平成28年度(2016年度)施政方針

ウェブ番号1007062  更新日 2021年2月25日

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平成28年2月29日

宇部市長 久保田后子

平成28年3月市議会定例会の開会に当たりまして、平成28年度の市政運営に関する基本的な考え方と予算案の概要について申し述べ、市議会並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願いするものです。

本市を取り巻く諸情勢と本市の財政状況

平成28年1月に発表された内閣府の月例経済報告では、「景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」との見方が示されていますが、地方での消費動向は、消費税引き上げ後の回復が大都市圏で先行するなど、地域間でばらつきが生じており、景気回復の実感は、未だ地方隅々にまで行き届いているとは言えない状況であると考えています。

このような中、国では、平成27年12月に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を改訂し、地方において「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む経済の好循環を確立することで、地方への新たな人の流れを生み出すこと、その好循環を支える「まち」に活力を取り戻し、人々が安心して生活を営み、子どもを産み育てられる社会環境を作り出すことが急務であるとし、「一億総活躍社会」の実現に向けた取組と相互に連動させながら、地方創生の取組を進めていくと示されたところです。

これらの方針を反映させ、国の新年度予算においては、過去最大の歳出規模となった平成27年度の一般会計総額を上回る96兆7218億円の規模となり、今後、地方が自主性・主体性を最大限発揮して進める地方創生の深化に向け、弾みとなることが期待されるところです。

一方、本市の財政状況は、市債残高の圧縮努力により、財政の健全性を示す実質公債費比率及び将来負担比率については、低下傾向にありますが、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、職員給料の特例的な一部カットや「第二次行財政改革加速化プラン」等の実践に努めたものの、物件費や繰出金などが増加したことにより、平成26年度決算では95.2パーセントと、平成25年度に比べ、0.3ポイント増加し、依然として施策的経費に充てる財源が不足している状況にあります。

今後の見通しとしては、社会福祉関係経費の増加が見込まれる中にあって、地方交付税の合併特例措置が段階的に終了するなど、厳しい状況が続くものと予測しています。

市政運営に関する考え方

我が国は、人口減少の進展という大きな課題に直面しており、本市においても、平成7年をピークに人口減少局面に入り、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、45年後の平成72年には9万6000人と10万人を下回り、また併せて高齢化率も上昇すると予測されています。

人口減少や少子高齢化のさらなる進行は、地域経済にマイナスの影響をもたらすことが懸念されますが、一方ではマイナス面ばかりではなく、自分たちの未来を自分たちの創意工夫で切り拓くという意識を持ち、意欲的にチャレンジしていけば、むしろ本市が将来に向けて、本当の豊かさや幸福を実現していくための絶好の転換点となるのではないかと考えています。

平成27年は、宇部市発展にとって重要な計画として「宇部市にぎわいエコまち計画」「宇部市まちなか活力再生計画」「宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略」、そして「宇部市観光戦略アクションプラン」の4つの計画を策定し、関連事業も既にスタートさせていますが、今後さらに加速化させ、「元気都市うべ」の実現に繋げていかなければなりません。

平成28年は、宇部市制施行95周年を迎え、来るべき100周年に向けてのカウントダウンを始める節目の年でもあります。

この節目の年に、人口減少社会や少子高齢社会に負けない、活力と魅力あふれるまちを目指し、平成27年10月に策定した「宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を基に、本市ならではの地方創生、「暮らして良し、働いて良しの市民が誇りを持てるまちづくり」に積極的にチャレンジすることにより、都市の成長に繋げていきたいと考えています。

この総合戦略では、「安定した雇用を創出する」「新しい人の流れをつくる」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「地域資源を活用した多様な地域社会の形成を目指す」「にぎわいエコまち計画に基づく都市基盤の整備」の5つの基本目標を掲げ、今後、本市が「まち・ひと・しごと創生」に取り組んでいく上での方向性や施策を示しています。

