平成14年6月定例会議事録第6号(抜粋)

ウェブ番号1003223  更新日 2021年2月10日

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平成14年6月定例会(第2回)6月26日 6号

平成14年6月定例会(第2回)

平成14年6月(第2回)宇部市議会定例会会議録 第6号(抜粋)

議事日程(第6号)
平成14年6月26日(水曜日)午前10時開議
議案第51号 宇部市男女共同参画推進条例制定の件

午前10時1分開議

議長(野田隆志君)

おはようございます。これより本日の会議を開きます。
また、同日付をもちまして、荒川議員外4名の連署による議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件に対する修正案の提出がありました。
次に、6月25日付をもちまして、総務財政委員長、文教民生委員長及び産業経済委員長から、目下委員会において審査中の事件について、閉会中の継続審査の申出書を受理いたしました。

日程第3議案第51号について(文教民生委員会委員長報告、質疑・討論・表決)

議長(野田隆志君)

次に、日程第3、文教民生委員会から報告のありました議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件を議題といたします。
本案に関し、委員長の報告を求めます。田中敏弘文教民生委員長。

(議席番号25番 田中敏弘君 登壇)

議席番号25番(田中敏弘君)

ただいま議題となりました議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件について、付託されました文教民生委員会の審査の結果及び審査の概要を御報告申し上げます。
まず、審査の結果でありますが、議案第51号は、賛成多数をもって、本日お手元に配付の審査報告書に記載のとおり、原案可決すべきものと決定いたしました。
次に、審査の概要について申し上げます。
本条例案は、男女共同参画推進についての基本理念並びに市民、事業者及び市の役割を明らかにし、男女共同参画社会の実現に向けての取り組みを積極的に推進するため、条例の整備を行うものであります。
まず、初めに、本条例案の提案に至る背景について申し上げますと、少子・高齢化の急速な進行に伴い、生産年齢人口が減少し、地方都市においても活力の低下が懸念されており、地方都市活性化のためには、産業振興とともに、女性の社会進出が必要とされるところであります。
また、家庭における幼児虐待や学校における「いじめ」の問題など、子育てを取り巻く環境が劣化しつつあるため、豊かで心の通い合う家庭や地域社会を築いていく必要があります。
そのため、男女がともに、職場、地域、家庭など、社会のさまざまな分野に参画し、喜びも責任も分かち合う男女共同参画社会を実現するため、本条例を制定しようとするものであります。
委員会における審査の冒頭において、執行部から、本条例案の提案に当たっては、国の男女共同参画社会基本法及び宇部市男女共同参画推進審議会の答申を尊重するとともに、広く市民の意見を聞きながら、宇部市らしい条例案を策定したとの基本的な考え方が述べられ、続いて、本条例案の特徴について説明がありましたので、その内容について申し上げます。
まず、初めに、前文についてでありますが、条例を市民が見たくなるような前文にするため、宇部市が、男女共同参画宣言都市となった歴史的な背景や宇部市の独自性を強調するとともに、「少子・高齢化への対応や豊かで心の通い合う社会を築くため」という条例の必要性を明確にしたこと。
次に、第1章では、条例の目的において、男女共同参画の推進に係る基本理念、市民、事業者及び市の役割を明らかにすることと、憲法第19条の「思想及び良心の自由はこれは侵してはならない」という規定に基づき、「行政が家庭や個人の思想及び良心の自由の尊重に配慮」することを規定したこと。
