平成27年度(2015年度)施政方針

ウェブ番号1007063  更新日 2021年2月25日

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平成27年2月27日

宇部市長 久保田后子

平成27年3月市議会定例会の開会に当たりまして、平成26年度の市政運営に関する基本的な考え方と予算案の概要について申し述べ、市議会並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願いするものです。

本市を取り巻く諸情勢と本市の財政状況

我が国の経済状況について、平成27年2月に発表された内閣府の月例経済報告では、「景気は、個人消費などに弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」との見方が示され、また、日銀発表の地域経済報告においても、景気情勢において全国的に「回復」という表現が盛り込まれていますが、景気回復の実感は本市を含め、地方隅々にまで行き届いているとはまだ言えない状況であると考えています。

このような状況を踏まえ、第二次安倍内閣は、我が国における急速な少子高齢化の進行に的確に対応し、日本全体、特に、地方の人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京一極集中を是正し、それぞれの地域で住み良い環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会の維持を目的として、今後目指すべき将来の方向を提示する「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」とこれを表現するための今後5か年の目標や基本的な方向等を提示する「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を平成26年12月に閣議決定しました。

国の新年度予算においては、これらの関連事業が盛り込まれ、一般会計総額が96兆3420億円と過去最大の歳出規模となり、国の地方経済活性化への後押しが、本市の地域経済にも及ぶことが期待されるところです。

一方、本市の財政状況については、市債残高の圧縮努力により、財政の健全性を表す実質公債費比率及び将来負担比率については、健全な状態を維持していますが、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、「行財政改革加速化プラン」の実践や職員給料の特例的な一部カット、経常経費の圧縮などに努めたものの、一般財源の減少等により、平成25年度決算では94.9パーセントと、平成24年度に比べ、1.3ポイント増加し、依然として施策的経費に充てる財源が不足している状況にあります。

今後の見通しとしては、福祉関係経費の増加が見込まれる中、自主財源の根幹である市税の減少、さらに地方交付税の合併特例措置が段階的に終了するなど、一段と厳しさを増すものと予測しています。

市政運営に関する基本的な考え方

このように厳しい財政状況にはありますが、人口減少や超高齢化の進行に伴う地域活力の衰退や公共インフラ等の老朽化、地球温暖化による環境問題への対応など、多くの社会的課題に対して、本市は住民に身近な基礎的自治体として、自らの知恵とアイデアを絞って、これらの課題解決に向けて立ち向かい、市民をはじめ、産・官・学・金・労など「地域の力」が一体となって、「まち・ひと・しごと創生」-ふるさとの創生-に挑戦していかなければなりません。

今後の人口減少・超高齢社会にあっても、本市がまちの活力を高め、「元気都市うべ」を築いていくためには、地域においてヒト・モノ・カネが循環し、そこに雇用が生まれ、世代間の交流やコミュニティの繋がりが強化されていく仕組みを創りあげていく必要があると考えています。

このため、これまでの前期及び中期実行計画の5年間の取組をさらに強化・発展させるとともに、国の地方創生政策との融合を図るために、このたび、「宇部市版まち・ひと・しごと創生総合戦略(案)」を作成しました。

この総合戦略(案)では、「地方における安定した雇用を創出」、「地方への新しい人の流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」、「自らの地域資源を活用した、多様な地域社会の形成を目指す」、そして「にぎわいエコまち計画の推進」の5つを基本目標とし、今後、本市が「まち・ひと・しごと創生」に取り組んでいく上での方向性を示しています。

まず、基本目標の1点目として、「産業力強化・雇用対策アクションプラン」等に基づく産業の裾野を広げ、産業力の強化と雇用の創出への取組をさらに強化・発展させるとともに、本市の地域特性を生かした「しごと創り」に取り組み、「安定した雇用の創出」を図ります。