地方創生の2年目となる平成28年度は、「地方創生元年」として取り組んできた平成27年度の取組や、中期実行計画の過去2年間の取組を検証し、さらに強化・発展させていくとともに、関連する施策を横断的・一体的に展開することで、事業効果の最大化を図っていきたいと考えています。

なお、これらの取組を進め、地方創生を深化させていくにあたり、従来の縦割りの事業や取組を超えた「新たな枠組みづくり」や、事業推進主体の形成、専門人材の誘致・地域人材の育成など「新たな担い手づくり」が大変重要であることから、宇部商工会議所 並びに くすのき商工会など経済団体をはじめ、地元企業や大学・高専等の高等教育機関など、多様な主体との協働・連携によって進めていく仕組みも構築していきます。

また、「宇部市にぎわいエコまち計画」に掲げた「多極ネットワーク型コンパクトシティ」の実現に向けて、新たな公共交通網の形成にも着手します。これらの取組を通じて、「まち・ひと・しごとの好循環」を創り出し、本市の特色を生かした地方創生を、迅速かつ効果的に成し遂げていきたいと考えています。

平成28年度予算案の概要

こうした考えのもと、平成28年度の予算は、「第二次行財政改革加速化プラン」の実践に加え、国の一億総活躍社会実現のための関連予算の活用などにより、財源確保に努め、総合戦略に位置づけた事業を中心に、「暮らして良し、働いて良し 創生予算」として、平成27年度3月補正予算と合わせた積極的な予算を一体的に編成しました。

その結果、平成28年度一般会計の予算規模は632億1千万円、平成27年度3月補正予算に計上した地方創生加速化交付金事業等を合わせると、約638億2500万円となり、過去最大となった平成26年度に次ぐ規模となりました。

一方、土地開発公社解散に伴う第三セクター等改革推進債の債務圧縮などにより、後年度負担につながる市債残高は、一般会計で約693億3千万円と前年度を大幅に下回り、また、本市のビッグプロジェクトである本庁舎建設に備え基金を積み増すなど、財政の健全化を図り、中長期的な財政基盤の確立にも留意したところです。なお、特別会計の予算規模は、9つの特別会計全体で約434億1千万円となり、平成27年度と比較して2.1パーセントの減となっています。

それでは、平成28年度予算案の主な内容を御説明いたします。

1 安定した雇用を創出する

人口の流出に歯止めをかけ、「まち・ひと・しごとの好循環」を確立するためには、まず「しごと創り」が重要であり、成長分野の産業を育て、安定した雇用の創出を図る必要があります。

このため、本市がこれまで取り組んできた産業振興策をさらに強化・発展させるとともに、本市の特性を生かし、環境エネルギーやヘルスケア、観光などの分野で、安定した雇用を生み出す地域産業の創出に取り組みます。

まず、「環境エネルギー産業の育成・振興」については、地域のエネルギーシステムや、再生可能エネルギー導入の促進を図り、エネルギーの地産地消と付加価値の高い電力供給を行う新電力会社の設立を目指すとともに、食品残渣のリサイクルループを構築して、バイオガス発電の実証事業による新たなビジネスモデルの創出に取り組みます。

次に、「ヘルスケア産業の育成・振興」については、医療環境等が充実している本市の特性を生かし、ICTを活用した生活習慣の改善プログラムの開発や、ヘルスツーリズムの実施、ヘルシーメニュー認証事業の推進など、健康ビジネスモデルの創出に取り組みます。

次に、「観光産業の育成・振興」については、山口宇部空港の国際定期便化を視野に入れ、県や関係機関と連携し、外国人観光客誘致のための受け入れ環境の整備等を強化するとともに、山口宇部空港の開港50周年を記念し、関連事業を展開して、さらなる利用促進に繋げます。

また、観光交流協定に基づく山口市との協力体制を強化するとともに、ときわ公園を「やまぐち観光周遊バス」に組み込んだ新コースの設定など、広域観光連携を積極的に推進します。