基本理念においては、男女共同参画社会の形成のため、男女がさまざまな分野で活動する際に、充実した家庭生活を送ることが重要であることから「家庭尊重の精神」を明確にするとともに、男女共同参画を推進するに当たって、市民に対して、理解を深めていただくための表現を盛り込んだこと。
また、男女共同参画社会の実現に向けての取り組みに当たっては、市民が主役となって活動できるような環境づくりが重要であるため、「市民の役割」「事業者の役割」を「市の役割」の前に規定したこと。
第2章においては、本市における男女共同参画推進の基本的施策を規定し、第3章においては、宇部市男女共同参画推進審議会について規定したこと。
以上のような本条例案の特徴について、執行部から説明がなされたのであります。
委員会においては、条例制定の目的、すなわち、男女共同参画社会の実現に向けての取り組みを、積極的に推進する観点から、条例案の基本的な考え方、また、各条文に規定されている具体的な内容等について、委員から質疑がなされたのであります。
委員から、執行部に対しただされた点を条例案の条文でお示ししますと、条例案第3条「基本理念」の規定、第4条から第6条の「市民の役割」「事業者の役割」「市の役割」の規定、第7条「性別による権利侵害の禁止等」の規定、第15条「情報の収集及び分析」の規定、第18条「苦情の申し出の処理」の規定、第19条「相談窓口の設置」の規定、以上のような点について、質疑が展開されたのでありますが、その質疑における主な論点について御報告させていただきます。
まず、条例案第3条「基本理念」の規定についてでありますが、これは、第3条第1号に規定する「男らしさ、女らしさ」、いわゆる「らしさ問題」と、同条第5号の「専業主婦」云々の規定であります。
委員から、「男らしさ、女らしさ」は時代の流れの中で変化していくものである。したがって、男女共同参画を推進するという観点から、基本理念の冒頭にこれを規定するのは、条例制定の目的に合致しないのではないか。また、「専業主婦を否定することなく」という規定をあえて盛り込んだ理由は何か。
さらに、これらの規定は、国の基本法、山口県の条例には規定されておらず、規定することにより条例全体の構成上、問題があるのではないかとただされたのであります。
これに対し、執行部から、本条例案の策定に当たっては、市民にわかりやすく、なじみやすい条例という観点を重視した。
男女共同参画を「らしさ否定」と受け取る向きもあり、一般的に言う「男らしさ、女らしさ」を否定するものではないことを明記した上で、個人としての尊厳が重んじられることが重要であるという考え方に基づき、基本理念に定めようとするものである。
また、「専業主婦を否定することなく」の規定については、家族の構成員それぞれが、家族の一員として、役割を果たすことが必要であると考え、本条例案では、主婦の社会的評価がなされるべきであるとの観点から、このような表現を盛り込んだものであるとの答弁がなされたのであります。
次に、条例案第4条、第5条、第6条に規定する「市民の役割」「事業者の役割」「市の役割」についてでありますが、委員から、国の基本法、山口県の条例は、「責務」と規定されていることが指摘され、「責務」と「役割」では、根本的にその意義が異なり、男女共同参画推進に対する市としての取組みが後退しているのではないか。なぜ「役割」と規定したのかとただされたのであります。
これに対し、執行部から、「責務」と「役割」に対する認識は、条例制定の目的である「男女共同参画を推進する」という観点においては、同趣旨であると認識する。男女共同参画の推進に関する取り組みは、行政が強制して行うものではなく、人々の意識に関わる取り組みであり、市民、事業者、市が、みずから主体的に取り組み、三者が連携してそれぞれの役割を果たしていくことが必要とされるため、「役割」と規定したものであるとの答弁がなされたのであります。