次に2点目として、シティセールス活動の展開によって、ときわ公園やアートによるまちづくりなどの本市の魅力や住み良さを積極的にアピールし、「本市への新しい人の流れ」を創るとともに、空き家等の活用によって、移住・定住人口の増につなげていきたいと考えています。

3点目として、結婚から子育てまでの切れ目のない支援を総合的に行うことにより、安心して子育てできる環境を創るとともに、ICTの活用や学力向上に向けた取組など、学校教育をパワーアップすることによって、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」環境づくりに取り組みます。

4点目として、子どもから高齢者までの支援が一体的に提供される仕組みとして、「地域支え合い包括ケアシステム」の構築や、元気なコミュニティを創生するため、地域が自ら考え、特色ある元気な地域づくりを進める仕組みをつくり、「地域資源を活用した多様な地域社会の形成」を目指します。

また、これらの取組を支える都市基盤として、5点目に位置付けた「にぎわいエコまち計画の推進」では、中心市街地のにぎわい創出としての先導的な整備に向け、計画策定等に取り組んでいきます。

「第四次宇部市総合計画中期実行計画」の2年目となる平成27年度は、このような取組をスタートしていくことから、「宇部市創生元年」と位置付け、中期実行計画に関連する主要施策をベースにして、これまでの取組をさらに強化させていくとともに、まち・ひと・しごと創生の観点から、新たな要素も加え、関連する施策を横断的につなぎ、一体的に展開することで、事業効果の最大化を図りたいと考えています。

このため、本市の人口の現状と将来の展望を提示する「人口ビジョン」を策定し、これを踏まえるとともに、このたび作成した総合戦略(案)を基に、今後5年間の政策目標や施策の基本的方向、具体的な施策とその重要業績評価指標をまとめた、「宇部市版 まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、スピード感を持って、事業実施に取り組んでいきます。

平成27年度予算案の概要

こうした考えのもと、平成27年度の予算は、「行財政改革加速化プラン」の実践に加え、国の経済対策の活用などにより財源確保に努め、「まち・ひと・しごと創生」関連事業も含む、「わがまち創生チャレンジ予算」として、平成26年度3月補正予算と合わせた積極的な予算を一体的に編成しました。

その結果、平成27年度一般会計の予算規模は627億円、平成26年度3月補正予算に計上した経済対策分を合わせると、約629億5100万円となり、過去最大となった平成26年度、大規模な経済対策のあった平成25年度に次ぐ規模となりました。

なお、後年度負担につながる市債残高は一般会計で約728億円と前年度を大幅に下回り、また、財政調整基金残高についても約27億円を留保するなど財政健全化にも留意したところです。また、特別会計においては、ガス事業清算特別会計を廃止し、9つの会計全体で約443億円となっています。 それでは、平成27年度予算案の主な内容を御説明いたします。

1 地域経済の活性化

「まち」、「ひと」、「しごと」の好循環を創り出すためには、まず「しごと創り」が重要であり、若い世代が本市で安心して働くことができるよう安定した雇用の創出を図る必要があります。

このため、本市がこれまで取り組んできた産業支援策をさらに強化・発展させるとともに、これらをベースにして、6次産業や観光、ICT、そして「にぎわいエコまち計画」の推進に伴う地域エネルギー関連分野での「しごと創り」に取り組んでいきたいと考えています。

まず、6次産業化・農商工連携については、本市の一次産品を活用した加工製品を今まで以上に全国にPRするため、「(仮称)うべ元気ブランド・ゴールド」を新設し、認知度の向上と販路拡大を図るとともに、地産地消外商を推進します。併せて、伝統的工芸品である赤間硯の商品力強化・販路開拓等に取り組み、赤間硯のブランド化を推進します。

また、平成24年12月から実施してきた厚生労働省の委託事業「『うべまるごと元気』雇用拡大プロジェクト」の委託期間が、平成27年3月末をもって満了することから、この事業を継承・発展させるために、6次産業化の促進に取り組み、民間ビジネスへ発展させることを目指します。

