光栄でありますとともに、令和3年に市制施行100周年という大きな節目を迎え、新たな時代に向けての市政運営を担う市長として、責任の重さに身の引き締まる思いです。

これまで、本市が産業都市として発展を遂げることができましたことは、「共存同栄・協同一致」の精神こころのもと、先人たちの遺業と、市民の皆様をはじめ、市議会議員の皆様、歴代の市長のまちづくりへの情熱とご尽力の賜物であり、ここに深甚なる敬意を表する次第です。

私は、平成26年2月に山口県議会議員に初当選させていただいて以来、3期6年、政治こそが市民お一人おひとりの希望を一緒になって叶えていくもの、お困りごとがあれば一緒になって解決していくものであるべきという政治姿勢を基本に取り組んでまいりました。引き続き、この政治姿勢を忘れずに、ふるさと発展のため、次世代により良い宇部市を引き継いでいくために、尽力してまいる所存です。

一方で、令和2年に入り、わが国の社会経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって未曾有の停滞にさらされ、感染拡大防止のために経済活動の人為的な抑制を余儀なくされました。
内閣府の10月経済月例報告によれば、昨今、ようやく景気に持ち直しの動きがみられ、本市においても景況動向は回復が見込まれ、雇用については県内でも高い有効求人倍率を維持していますが、依然として中小企業、特に飲食業などのサービス業を中心に厳しい状況にあります。

私は、新型コロナウイルス感染症対策と、その感染症に起因して低迷する地域経済の回復を最優先課題とした上で、ここに市政運営にあたっての所信を申し述べさせていただき、市議会議員各位と市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

基本政策

本市は、化学や医療関連など全国有数、県内では屈指の産業が集積する地域です。さらには、大学や高専などの研究機関・人材育成機関、空港や高速道路、ときわ公園や産業歴史資産、お茶や蒲鉾、ハモ、ワタリガニをはじめとした独自の産品を生み出す農林水産業、そして、豊かな自然、温暖な気候など、本当にたくさんの「宝」があります。

人口減少・少子高齢化が急速に進み、わが国を取り巻く環境に不確実さが増す中でも、地方自治体が安定して、持続可能な形で、住民サービスを提供し続けることが必要ですが、その中で、宇部市が活力と活気にあふれた地域としてさらに発展していくためには、宇部市の様々な「宝」を最大限に生かすこと、そして新しい「宝」を発掘して育むことが大切だと考えています。

一方で、地方自治体のあり方も大きく転換を求められています。
総務省の「自治体戦略2040構想研究会」の報告によると、人口減少と高齢化に伴って、自治体職員の減少、地縁組織の弱体化、家族の扶養機能の低下、民間事業者の撤退などが生じるため、地方自治体の役割は、これまでの「公共サービスの提供」、いわゆる「サービスプロバイダー」から、「地域団体や民間企業等と連携した公共サービスを構築」する、「プラットフォームビルダー」へと転換し、多様化しながらも住民生活に不可欠なニーズに対応していくことが求められており、更にはAIやロボティクスなどを積極的に活用し、自動化や省力化を図るスマート自治体への転換なども求められています。
これらを踏まえ、しっかりと現状を捉えながら、今後、市民の皆様に最適なサービスを提供できるための転換を進めてまいります。

私は、市政のかじ取り役として、市民の皆様のご意見をしっかりとお聴きしながら、まずは、市民の安心安全な暮らしを守ることを大前提に、お一人おひとりの夢がかたちになる、そして、ワクワク感を感じる市政の実現をめざし、宇部に生まれ、育ち、学び、働き、住んで良かったと実感していただけるよう「ワクワク市政実現宣言」として5つの基本政策により「暮らし満足度ナンバー1」のまちづくりを全力で推進してまいります。

それでは、私が提案する、まちづくりに向けた5つの基本政策について、その決意と考えを述べさせていただきます。

実現宣言

~ 活力に満ちた強い産業を創ります!

まず一つ目は、「宇部の宝を生かし、活力に満ちた強い産業の創出」であります。
地域の活力の源は産業です。若い世代をはじめ、お一人おひとりが夢や希望を叶えながら働く、また宇部に戻ってくる、定住していただくためには安心、安定して働くことのできる強い産業と魅力的な雇用の場が必要です。

全国有数の産業集積や大学等の高等教育機関、試験研究機関の立地、交通の利便性など宇部市の強みを生かし、医療、環境、エネルギー、バイオテクノロジーなどの成長産業の創出・育成や、若者や女性に魅力ある雇用の場を創出する企業誘致などにより、地域の産業力を一層強化してまいります。
また、国や県、企業と連携して、中小企業を支える産業人材の確保・育成に取り組むとともに、広域道路、重要港湾などの産業基盤の整備に取り組んでまいります。