次に、条例案第7条「性別による権利侵害の禁止等」についてでありますが、委員から、本条の見出しは「禁止規定」であるが、本文は「努力規定」となっている点に関して、見出しと本文との整合性についてただされたのであります。
これに対し、執行部から、条例案第7条は、性別による権利侵害となる行為の根絶を目指すことを趣旨としていることから、その行為者に対する規制そのものよりも、これらの行為が、互いに人間としての尊厳を損なう行為であることを、深く理解することによる抑止効果を期待する表現としたとの答弁がなされたのであります。
以上が委員会における質疑の主なものでありますが、質疑の展開とともに、一部委員から次のような点について、指摘、意見が述べられましたので、合わせて申し上げておきますと、条例制定の目的と条文との整合性の問題、また、国の基本法、山口県の条例との比較における本条例案の欠落した事項の問題等々を指摘され、男女共同参画を積極的に推進していくための条例として、本条例案は不十分である。
したがって、宇部市の条例として、最も普遍的に男女共同参画を推進していくためには、むしろ、宇部市男女共同参画推進審議会の答申を尊重すべきであるとの意見が述べられたのであります。
このような意見、指摘を踏まえ、質疑の過程において、一部委員から、条例制定の必要性についての認識は一致しているが、本条例案に関する全体的な議論の状況を踏まえ、委員会として、より慎重な審査を行う必要があるとの観点から、本条例案を継続審査にすべきとの意見が出されたのであります。
委員会としては、本条例案提出の経緯等を考慮し、審査を続行すべきとの意見が大勢を占め、審査を続行したのであります。
委員会は、引き続き、質疑を続行し、本条例案に対する質疑を終結したのでありますが、質疑終結後、委員から、本条例案に対する修正案が提出され、委員会は、直ちに修正案の説明を聴取したのであります。
委員会においては、提出者である委員から、修正部分の逐条説明を受けたのでありますが、その修正内容は、先ほど御報告申し上げました委員会における質疑、あるいは、委員からの意見、指摘事項を踏まえたものでありますので、修正案の内容についての御報告は省略させていただきます。
委員会は、この修正案の説明終了後、修正案に対する質疑を行い、質疑を終結し、討論に入り、まず、修正案に賛成する立場から、「本修正案は、男女共同参画の実現に向けての取り組みを積極的に推進するため、条例案をより充実させるとともに、男女共同参画推進審議会の答申を尊重する立場から、答申に沿った条例案に修正するものである。これにより、男女共同参画宣言都市にふさわしい条例が制定されるよう強く望むものである」との討論がなされ、続いて、原案に賛成する立場から、「男らしさ、女らしさは、日本人として、男女が、お互いの特性を認め合うという観点から、条例案に盛り込むべきである。また、市民、事業者、市の役割については、男女共同参画社会の実現のため、それぞれの役割として、お互いに認識しながら、役割を果たしていくことが位置づけられており、原案のとおり、条例が制定されることを期待するものである」との討論がなされたのであります。
委員会は、以上の討論ののち、採決に入り、まず修正案の採決を行い、修正案については賛成多数(「賛成多数」は、のちほど、田中敏弘文教民生委員長により、「賛成少数」に訂正されました。)で否決し、続いて、原案について採決した結果、冒頭申し上げたとおり、本条例案は、賛成多数をもって、原案のとおり可決すべきものと決定したのであります。
以上が審査の概要であります。
よろしく御審議くださいますようお願いし、文教民生委員会の報告を終わります。

