宇部アピール

ウェブ番号1002757  更新日 2021年2月10日

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本市は1997年(平成9年)6月5日国連環境計画(UNEP)からグローバル500賞を授与され、同年10月に「公害対策の原点から地球環境保全を探る」をテーマに国内外の専門家の参加による国際シンポジウムを開催し、その論議の成果を以下の「宇部アピール」として広く世界へと発信した。

宇部アピール本文

私たちは、公害対策の原点ともいうべき山口県宇部市に21世紀の地球環境保全を探るため集い、中華人民共和国、大韓民国、ドイツ、マレーシア及びアメリカ合衆国からの参加者を得て、宇部におけるかつての大気汚染克服のため組織された行政、企業、学識者及び市民の協調体制が有効であり、その精神が、現在世界各国が直面している都市大気汚染、さらには21世紀の人類の生存に大きな脅威を与えている地球規模の気候変動対策の実施に際し、新たな協力体制の構築に有効な先駆事例になることを確信し、日本、アジアそして世界各地で、産業公害、都市大気汚染、さらに地球温暖化に取り組んでいる市民、企業、行政関係者、学識経験者の努力に敬意を表し、本年12月の国際連合気候変動枠組条約第3回締約国会議の成功に向けてメッセージを送るとともに21世紀の環境保全に手を携えることとし、ここに、本シンポジウム参加者の助言及び意見を踏まえ、次のアピールをアジアへそして世界に発表する。

1.アジアへそして世界に広げよう宇部方式

私たちは、宇部における降下ばいじんなどの著しい大気汚染は、市民、企業、行政が一体となり、学識経験者による指導を踏まえた話し合いによる相互信頼と連携により克服され、活気と潤いのある産業都市で安らぎのある快適な生活環境都市を実現できることを学んだ。

私たちは、人類が地球温暖化に本格的に取り組む21世紀を迎えるに当たり、近年、注目されている市民、企業、行政の役割分担による連携、パートナーシップは、宇部方式の精神により、有効に機能すると確信する。

2.企業は快適で持続可能な社会への変革を担う

私たちは、市民に提供される製品、サービスが市民の生活様式を規定し、市民が選択できる余地が限られていることを感じている。

私たちは、環境保全に向かう企業の姿勢が人類の危機である産業公害、都市大気汚染、地球温暖化の解決への重要な要素であり、企業にとって、温暖化などの地球規模の挑戦(global challenge)は地球規模のチャンス(global chance)と見なすべきであると確信する。

私たちは、企業が地域における事業活動に伴う環境対策として、従来の排出口での後追い的(end of pipe)対応から、生産プロセスをクリーナープロダクションに転換し、資源とエネルギーの削減と循環を目指した技術開発と生産様式の模索など、企業活動のグリーン化を通じ、社会経済を持続可能なものへと変革する上で中心的な役割を担うことを確信している。

3.市民は持続可能な消費社会を創造する

市民は、環境は次の世代からの預かりもので破壊された環境を引き継がないよう、自ら費用を負担し環境保全を目指した製品を購入し、資源とエネルギーを節約し、廃棄物発生量を減らすライフスタイルを取り入れる消費者に変身する。

市民は、環境問題の学識経験者、市民の立場に立つ専門性の高いNGOの活動と連携し、企業の事業活動、特に技術開発と製品のグリーン化を誘導する消費者に変身する。

4.自治体は環境保全を目指した地域社会の形成をリードする

自治体は、地方分権の時代を迎え、それぞれの地域の特色を生かした環境保全活動推進の主体として行動すべき義務と責任を痛感している。

自治体は、市民、企業の環境保全への取組みをさらに高めるために誘導、助成するとともに、次の世代を担う子どもたちの環境教育を推進する。

自治体は勇気と強い決意を持って、率先して環境にやさしい事業、消費活動を展開するなど環境保全活動をリードし、世界各国の自治体とも連携し、環境問題の解決を目指す主体となる。

5.今こそつなぐ地域と地球

私たちは、都市大気汚染問題という地域環境問題への取組みは、自ずと地球温暖化問題という地球レベルの問題への取組みにもつながることを確信した。

私たちは、地球温暖化問題、都市大気汚染問題などに対応するためには、市民レベル、自治体レベル、国レベルなどあらゆるレベルで、あらゆる経験を失敗例も含めて交流し、協力を推進する必要を強く感じた。

私たちは、21世紀を迎えるに当たり、地球にやさしい足元からの行動(think globally、act locally)に向けて、地球規模の環境保全のための地域レベルの努力を継続するとともに、市民、企業、行政が新たなパートナーシップを構築することを誓う。

私たちは、大規模な産業の集積地である山口・宇部が、資源・エネルギーの購入と製品の販売を通じて世界各地と直結し、世界との距離が小さいことを認識し、政治、経済、文化の壁を越えて、地球環境問題を人類共通の課題として積極的に取組む市民、企業、行政の連携をリードする発信地として新たに名乗りを上げることを誓う。

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