次に、観光産業については、本市の観光を担う市民ガイドの育成やうべ探検博覧会、キッズうべたんなどをブラッシュアップし、採算性のある着地型旅行商品を造成するとともに、産業観光の推進やコンベンションの誘致を積極的に行い、様々な分野の事業者が恩恵を得られる仕組みづくりに取り組みます。併せて、県や関係機関と連携した国際チャーター便の運航促進にも取り組んでいきます。

また、社会保障・税番号制度に伴う個人番号カードの交付やオープンデータ・ビッグデータの利活用、学校教育におけるタブレット端末の導入など、ICT基盤の整備を図ることにより、アプリケーション開発等のICTビジネスの促進につなげていきます。

次に、「宇部市にぎわいエコまち計画(低炭素まちづくり計画)」に基づき、「多極ネットワーク型コンパクトシティへの転換」として、福祉・医療・商業等の都市機能や居住機能の誘導など、民間の都市機能への投資や居住を効果的に誘導するための指針となる「立地適正化計画」の策定に取り組みます。併せて、このようなまちづくりと一体になった公共交通ネットワークを再構築するため、「地域公共交通網形成計画」を策定します。

また、新庁舎建設と周辺の再整備を目指す「市役所周辺地区」は、新庁舎の建設について、「本庁舎建設基本構想」に基づいて、建設基本計画の策定に取り組み、市制100周年を迎える平成33年の供用開始を目指します。

また、リノベーションなどにより新たな賑わいの創出を目指す「中央町三丁目地区」では、まちづくり構想の策定と、若者まちなか居住などの場所を創出するための助成等を行い、宇部新川駅周辺の再開発を目指す「宇部新川駅周辺地区」では、地区再生計画を策定し、再開発整備の基本方針等を定めます。

次に、地域エネルギーシステムや、再生可能エネルギー導入の促進については、平成26年3月に策定した「宇部市スマートコミュニティ構想」及び平成26年度の事業化可能性調査の結果を踏まえ、本市の実情に合ったエネルギーの有効活用手法を検討するとともに、新たなビジネスモデルの創出につなげていきたいと考えています。

これらの「しごと創り」のベースとなる産業支援策として、「中小企業」や「雇用・起業・創業」、そして「農林水産業」において、多彩な取組を展開していきます。

まず、中小企業・小規模企業の支援策として、企業活動へのICT導入、商談会への出展等を通じた販路開拓、中心市街地内の商店リニューアル、地域商業課題に対しビジネスとして解決に取り組む企業等の支援、「メイド・イン・ウベものづくり支援事業」により、製品化された新製品のモニター助成制度の創設などに取り組みます。

さらに、プレミアム付き商品券の発行により、消費を喚起し、地元経済の活性化を図ります。

次に、雇用・起業・創業の支援策として、求職者と市内中小企業との情報共有のためのポータルサイト「UBEはたらこBASE」を発展させ、企業見学会などを通じて、人手不足の業界や小規模事業者が求職者へ魅力をアピールする機会を設けます。

就労を希望する女性等に対しては、仕事と家庭の両立を支援するため、女性就労相談窓口「ウィメンズワークナビ」の出張相談や、就職支援セミナーを実施するとともに、結婚や出産等により離職し、再就職を希望する子育て女性等に対して、企業などで就労するために必要な知識・技能を習得する研修等を実施します。

さらに、ふるさと起業家支援制度を拡充するとともに、女性起業家等に対しては、産・学・公・金連携による「うべ起業サポートネットワーク」を中心に、女性創業セミナーを実施するなど、起業・創業を支援します。

また、企業誘致については、雇用機会の創出や地元への貢献につながるよう宇部市イノベーション大賞をリニューアルするとともに、引き続き、トップセールスをはじめとした企業訪問の実施など、産業団地への誘致活動を積極的に展開していきます。