議長(野田隆志君)

以上で、委員長の報告は終わりました。
次に、本案に対しては、荒川憲幸君外4人から修正の動議が提出されました。
この際、提出者の説明を求めます。荒川憲幸君。

(議席番号21番 荒川憲幸君 登壇)

議席番号21番(荒川憲幸君)

お手元に配付の議案第51号宇部市男女共同参画条例制定の件に対する修正案の提案説明をいたします。
まず、なぜ男女共同参画推進条例が必要かという問題ですが、国連開発計画は人類の進歩を図るための経済指標にかわる指標として、HDI(人間開発指数)、GDI(ジェンダー開発指数)、GEM(ジェンダー・エンパワーメント測定)という人間開発指標を開発し、世界各国の状況の分析や順位づけを行なっています。この結果を見ると、HDIは、寿命をまっとうできる健康な生活、知識及び人並みの生活水準の3つの側面の達成度の複合指数ですが、日本は162カ国中第9位、GDIは、HDIを男女間格差、ジェンダーの不均衡で調整したものですが、146カ国中11位、GEMは、女性が経済、政治などに参画し、あらゆる分野で意思決定に参加できるかどうかをはかるもので、所得なども含めて算出されていますが、64カ国中31位という状況です。
また、昨年6月に発表された内閣府の男女共同参画白書でも、給与所得者の給与階級分布を見ると、男性では700万円を超えるものが24.4%に対して女性は3%にすぎず、逆に300万円以下では女性が63.2%に対して男性は15.6%、200万円以下では女性37.9%に対して男性6.2%、100万円以下も女性14.5%に対し男性1.9%になっており、男女間格差が明確に示されています。
女性の人権の問題でも、痴漢行為や職場におけるセクハラは、20歳代で半数近くの者が女性の人権が尊重されていないと感じている。DVやストーカー行為などに対しては、年齢層を問わず、女性の人権が尊重されていないと感じる割合が高くなっています。警察庁の統計によると、2000年1年間で、配偶者間の刑法犯は1,476件、そのうち88.4%の1,305件は女性が被害者となった事件です。
また、暴行については97.6%、傷害については94.4%と、被害者のほとんどが女性となっています。
以上、見てきたように、日本の女性の置かれている立場が、国際的にも経済的にも社会的にも、男女平等、共同参画からはほど遠い状況になっていることは明らかです。国における基本法や県の条例も、女性のそうした現状を改善するために制定されたものであり、決して一般的に言う男らしさや女らしさを否定するものではありません。まして、個人の思想、良心の自由に、行政が土足で踏み込んでいこうとするものでは決してありません。
日本共産党宇部市議団は、男女共同参画推進審議会の答申を尊重し、男女共同参画の推進についての基本理念並びに市民、事業者及び市の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の実現に向けての取り組みをより積極的に推進するため、条例の修正を提案するものであります。
それでは、提案の詳細について説明いたします。
まず、前文についてですが、「少子・高齢化の進行などの社会情勢の変化に対応するとともに、豊かで心の通い合う社会を築くために」を削除します。理由は、社会情勢の変化に対応するため、男女共同参画が必要だとしていますが、男女平等は基本的人権であり、時々の社会情勢によって左右されてはならないと考えるからであります。
次に、市民、事業者及び市の「役割」を「責務」に改めます。理由は、「役割」はあくまでも役を割り当てることにすぎず、この場合、男女共同参画の推進に係る責任と義務を明確にする必要があるためです。
同様に、第1章「目的」の第1条及び第4条の見出し、第5条、第6条の見出しについても、「役割」を「責務」としています。
次に、第1条中「行政が家庭や個人の思想及び良心の自由の尊重に配慮しながら」を削除します。理由は、個人の思想、良心の自由の尊厳は憲法で保障されたものであり、当然だれしも侵すことのできない人権です。しかし、条例案には、家庭内のDVの禁止の定めがあり、これはいわゆる夫婦げんかなどに行政が立ち入ることとは全く違う問題であるからです。
次に、第2条中「様々な分野における活動に自らの意思によって」を「あらゆる分野における活動に」に改め、2項「この条例において「積極的改善措置」とは、前項に規定する活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。」の項目を加えます。理由は、男女共同参画とはみずからの意思によって行われるものであり、その活動の範囲を「様々な分野」として狭めるのは適当ではなく、「あらゆる分野」でのその保障がなされることが必要です。2項では、男女間の格差を是正するための積極的改善措置を定義づけています。
次に、第3条第1号を次のように改めます。「1.男女の個人としての尊厳がおもんぜられること、男女が直接又は間接に性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。」理由は、男女の特性は、身体の仕組みが異なっていることからも当然のことで、一般的に言われる「男らしさ、女らしさ」をすべて否定するのではありませんが、女性が置かれている社会的、経済的不平等をなくしていくことが条例制定のもっとも大きな目的ですから、ここで「らしさ」や「役割」を強調することは、社会的な制度や慣行によってつくり出された性差を固定化することにもつながり、適当ではないと考えます。