さらに、市民・観光関係団体・事業者・行政など、オール宇部市で「観光まちづくり」を戦略的に推進する組織であるDMOの構築に向け、本市の観光における基礎データの収集・調査・分析を行います。

次に、「6次産業化・農商工連携の推進」については、「うべまるごと元気ネットワーク」を活用し民間事業者との連携により、タケノコのブランド化等を推進するなど、本市の一次産品を原材料とした加工品の開発や、販路拡大に取り組みます。

また、うべ元気ブランドについては、認知度をさらに高めるため、戦略的な情報発信を行うとともに、認証製品の製造及び販売を支援します。

併せて、地元一次産品の消費を拡大するため、地産地消外商を推進します。

次に、「雇用の促進・起業創業の支援」については、求職者が小規模事業者の仕事について魅力を感じることができるよう取組を強化します。このため、求職者と市内中小企業との情報共有サイト「UBEはたらこBASE」におけるオーディション等の参加者を事業所訪問ツアーに繋げるなど、市内事業者の多様な人材の確保に向けて支援を行います。

また、就労を希望する女性に対しては、平成26年6月に設置した女性就労相談窓口「ウィメンズワークナビ」の利用促進に引き続き取り組み、ワンストップで就労支援を行います。特に、再就職を希望する子育て中の女性等に対しては、託児を設けるなど参加しやすい環境を整えて、知識・技能を習得する研修講座等を実施します。

さらに、産・学・公・金で構成する「うべ起業サポートネットワーク」との連携を図りながら、創業セミナーの開催や、ふるさと起業家支援制度などにより、起業・創業を支援するとともに、中央町三丁目地区に起業・創業支援機能を備えた多世代交流スペースを整備するなど、まちなかでの事業スペースを確保します。

また、企業等の誘致については、トップセールスをはじめとした企業訪問の実施や、宇部市イノベーション大賞等の事業所設置奨励制度を活用し、引き続き、産業団地への誘致活動を積極的に展開するとともに、中心市街地へのオフィス等の誘致や国の制度を活用した企業の本社機能の移転、また県と連携した政府機関の地方移転など、企業等の地方拠点強化に向けた取組を促進します。

次に、「中小企業等の振興」については、販売促進のための実践的なICTの活用や、金融機関との連携による販路開拓、中心市街地内の商店リニューアル、提案公募による地域商業課題解決に向けた取組、「メイド・イン・ウベものづくり」等への支援を行います。

また、伝統的工芸品である赤間硯については、海外商標登録の取得による販路拡大に取り組み、ブランド化を推進します。

さらに、中小企業の海外での事業展開を促進するため、平成27年11月に設置した「宇部市グローバルビジネスセンター」を拠点として、事業展開に必要な情報提供や個別案件について支援するとともに、貿易や流通に関する経済セミナーを開催します。

次に、「農林水産業の振興と担い手の育成」について、まず、農林業については、新規に農業参入する企業、集落営農法人及び新規の就業者を雇用する農業法人への支援や青年就農給付金の支給、林業研修生への支援等を行い、多様な担い手の確保に取り組みます。

併せて、耕作放棄地については、営農再開に対する支援や、薬用作物・オリーブなど本市が推奨する戦略作物の栽培を促進し、その解消に努めます。また、農地中間管理機構との連携によって農地の集積を図るとともに、中山間地域等直接支払事業や多面的機能支払事業の推進により、農地の保全に取り組みます。

さらに、有害鳥獣による農業被害の軽減を図るため、有害鳥獣対策支援員の設置による初動体制の強化や、猟友会とのさらなる連携強化を図ります。

また、里山の荒廃や繁茂竹林の拡大を防止するとともに、タケノコや竹バイオマスなど竹資源の循環を図るため、森林づくり県民税などを活用した計画的な竹林整備に取り組みます。

次に、漁業については、国・県及び漁業協同組合と連携して、長期に渡る漁業技術の研修や、研修修了後の就業に必要な生産基盤整備、独立直後の経営安定化の支援を行い、担い手の確保に取り組みます。