また、障害者の就労支援として、障害者が持てる能力を十分発揮できる機会や環境を整備するとともに、本市が取り組む障害者就労ワークステーションでは、関係機関と連携した就労準備のためのセミナーの開催や就労体験の受入など機能の拡充を図ります。

高齢者については、働く意欲と能力のある高齢者が持つ知識・技能を事業活動や地域づくりに生かすため、シルバー人材センターにおける多様な就労機会の確保を支援します。

次に、農林水産業の支援策ですが、まず、農林業については、新規の就業者を雇用する農業法人への支援や青年就農給付金の支給並びに林業研修生への支援を行い、農林業の担い手の確保に取り組みます。

併せて、農地中間管理機構と連携して農地の集積を図り、企業の農業参入や集落営農の法人化を促進するとともに、耕作放棄地を活用した農産物の6次産業化を支援するなど、農地の保全に取り組みます。

また、里山の荒廃や繁茂竹林の拡大を防止するために、森林づくり県民税などを活用した森林と竹林の整備を実施するとともに、タケノコなど副産物の生産拡大に取り組みます。

さらに、年々深刻さを増す有害鳥獣による農業被害の軽減を図るため、猟友会と連携して、サルに重点を置いた有害鳥獣の捕獲対策を強化します。

次に、漁業については、担い手を育成・確保するため、国・県及び漁業協同組合と連携して、長期漁業技術研修や、研修修了後の就業に必要な生産基盤整備、独立直後の経営の安定化を支援します。

また、漁業資源の維持増殖を図るため、魚礁整備を行うとともに、種苗放流やカイガラアマノリの生産活動等を支援します。

さらに、漁業協同組合等が主体となって整備・運営する本市で初めての水産物直売施設の開設に向けた取組を支援していきます。

さて、平成27年度は、第26回UBEビエンナーレを開催するビエンナーレ・イヤーです。アートは人の心を豊かにするものであり、ばいじん公害を克服した宇部の原点でもあります。このため、平成27年度を「アートイヤー」とし、UBEビエンナーレを核として、まちなかアート・フェスタや北部地域で新たに実施するうべの里アートフェスタ、宇部市芸術祭を有機的に連携させた総合アートイベントを開催し、「アートによるまちづくり」の定着と、「うべの食」の魅力を発信することにより、「本市への新しい人の流れ」をつくります。

ときわ公園では、平成27年3月21日にリニューアルオープンする「ときわ動物園」の、平成28年春グランドオープンに向けて整備工事を推進するとともに、体験学習館「モンスタ」では楽しみながら学べるプログラムを実施し、スタディツアーの誘致にも取り組みます。

さらに、「ときわ公園次世代エネルギーパーク」計画により、エコパーク化を進めるとともに、ときわミュージアムの改修やお土産品の開発などの新たな取組により、「ときわ公園の魅力アップ」を図り、全国ブランド化を推進します。

また、「第26回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」については、本年10月に本展を開催するとともに、UBEビエンナーレと瀬戸内国際芸術祭との連携や、スペインのカステジョン市における「UBEビエンナーレ紹介展」の開催など、世界一のUBEビエンナーレを目指して取り組んでいきます。

これら本市特有の魅力ある資源とともに、本市の住み良さを効果的・積極的に情報発信し、本市の認知度アップと交流・移住人口の増加を図るため、首都圏や近隣圏域等に、積極的なシティセールス活動を展開していきます。

また、人口減少などが原因で増加している空き家への対策については、UIJターンの促進と一体的に行い、「U(うべって)I(いいとこ)J(じゃろ~)プロジェクト」として、良質な空き家のストックの掘り起こしとニーズの把握による住宅情報バンクの北部地域から全市域への拡充や、賃貸・売買の際に支障となる家財処分費用の助成などに取り組みます。