また、「らしさ」の表現は、極めて情緒的、主観的、また、何が男らしくて、何が女らしいかは人によっても異なり、昔と今という時代の変化によっても変わってくるものです。「らしさ」という表現は、法律、条文上規定するのはなじまないし、理念とすることは男女共同参画の推進をむしろ阻害するおそれがあります。
以上から、修正案の内容は、人権規定と差別の禁止、男女それぞれの能力を発揮する機会の保障を簡潔にあらわしているものと考えます。
次に、第3条第2号中「選択を阻害することのないよう配慮に努める」を「選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮される」に改めます。理由は、広くある社会の制度や慣行が社会活動への参画に影響を与えないようにという趣旨からも、阻害イコール妨害という狭い範囲にとどめる表現にしない方がよいと考えます。また、「配慮に努める」ではなく、「配慮される」べきだと考えております。
同様の趣旨で、同条第3号中「確保されるよう努める」を「確保される」に改めます。
次に、同条第4号中「家庭尊重の精神に基づいた相互の努力と協力の下に、愛情豊かな子育て」を「相互の協力と社会の支援の下に、子育て」に、また「様々な家庭生活の営みにおいて、すべからく家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ、就業その他の社会生活における活動を行うことができるよう配慮に努めること。ただし、それぞれの家庭における役割の重要性や子どもへの配慮を軽視することのないよう十分に留意する」を「家庭生活における活動及び就業その他の社会生活における活動に対等に参画できるようにするとともに、責任を分かち合う」に改めます。理由は、原案では社会的支援が欠落し、家庭尊重と相互の役割を果たしつつ、就業、社会生活の活動を行うことができるようにとなっている点です。家庭を大切にする男女の相互協力は欠かせないことですが、就業や子育て、介護など、生活の営みに社会支援がなくてはそれ自身が成り立っていきません。
現実に、家庭の主婦においても、ボランティア活動などへの参加が期待され、あらゆる分野の社会活動への参加が広がっています。また、安心して働くことのできる環境づくり、保育所、介護施設など、社会的支援なしに自己責任だけではそれは成り立ちません。もちろん、家庭、就業、社会生活への対等参加は本人の意思に基づくものであり、お互いの協力は欠かせません。意図的に女性を家庭から追い出すものでもなければ、子どもへの配慮を軽視するものでもありません。
次に、同条第5号を次のように改めます。「5.生涯にわたる妊娠、出産その他の生殖に関する事項に関し、自らの決定が尊重されること及び健康な生活を営むことについて配慮されること。」理由は、専業主婦も働く女性も、どちらも否定できるものではありません。家庭生活において、お互いの協力が必要であることは当然ですが、ここで改めて専業主婦を強調することは一方的な見地であり、男女共同参画の障害となるおそれがあり、削除し、変更するものです。新たな条文では、妊娠、出産、生殖の自己決定権の尊重は、母性保護、女性の一生涯に関する健康づくりの支援を行うことであります。一部に、自己決定権ということから、性の退廃といった見方もありますが、女性の性的強要を拒否できる権利などについて保障されることが重要だと考えています。
次に、第4条の見出し中「役割」を「責務」に改め、同条中「市が」を「男女共同参画の推進に寄与するよう努めるとともに、市が」に改めます。理由は、市が実施するだけでなく、市民の主体的参画を進めるために挿入するものです。
第5条の見出し中「役割」を「責務」に改めます。
第6条の見出し中「役割」を「責務」に改め、同条第1項中「施策」の下に「(積極的改善措置を含む。以下同じ。)」を加えます。
第7条中「社会の様々な分野」は「社会のあらゆる分野」に、また「行為により互いに人間としての尊厳を損なうことのないよう努めなければ」を「行為を行なっては」に改め、禁止規定とします。
第8条中「異性」を「女性」に改めます。現実は、主に女性に対する暴力が中心であり、前7条にも関連する内容を含むものであります。
次に、第14条を次のように改めます。第14条「市長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画の推進に関する事項について報告を求めることができる。」理由は、原案では、前条13条の市民及び事業者の自主的活動への支援に限って、必要な報告を求めることができるとなっていますが、修正案ではより積極的に、市からの支援に関係なく、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対して男女共同参画の推進に関する事項について、報告が求められると修正するものです。
第18条第1項中「対応する」を「処理する」に改め、同条第2項中「申出があった」を「規定により苦情の申出を処理する」に、また「聴くことができる」を「聴く」に改めます。理由は、対応するというのは状況に応じて行うことであり、表題の「苦情の申出の処理」と整合性を図るため、修正するものです。
次に、第19条第2項中「助言を行うなど適切に対応するよう努める」を「支援を行う」に改めます。理由は、市の積極的な姿勢をあらわすために、支援とするものです。
以上で、提案理由の説明を終わります。
よろしく御審議いただきますようお願いを申し上げます。