農林水産業については、中核となる農業者・漁業者の経営基盤の強化や担い手の確保・定着を推進するとともに、その振興のハードルになっている有害鳥獣被害対策や病虫被害対策などにも取り組みます。
特に、令和2年度に甚大な被害をもたらしましたトビイロウンカの被害対策については、早急な対応が必要と判断し、県とも連携して、コメの次期作に向けた支援を行うこととし、本12月市議会において支援策を追加提案することとしています。
また、小野地区特産のお茶に代表される「宇部の宝」である地域産品については、ブランド力の強化や直売所を核とした販売促進のほか、ワタリガニなどの種苗放流による水産資源の確保や新たな販路の拡大などに取り組み、稼げる強い農林水産業の育成を進めます。

実現宣言

~ 未来を担う人を育てます!

二つ目は「未来を担う人材の育成」であります。
若い世代が、宇部市で子どもを産み・育てる希望を叶えるためには、結婚・出産・子育てがしやすく、住み続けたくなるまちづくりも必要です。
このため、安心して子どもを産み・育てることができる支援体制の構築や、地域と連携した学校教育の充実、若者や女性が活躍できる社会の実現など、宇部市の将来を担う子どもたちが健やかに育ち、若者や女性が活躍できる環境づくりに取り組んでまいります。

まず、子育て支援・女性が活躍する社会の実現に向けて、本市が持つ優れた地域医療体制を生かして、周産期・小児医療提供体制の充実・強化を図るとともに、出産などを理由に離職することなく働き続けられるよう、職場復帰に向けた支援制度の充実などに取り組みます。
また、男女共同参画や社会全体で女性の活躍を推進していくために、次世代を担う女性のキャリアアップを支援するとともに、性別による役割分担意識の解消に向けた啓発に取り組みます。
地域ぐるみで子どもたちを育てる社会に向けては、子どもたちの居場所づくりや学習支援にも取り組みます。

また、子どもたちにしっかりと自分の未来の事を考える機会も作ります。
小学校や中学校においては、普段のカリキュラムの中では、しっかりと自身の未来のことを考え、人生の大きな要素である働き方を考える機会を得にくい状況にあります。このため、ふるさと宇部市の事を学びながら、企業や団体との連携により小・中学生が職業観を養うことのできるキャリア教育プログラムの構築に取り組みます。

一方で、社会は第四次産業革命を迎え、急激に進むIoT、AI、ロボット技術など、未来を担う人材に求められていることも急激に変化しようとしています。
オックスフォード大学の論文では、AIの発達などにより近い将来、日本にある仕事の内の約半分がなくなるとされており、一方で未来を担う人材は、デジタル技術を使いこなし、自身で情報を整理し、考える能力などが求められます。
また、コロナ禍により、デジタル化社会へのニーズが急激に高まっている今、デジタル化により、行政運営の効率化や市民の利便性向上のほか、企業の生産性向上や新たなサービスの創出につなげることのできる人材が求められています。

このような状況から、今後の超スマート社会「Society5.0」を見据え、子育て団体等と連携して子どもの頃からデジタルに触れ合う機会を創出し、デジタルキッズを育成するとともに、中学校・高校・大学と産業界が連携して未来技術を使いこなせるデジタル人材の育成にも取り組んでまいります。

また、学校教育の充実・強化に向けては、ICT教育環境の整備・活用を促進するとともに、それぞれの学校の特色を生かしたコミュニティ・スクール活動の充実など、地域と連携した学校教育の充実に取り組むとともに、本市の豊かな自然の中での様々な体験やスポーツなどを通じて、子ども達の体験機会の充実を図ります。

実現宣言

~ 人々が行き交うまちを創ります!

三つ目は「人々が行き交うまちの創出」であります。
緑にあふれ彫刻に包まれた特色ある市街地と、自然豊かな北部地域など多彩な魅力にあふれる宇部市は、陸・海・空の交通ネットワークにも恵まれ、なかでも、ときわ公園は、彫刻、動物園、植物館、アミューズメントといった多様なコンテンツを持ち、市民だけでなく県内外の方々にとっても、魅力ある交流拠点となっています。
そうした地域資源や立地環境などの強みを最大限に生かして、広域観光や産業観光、そして、本市が誇るUBEビエンナーレをはじめとする文化・芸術やスポーツの振興などにより交流人口の拡大に取り組んでまいります。

また、この度のコロナ禍により、東京一極集中のリスクが顕在化し、地方への流れもできつつあることから、この状況をチャンスと捉え、首都圏などをターゲットにした移住の促進や、宇部市で休暇を過ごしながら首都圏などの仕事に取り組むワーケーションの推進による関係人口の創出・拡大などにより、人が楽しみ、人が訪れる魅力ある地域づくりを進めます。

なかでも、人々が行き交うまちづくりには、「中心市街地の活性化」は喫緊の課題と考えており、早急に対応していくこととしております。
一方で、9月市議会での「トキスマにぎわい交流館設置条例案」に対する市議会の決断は真摯に受け止めなければならないと認識しており、「ひとつになった市政の推進」を基本に、議員の皆様、市民の皆様の意見をしっかりとお聞きしながら、現行案を含めゼロベースで再度検討し、にぎわいの創出に取り組んでまいりたいと考えております。

実現宣言

~ 安心・安全な暮らしを守ります!