併せて、市のPR動画やガイドブックの作成、UIJターンにより転入する子育て世帯への住宅改修費の助成等を実施します。

さらに、市内でも特に高齢化の進行が顕著である、中山間地域では、ワンストップ相談窓口「おいでませ!うべ 移住・定住サポートセンター」において、きめ細かなサービスに努め、移住・定住を促進していきます。

なお、旧楠町を対象地域とする「宇部市過疎地域自立促進計画」の計画期間が平成27年度で満了することに伴い、計画を改定し、楠地区の自然や環境、伝統、文化など、地元の資源を生かした地域づくりを進めます。

2 健康で心豊かなまちづくり

若い世代が安心して結婚・妊娠・出産・子育てができるよう切れ目のない支援やワーク・ライフ・バランスの確保に努め、「安心・子育てのトータルサポート」を推進することにより、本市の子育て支援策が県内他自治体と比べて充実したものとなるよう取り組んでいきます。

まず、地域学童保育事業については、対象の拡大に伴う施設の整備や教育機関と連携して児童指導員のスキルアップに取り組み、活動の充実につなげるほか、平成27年度から実施される「子ども・子育て支援新制度」に適切に対応するため、認定こども園の充実や地域型保育事業の実施に向けて、運営の支援に取り組みます。なお、県内はもとより、全国的に見ても充実している病児・病後児保育については引き続き実施し、子育てと就労の両立を支援します。

また、乳幼児医療費助成制度については、乳幼児が安心して医療機関にかかることのできる制度として、対象者の自己負担制度を廃止するとともに、本市独自の制度である、子ども医療費助成制度の対象年齢を中学3年生にまで拡大します。さらに、ロタウイルスや小児用肺炎球菌の予防接種の助成、保育料の減額など、子育てにおける経済的な負担軽減にも取り組みます。

次に、医療・健康・長寿については、平成26年12月に制定した「宇部市健康づくり推進条例」に基づき、まちづくり・ひとづくり・健康づくりの視点を踏まえた地域社会全体の「市民運動」として、市民や地域コミュニティ、市民活動団体、教育機関、事業者、保健医療福祉関係者などと連携し、市民の健康増進・健康長寿をより一層推進します。

地域医療対策については、救急医療を支える人材確保等の課題に取り組むとともに、市民への適切な受診の啓発など、地域医療・救急医療の充実に向けた体制強化を図ります。

また、がん患者に優しいまちづくりをさらに進め、がんの予防と早期発見のため、市民が受診しやすい、がん検診体制の整備を行います。

障害者福祉については、発達障害等の相談支援体制の強化、緊急時の支援を行うとともに、障害者差別解消法の施行に向け、様々な障害に対する理解を深める事業を行うなど、障害者が安心して暮らせる地域づくりを推進します。

また、多様で複合的な課題を抱える生活困窮者に対して、相談支援をはじめとした就労支援などの各種支援を行う「(仮称)生活相談サポートセンター うべ」を立ち上げ、包括的な支援を継続的に行うことによって、生活困窮者の自立促進を図ります。

次に、教育についてですが、教育の振興に関する施策の大綱を策定し、教育施策の総合的な推進を図るため、教育委員会との協議・調整の場である総合教育会議を設置します。

また、見初小学校と神原小学校、小野中学校と厚東中学校の統合については、引き続き、関係校区民と統合に係る具体的な事項の協議を進めます。

学校教育については、タブレットパソコン等を使った授業を行い、ICTを活用した教育を実践します。また、学校図書館等支援員については小学校への配置人数を増やすとともに、中学校にも配置していきます。

併せて、全小中学校で「学び合い」のある授業づくりに取り組み、「確かな学力」・「豊かな心」・「健やかな体」を育む教育を一層推進し、「学校教育のパワーアップ」を図ります。

さらに、全小中学校でコミュニティ・スクールに取り組み、地域の創意工夫を生かし、地域に開かれた特色ある学校づくりを進めるとともに、子どもたちの育ちや学びを地域ぐるみで見守り、支援するための「うべ協育ネット」の取組を推進します。