議長(野田隆志君)

以上で、提出者の説明は終わりました。(「議長」と呼ぶ者あり)田中委員長。

議席番号25番(田中敏弘君)

先ほどの委員長報告で、ちょっと報告が間違ったところがございますので、訂正させていただきます。
それは、修正案の採決を行なったところでございますが、修正案については「賛成多数」でということを申し上げております。そこで、「賛成少数で否決し」ということで訂正させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

議長(野田隆志君)

これより、ただいまの委員長報告及び修正案に対する質疑に入ります。
質疑はありませんか。

(「なし」と呼ぶ者あり)

議長(野田隆志君)

ないようであります。
これにて、質疑を終結いたします。
これより、討論に入ります。
討論はありませんか。真鍋恭子さん。

議席番号1番(真鍋恭子君)

それでは、日本共産党宇部市議団を代表いたしまして、議案第51号宇部市男女共同参画推進条例制定の件の修正案に対して、賛成討論を行います。
男性と女性がお互いを尊重し、ともに対等、平等な立場で、経済の分野でも政治の分野でも、地域や家庭でも生き生きとその能力を発揮できる社会にという願いは、多くの女性たち、そして市民の皆さんの共通認識ではないでしょうか。
国においては、憲法第13条で個人の尊厳を、第14条で法のもとの平等を規定し、男性も女性も個人として尊重され、性別による差別のない社会を実現するためにさまざまな取り組みが行われ、世界の大きな流れとともに法整備が進んでまいりました。
しかしながら、今の現実から出発するならば、社会全体における男女の地位について、多くの人が男性が優遇されているというアンケート結果が示しますように、固定的な性別役割分担意識や性差観も根強く残っております。女性の意思決定への参画は先進国では下位であり、男女間の賃金格差も大きく、女性への暴力など相談件数も増加しています。とりわけ、2001年の都道府県労働局に寄せられた相談では、女性労働者からの相談が4分の3を占め、内容ではセクハラに関するものが4割、妊娠、出産などを理由とする解雇や退職強要の相談も増加しているとの発表にもございますように、本当に女性が大切にされているでしょうか。子どもを産む性である女性の健康管理、母性保護が保障されていないなど、働く環境づくりについては、男女がともに子育てに責任を持つことなど、重要な問題が解決をされていません。
私たちは、あらゆる分野での男女平等、人権の尊重を実現する力となる男女平等基本法の制定を要求してまいりました。国の基本法、県条例など、女性の願い、国民の期待から見れば大変不十分な法律ですけれども、政策、意思決定過程への女性の参画の拡大など、部分的であれ女性たちの願いを反映しているもので、その要求に一歩でも近づくようにと、法案の制定に賛成をいたしました。
私たちの提出した修正案の中でも、事業者の適切な指導や苦情処理及び被害者救済の実効性を確保できる制度とすることが附帯決議に盛り込まれております。国の基本法、県条例、宇部市推進プラン、答申の徹底だけでも、現実を改善させる道筋はたくさんございます。その実現に向けて、市、事業主の責務を明確にしていくこと、採用、昇給、賃金など、労働条件の性差別の解消、母性保護を前提とした男女平等の施策、苦情処理ができる整備、自営業の女性の実態把握、女性への暴力の禁止、女性の社会的進出への支援などに、私たちは今後とも努力をしていきたいと思っています。
本市におかれましては、市民の協力のもとに、宇部女性プランの策定からその実施に向けて、職員の皆さんのたゆみない努力が続けられてまいりました。さらに、世界に向けては、平和と友情の輪が広がることを願って、男女共同参画都市宣言の決議をされ、さらに市民意識を高揚していきたいと、今回の条例制定に至っていると思います。
とりわけ、今回の条例制定に関しては、審議会に答申され、その審議の過程の中で、基本的な考え方を熱心に議論されて提出されているものです。基本理念並びに市民、事業者及び市の責務を明らかにするとともに、その実現に向け積極的に取り組むとのことでございました。
しかし、原案は、その答申からも大きく後退し、理念をゆがめるものになっています。大事なことは、条例制定の過程に、どれだけ女性や住民の声を反映させるかどうかということです。答申から大きく後退する中身であってよいものかどうか、答申案を尊重するということがあくまでも建前であれば、審議会軽視も甚だしいと言わざるを得ないし、また、今後、審議会などで議論をされることがむなしいと思われたとすれば、委員の皆さんのたゆまぬ努力を台なしにされるものであり、まさに幻の答申となってしまいました。
私どもが提案をさせていただきました修正案については、荒川議員より一つ一つ説明がなされており、私が再度同じことを申し述べる必要はございませんけれども、少なくともこの方向で修正案を提出をさせていただきました。
また、今回のことを通じて、地域住民の皆さんが、あらゆる地域において、お互いに話し合いがなされ、議論が広がっていくことを期待するものです。
来月には、男女共同参画サミットが宝塚市で予定されています。中国地方で初の男女共同参画宣言都市として、本市は注目もされているわけです。決定機関は本議会であります。よって、議員各位におかれては、市長さんが胸を張ってサミットに参加をされますように、恥じることのない条例を制定していただきたい、このことを強く望みまして、修正案についての賛成討論といたします。
以上です。

議長(野田隆志君)

ほかにありませんか。植松洋進君。

議席番号10番(植松洋進君)