また、漁業資源の維持増殖を図るため、県と連携して魚礁整備を行うとともに、種苗放流やカイガラアマノリの生産活動を支援します。

さらに、この春オープンする、本市で初めての水産物直売施設「うべ新鮮市場 元気一番」の周知や集客を図るため、漁業協同組合が行うイベント等の取組を支援します。

2 新しい人の流れをつくる

本市に移住する人、また、本市を訪れる人の流れを創り出し、定住人口や交流人口の増加を図るためには、本市ならではの地域特性をPRし、UIJターンなどの移住・定住や本市への来訪に繋がるよう、居住誘導に向けた取組を戦略的に展開していく必要があります。

まず、「移住・定住の促進」については、本市の地域特性を踏まえて、若者・子育て世代を中心とした福祉医療人材や経験豊富なアクティブシニア層など、多世代に渡る移住・定住の促進に取り組みます。

そのため、平成27年度中に策定する「宇部多世代共働交流まちづくり(宇部CCRC)構想」に基づき、「中心市街地」と「あすとぴあ地区」を拠点地域として、住居などの居住機能を中心に、雇用や子育てなど様々な機能を整備し、生涯活躍のまちづくりモデルの構築に取り組みます。平成28年度は、移住・定住に関する専門部署を設置するとともに、移住体験ツアーやお試し居住の実施、首都圏でのPRなど、移住・定住の促進に向けた取組を拡充します。併せて、移住・定住者の就業や起業・創業支援のほか、社会貢献活動などの「やりがい創り」にも取り組みます。

また、市内でも特に高齢化の進行が顕著である中山間地域においては、新たな地域の担い手を確保するため、空き家の利活用を促進させ、移住者等の受け入れや支援を行うとともに、農地・営農指導付きの空き家等を「宇部版クラインガルテン」として入居者の募集を行い、ソフト・ハードの両面から移住・定住の促進に取り組みます。

さらに、空き家対策の一環として、空き家の利活用方法についての提案を公募し、提案者に対して、家屋の改修に要する経費の一部を助成するモデル事業を実施します。

次に、「大学等と連携した若者等の定着支援」として、地元大学等の卒業者を対象としたUIJターンの相談体制を支援するとともに、県内大学等が「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COCプラス事業)」に掲げた、地元人材の育成及び学生の地元定着を図るため、山口大学や宇部工業高等専門学校等と連携し、テクノロジー分野に関する講座を開設します。

また、事業所である市としても、地元就職率の向上を図るとともに、将来的な人材の確保に繋げることを目的として、市役所での長期インターンシップの受け入れを実施します。

次に、「地域資源を生かした交流・シティセールスの推進」として、まず、ときわ公園の魅力向上については、平成28年3月19日のときわ動物園のグランドオープンにより、市民の憩いの場として、また観光施設として、ワンランク上に立ったところであり、今月改定した「ときわ公園活性化基本計画」に基づき、さらなる魅力アップを図り、日本一の自然体感テーマパークを目指します。施設整備では、「世界を旅し、感動する植物館」をコンセプトとした、ときわミュージアムの温室の改修、さらに古民家「憩いの家」の改修や来園者増への対応として駐車場の整備などを行うとともに、「ときわ公園次世代エネルギーパーク」計画によるエコパーク化も進めていきます。

また、「COCプラス事業」の一環として、ときわ公園をフィールドとした、テクノロジー・アート作品を制作し、夜間の集客対策に繋げるなど、滞在型観光への取組を強化します。併せて、ときわ動物園を中心とした情報発信の強化や自然環境を学ぶスタディツアーの誘致などにも取り組みます。

次に、アートによるまちづくりとして、UBEビエンナーレについては、第27回展の一次審査及び応募作品展を開催し、観光資源の目玉として、「瀬戸内国際芸術祭2016」と連携しながら、国内外に情報発信するとともに、滞在型創作活動を通じて作家と市民のふれあう機会を創出します。