四つ目は「安心・安全な暮らしの確保」であります。
冒頭申しましたように、現下の最重要課題は新型コロナウイルス感染症対策であり、市民の安心・安全な暮らしを守るため、国・県はじめ関係機関との連携をさらに強化し、身近な医療機関での相談体制や、PCRなどの検査体制をしっかりと整え、感染拡大防止に万全の対策を講じるとともに、感染拡大の状況をしっかりと見据えながら、プレミアム商品券の発行による消費喚起対策の検討、中小企業の支援強化など、コロナ禍により低迷する地域経済の回復にも取り組みます。

また、住み慣れた地域において、高齢者が安心して暮らすことができる医療・介護の充実や居場所づくりをはじめ、地域内交通などによる外出のための移動手段の確保、健康寿命の延伸プログラムの充実を図ります。
さらに、多機能トイレの設置などバリアフリーの推進などにより障がい者が地域で活躍できる社会づくりに取り組みます。

さらに、近年頻発する自然災害から地域を守るため、地域防災力の向上に向けたリーダー育成や地域における見守り体制の構築などの防災・減災対策について、ハードだけではなくソフト面も充実させることにより安心・安全な暮らしの確保を進めます。
なかでも、厚南地区 旭が丘団地内の地すべりについては、市長就任後、早速、現地を視察し、被災された方にお見舞いを申し上げたところです。
現場は、住民の方々の安全確保のため早急な対応が必要と判断したことから、対策に向けた調査経費を補正予算に計上し、本12月市議会においてご提案することとしています。

実現宣言

~ ひとつになって市政を進めます!

五つ目は「ひとつになった市政の推進」であります。
市政の主役は市民の皆様です。SDGsの「誰一人取り残さない」という基本理念を踏まえて持続可能な社会を築いていく中で、市民お一人おひとりの声を大切にしながら、市民の皆様のありたい姿を実現できるよう市議会とも一緒になって、市民と行政がひとつになれる市政運営を目指します。

これまでの県議会議員経験を生かし、市長のトップセールスで宇部ブランドを売り込むとともに、国や県、周辺自治体との連携を強化してまちづくりを進めていきます。

また、市政に若者や女性の声を反映させる仕組みづくりを進めるとともに、市民の利便性をより向上させるため、行政サービスのデジタル化を進めます。
さらに、市の組織や機構を見直し、スリムで機動力のある組織体制を構築し、しっかりと現場で職員が対応できる現場主義を第一に市政運営に取り組んでまいります。

一方で、「暮らし満足度ナンバー1」を実現するための諸施策を展開していくためには、何よりも、市政の最前線に立つ職員一人ひとりが、宇部市で働くことに喜びを感じ、パフォーマンスを最大限に発揮していくことが重要となりますが、行政サービスが多様化・複雑化する中で、他の自治体同様、メンタル不調に陥った職員の数も増加傾向にあり、また、早期退職者数も高い水準で推移しています。
このため、私は、労務管理のリーダーとしての立場もしっかりと認識し、職員とともに知恵を出し合い、率直な意見交換を活発にできる、風通しの良い職場環境づくりに努めてまいります。

むすびに

以上、市長就任にあたり、私が市政を進めて行く基本政策について申し上げました。
今後は、市民の皆様からも幅広いご意見をいただき、この5つの基本政策に基づいて具体的な施策や事業を構築し、まずは現行事業との融合を図りながら、令和4年度から予定しています第五次宇部市総合計画を策定して計画的に推進してまいりたいと考えています。

新型コロナウイルスの感染拡大と戦後最大の経済の落ち込みという国難のさなか、本市においても、市税の減収に加え、大型投資事業や少子高齢化に伴う社会保障費の増、新型コロナウイルス感染症への対策経費の増などから、極めて厳しい行財政運営を避けて通ることができないものと認識しております。
しかし、どのような状況下におきましても、職員と一丸となって、何よりも市民から信頼され、「市民の皆様がワクワク感を感じられる、宇部市に生まれて良かった、育って良かった、働いて良かった、学んで良かった、暮らして良かった、暮らし満足度ナンバー1!」の宇部市の実現に向けて、市政の課題に一つ一つ丁寧に全身全霊、取り組んでまいります。

どうか、議員各位におかれましても市民の皆様と同様、格段のご支援とご協力を賜りますことを切にお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。

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