男女共同参画推進条例の原案に対して、賛成の立場で討論を行います。
平成11年の6月ですが、国は、男女共同参画の基本法を制定しました。その法律によりますと、市町村におきましては、男女共同参画の計画を策定するよう義務づけております。当市におきましては、市長の諮問を受け、男女共同参画審議会の答申を受け、条例制定の動きが出てまいりました。
しかしながら、その条例の内容たるものは、社会常識を逸脱した部分もあります。到底、私には受け入れられる内容ではありません。
また、宇部市が発行しております「男女共同参画社会」、この冊子によりますと、男らしさや女らしさ、家族のきずななども、我が国の歴史、伝統、文化でございますが、これをも否定した内容となっております。
さらに申し述べるならば、民法第752条で「夫婦は同居し、お互いに協力し、扶助しなければならない」と、このように決めておりますが、それをも否定した法違反を掲げているところであります。
答申を受けた条例案と、この冊子が表裏一体であると考えるならば、このジェンダー・フリーというのは非常に危険な思想であると、そのように考えております。
しかしながら、条例案を尊重しながら、男らしさや女らしさ、男女のお互いの人格や人権を尊重する、責任を真に分かち合う男女共同参画づくりを目指す内容となっております。
この条例の原案であれば、我が国が営々として築き上げました伝統や文化を守ることができ、さらには、宇部市が男女共同参画先進都市としてのさらなる高い評価を受けるものと確信いたしまして、賛成討論といたします。

議長(野田隆志君)

ほかにありませんか。広重市郎君。

議席番号19番(広重市郎君)

宇部市男女共同参画推進条例制定の件について、執行部提案の原案に賛成の立場から討論させていただきます。
現在、男女共同参画推進といって、どんなパンフレットがつくられ、啓蒙教育としてどんな講師がどんな講演をしているのか、ジェンダー・フリーといって、子どもたちに何が教えられているのか、真剣に見詰め、男女共同参画社会とは一体何なのか、原点に返って考えなければなりません。
今、男女共同参画というだれもが当たり前だと思う言葉のもとに、何が行われているのか。国、県、市という公共機関が、家庭、個人の思想、良心に入り込んでいるのではないか。ジェンダー・フリーということで、生活の知恵を否定し、文化、伝統を否定しているのではないか。メディア・リテラシーとして、メディアで使われている言葉、あるいはコマーシャルまでチェックしようとしているのではないか。雌雄同体のカタツムリを取り上げて、男女の性差を否定し、同質化しようとしているのではないか。社会の基盤である家庭、家族を解体しようとしているのではないか。人生において極めて大切な契機、でき事である結婚を軽く考え、フリーセックスに拍車をかけ、性道徳を破壊しているのではないか。そして、機会の均等と利益享受の均等を混同した結果平等主義という悪平等主義を唱えているのではないか。
いろんな資料から推察されるのは、今、各地で行われている推進活動は、18世紀から19世紀にいた空想的社会主義者、フランソワ・マリー・フーリエがつくろうとしたファランステールなる共同社会を思わせますし、家族を否定し、すべてをアウトソーシングしようとするカルト思想、全体主義的な考え方そのものではないかということさえ思えてきます。
そういった極めて不安な状況の中で、宇部市が提案した男女共同参画推進条例は、良識的な市民が何の心配もなく自主的に参画できるよう立案されたものだと、高く評価いたします。
市長を初め、担当される箇所の責任者の方に、何を目的としているのか、常に原点に返って、良識ある活動をなされることを期待し、信頼して、原案の賛成討論といたします。

議長(野田隆志君)

ほかにありませんか。

(「なし」と呼ぶ者あり)

議長(野田隆志君)

ないようであります。
これにて、討論を終結いたします。
これより、採決いたします。
まず、本案に対する荒川憲幸君外4人から提出された修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

(賛成者起立)

議長(野田隆志君)

起立少数であります。
よって、修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
本案に対する委員長の報告は、可決であります。
本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。

(賛成者起立)

議長(野田隆志君)

起立多数であります。
よって、本案は原案のとおり可決されました。

議長(野田隆志君)

これにて、平成14年6月(第2回)宇部市議会定例会を閉会いたします。

午前11時17分閉会

地方自治法第123条第2項の規定により、ここに署名する。

平成14年6月26日

宇部市議会議長 野田 隆志

宇部市議会議員 兼広 三朗

宇部市議会議員 飯田 幸正

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