いじめや不登校の問題については、児童生徒一人ひとりの状況に応じた支援を行います。特にいじめ問題については、「宇部市いじめ防止基本方針」に基づき、未然防止、早期発見・早期対応及び解消に取り組みます。

また、特別な配慮を必要とする子供たちについては、福祉や医療などの関係機関との連携を一層強化し、発達・就学相談等を行うとともに、サポート教員等の配置によって、子ども自身や保護者への支援体制の充実を図り、幼児期から切れ目のない一貫した支援に取り組みます。

次に、文化・スポーツについてですが、文化の振興については、宇部市文化創造財団と連携・協力し、財団による自主文化事業や人材育成事業への支援を行うとともに、UBEビエンナーレを核として実施する総合アートイベントと宇部市芸術祭を融合させ、「人と地域がきらめく 文化の薫るまちづくり」を推進します。

スポーツの推進については、平成26年10月に設立した宇部市スポーツコミッションと連携し、スポーツによる健康づくりを目的とした住民総参加型イベント「チャレンジデー2015」に初参加し、住民一体となったスポーツ・健康づくりの意識の向上を図るとともに、「健康」・「食」をキーワードとしたスポーツイベントの開催や地域の施設・人材・組織の活用を図るなど、スポーツによる元気な人づくり、健康長寿のまちづくりを推進します。

3 安心・安全なまちづくり

地域の高齢化が進む中にあって、災害に対する対応や生活の利便性など、地域がその特性に応じて、自主的・自立的に、特色ある元気な地域づくりを行うことができる仕組みをつくる必要があります。

このため、地域への巡回や話合いを通じて、地域づくりを進めるために平成26年度に市内12校区に配置した、保健師と地域支援員等で構成する地域支援チームを、平成27年度には市内全域に拡大します。

併せて、高齢者総合相談センターと地域支援チーム等を中心に、地域力・コーディネート力・事業力の3つの力を強化し、高齢者への介護予防や生活支援など、今後の高齢化の進行を見据えた新たな地域の支え合いの仕組みとして、「地域支え合い包括ケアシステム」の構築を進めます。

また、地域づくりのリーダー的な人材の育成を図りながら、地域が自ら考え、特色ある元気な地域づくりを進める先進的なモデル校区を募集して助成するなど、元気な地域コミュニティの創生を図ります。

次に、人権に関しては、本市の市民宣言にうたわれている「人間が尊重される都市づくり」を目指し、人権教育・啓発活動を積極的に推進するとともに、近年増加している配偶者等からの暴力被害者などの安全確保や、相談業務、自立支援に引き続き取り組みます。

次に、災害発生時の備えとして、地域の支援者が要配慮者を避難誘導できない場合に、自主防災会が補完的に支援者に代わって避難誘導を行うことができるよう体制を整備するとともに、避難場所の通信手段を確保するため、各市民センターや北部総合支所にWi-Fi環境を整備します。

また、学校施設の耐震化については、藤山小学校など、校舎7棟の耐震補強工事と、平成26年度からの継続事業による新川小学校校舎や上宇部中学校体育館など、校舎1棟、体育館3棟の計4棟の改築工事を実施します。これにより、平成27年度末には、小中学校施設の耐震化率は85.9パーセントになる見込みです。

また、危険ため池の整備や、護岸の嵩上げによる海岸高潮対策など、ハード面の整備に取り組むとともに、床波漁港海岸の保全事業の範囲を拡大し、漁港東側の護岸や消波ブロック等に関する測量調査設計業務を実施します。

次に、安全な都市環境の整備については、安全性や利便性の向上に重点を置き、「あんしん歩行エリア」及び、その周辺における交差点の段差解消を実施するとともに、岩鼻中野開作線や鍋倉草江線などの道路整備、西岐波団地や見初団地の建替えなど、インフラ施設の整備を計画的に行います。