次に、うべの魅力の効果的な発信として、これら本市特有の魅力ある資源や取組のPR、「2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合」への参画を通じた広域連携によるイベントの実施など、本市の魅力や暮らしやすさを首都圏や近隣圏域等に効果的・効率的に発信する、積極的なシティセールス活動を展開し、本市の認知度の向上と交流人口や移住・定住人口の増加を目指します。

さらに、海外へのシティセールス活動の一環として、駐日外交団に対して本市の魅力を伝えるプレゼンテーションを実施します。

3 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

本市の合計特殊出生率は、様々な子育て支援策に取り組むことで、近年、上昇傾向にあり、今後も、その傾向を堅調に維持していくため、結婚・出産や住まいの取得などの機会に、本市での定住を選択してもらえるよう、引き続き、子育てしやすい保育・教育環境を整え、暮らしやすい地域づくりを進めていく必要があります。

まず、「結婚・出産・子育てへの切れ目ない支援」については、結婚・出産・子育てに対する不安感や負担感を解消し、安心して子育てができるよう、ワーク・ライフ・バランスの推進を図るとともに、子育て世代包括支援センターにおける妊娠期から子育て期にわたる総合的な相談支援の実施や、産後・生後2週間における母子相談などに取り組みます。

また、認定こども園や地域型保育、病児・病後児保育など、保育の場の安定的な確保に引き続き取り組むことで、子育てと就労の両立を支援していきます。

公的保育については、「宇部市立保育園のあり方検討委員会」からの意見を踏まえ、さらには、多世代共働交流まちづくりなどを推進していく中にあって、公共サービスとしての保育のあり方についての基本方針及び実施計画の策定に取り組んでいきます。

さらに、子どもを感染症から守り、健やかな成長を支援するため、法定接種の推進に加え、法定外接種の助成に新たにおたふく風邪を追加するなど、本市の子育て支援策の拡充を図ります。

次に、「魅力ある優れた教育機会の提供」について、まず、学校教育の充実としては、これまでの小中連携教育の取組を発展させた小中一貫教育の実施に向け、「(仮称)小中一貫教育推進協議会」を設置して、より系統的、継続的な学習指導・生徒指導を実現し、児童生徒が義務教育9年間を修了するにふさわしい学力・体力・社会性を育成します。また、留学生等の英語サポーターによる授業支援やオンライン英会話を活用した授業の実施等により、英語教育の充実を図ります。

さらに、特別教室の無線LANの整備や電子黒板の追加配備を行い、タブレットパソコン等のICT機器を効果的に活用した分かりやすい授業を展開します。

また、学校施設の耐震補強工事については、平成27年度中に全て終了し、今後は全てが改築工事となります。平成28年度は、岬小学校校舎や厚南中学校体育館など、校舎1棟、体育館3棟の計4棟の改築工事を実施し、平成28年度末には、小中学校施設の耐震化率が90.1パーセントになる見込みです。

また、平成28年4月1日には、小野中学校と厚東中学校を統合した厚東川中学校を開校し、見初小学校と神原小学校の統合については、引き続き、関係校区民と統合に係る協議を進めます。

次に、地域と連携した教育と教育環境の充実として、これまで以上に、コミュニティ・スクールやうべ協育ネットの取組を活発に行い、学校や家庭、地域が連携・協働した、「地域ぐるみで子どもたちを守り育てる仕組みづくり」を推進するとともに、学校を核とした地域づくりも進めていきます。

また、いじめや不登校の問題については、いじめや不登校に悩む児童生徒をなくすため、一人ひとりの状況に応じた、きめ細かな支援に取り組みます。

特に不登校については、未然防止の観点を重視し、対策の指針となる「不登校防止アクションプラン」の策定、不登校傾向の児童生徒を対象とした学習支援や教育相談の実施のほか、不登校児童生徒がいる家庭を支援するため、家庭訪問により保護者の相談に対応するなど新たな取組を進めます。