4 まちづくりの共通基盤

市民との情報共有・協働に関しては、地域における様々な課題について、スマートフォン等を活用し、市民がレポートすることで、効率的に情報を共有し、合理的に解決することを目指す、画像通報システムを導入します。

さらに、市民生活に身近な市政情報を市民に直接届けるとともに、地域のまちづくりについての意見交換を行う「うべの情報 知っちょる会」の開催、ホームページをはじめとした各種広報媒体と情報内容の充実など、市民の情報取得の機会創出と関心を高めるための創意工夫に努めます。

次に、社会保障・税番号制度への対応としては、平成27年10月に個人番号の全世帯に対する通知、平成28年1月から個人番号カードの交付が開始されることに伴い、これらの制度変更に確実に対応し、市民サービスの向上につなげるため、住民基本台帳や税・国民健康保険・福祉等の行政事務を行う情報システムの改修を行います。

さらに、住民票等をコンビニエンスストアで受け取ることができる「コンビニ交付」について、平成28年度からの運用を目指し、準備を進めます。

また、本市の財務状況の透明性を高め、行政評価や予算編成、あるいは施設の老朽化など資産管理に有効に活用するため、固定資産台帳の整備に着手するとともに、本市が保有する公共施設等の中長期的な方向性などを示す「公共施設等総合管理計画」を策定し、公共施設マネジメントを進めていきます。

また、社会経済情勢の変化や新たな行政課題に迅速かつ的確に対応するとともに、安定した行財政基盤の確立に努めていくため、「第二次行財政改革加速化プラン基本計画」に基づき、事業効果の最大化という観点から積極的に事務事業を見直していきます。

5 公営企業

公営企業についてですが、人口減少や社会情勢の変化に伴い、経営環境は今後、さらに厳しさを増していきます。各料金収入の減少が続く中で安定的に事業を継続していくためには、より一層の努力が必要であり、抜本的な経営改革を進め、市民サービスの維持・向上を図ります。

上下水道事業については、市民生活に欠くことのできないライフラインの機能を維持するため、老朽化した施設の更新と耐震化に引き続き取り組みます。さらに、上下水道事業の公民連携について調査検討するとともに、山陽小野田市との水道広域化による施設の統廃合や業務の共同化などの協議を進めます。

また、平成27年3月には、上下水道局庁舎への下水道整備課の移転を予定しており、名実ともに一体的な運営が可能となります。これを機に、両事業の整合性を図りながら、総合的な経営計画を策定するなど、長期的な視点に立った事業運営を目指します。

次に、交通事業については、安心・安全な運行と、エコ通勤の奨励や「バス乗り方教室」などによる利用促進を図るとともに、「宇部市の公共交通の総合的な方針」に基づき、地域とともにバス路線や運行形態を見直して、最適化を進め、利用者の視点に立った利用しやすいバスを目指し、効率的で利便性の高い運行ダイヤの実現に取り組みます。

おわりに

以上、申し上げました事業をはじめとする、諸施策の執行に当たりましては、職員の能力向上、結集が必要であり、宇部市人財育成基本方針に基づき「住民福祉の向上」と「市勢の発展」のため、絶えず検証と見直しを行い、効果を上げていきます。

今後は、これまで培ってきた本市の魅力にさらに磨きをかけ、中長期的な視点を持って、市民が主役のまちづくりをさらに進めていくとともに、目まぐるしく変わる社会経済情勢に的確に対応するため、「まち・ひと・しごと創生」に全力で取り組み、「みんなで築く 活力と交流による元気都市」の実現を目指します。

市議会議員各位をはじめ、市民の皆様におかれましては、これまで申し述べました、平成27年度の施策提案と当初予算案に対しまして、深い御理解と御賛同を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、平成27年度の施政方針といたします。

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