さらに、発達障害など特別な配慮が必要な子どもたちへの支援として、平成27年6月に設置した発達障害等支援センター「そらいろ」を核として、学校等との連携を図りながら、幼児期から切れ目のない一貫した支援に取り組みます。また、サポート教員等の配置や支援ボランティアの活用を推進することにより、子ども自身や保護者への支援体制の充実を図ります。

4 地域資源を活用した多様な地域社会の形成を目指す

「しごと」と「ひと」の好循環を支えるためには、「まち」の活力を取り戻し、市民が安心して暮らすことができる社会環境を創り出していくことが必要です。

このため、地域の自助力・共助力を高めるとともに、市民が地域の一員として健康で活き活きと活躍することができ、各地域の特色を生かした自主的・自立的な地域づくりのための取組に対し支援を行います。

「住み慣れた地域で安心して生活できる基盤の整備」については、地域支え合い包括ケアシステムの強化として、子どもから高齢者まで住み慣れた地域で自分らしい暮らしができるよう、様々な世代が支え合う地域づくりに取り組みます。

まず、高齢者支援として、市内9か所に設置している高齢者総合相談センターを核に、医療と介護の連携のもと、住み慣れた地域で安心して生活できる地域社会の構築を進めます。併せて、社会福祉法人の地域貢献の促進や見守り安心コールサービスの充実を図り、多様な実施主体との連携のもと、高齢者の見守り体制を強化していきます。

また、生活支援や介護予防などの多様なニーズに対応するため、訪問介護や通所介護について、従来のサービスに新たなメニューを加えた新総合事業を実施し、住民等が主体となって提供する多様なサービスに対する支援を行います。

さらに、働く意欲のある高齢者が、これまでに培った能力や経験を事業活動や地域づくりに生かすため、シルバー人材センターにおける多様な就業機会の確保を支援します。

次に、健康長寿のまちづくりとして、地域団体が主体的に行う健康づくり活動への助成を行い、健康志向の高い地域コミュニティの形成を促進します。

また、生活習慣病の早期発見・早期治療のため、脳ドックの拡充や経膣エコー検査の新設など、受診につながる環境を整えることで、特定健康診査 及び がん検診の受診率の向上を目指します。

併せて、宇部・小野田保健医療圏の自治体が連携し、救急医療における適切な受診、救急車の適正利用に関する普及啓発等に取り組むなど、救急医療体制の充実を進めます。

次に、障害者の地域活動への支援として、公共施設のバリアフリー化を進めるとともに、障害者差別解消法の施行を受け、差別相談窓口や「障害者差別解消支援地域協議会」の設置により、障害者差別の解消と合理的配慮の促進を図ります。

また、障害者の地域生活を支える体制の充実を図るとともに、働きたいと希望する障害者の就労を支援し、障害者が安心して暮らせる地域づくりを推進します。

次に、「地域課題を自ら解決できる元気コミュニティ・小さな拠点づくり」については、まず、元気・安心・地域づくりの推進として、24校区がそれぞれの地域の課題やニーズを踏まえ、自主的に地域の資源や特色を生かした魅力ある地域づくりを推進するために、地域運営組織の設置や、地域計画の策定に対して、地域・保健福祉支援チームが関係機関と連携して、総合的な支援を行います。

また、地域特性や移動ニーズ等に沿ったコミュニティ・タクシーなど、地域内の移動手段を検討・運営する地域組織の立ち上げと実証的な運行への支援を行います。

次に、中山間地域については、中山間地域・保健福祉支援チームや地域おこし協力隊員を配置するとともに、うべの里アートフェスタのプレイベントの開催や住宅情報バンクへの登録の推進、移住・定住に向けた住宅改修費の助成等によって、元気で自立した魅力ある地域づくりを進めていきます。

また、市民の安心安全な消費生活のため、市役所内に設置している宇部市消費生活センターにおいて、相談機能及び啓発活動をさらに強化することで、被害の未然防止に取り組みます。

次に、スポーツによる元気な人づくりとして、宇部市スポーツコミッションと連携し、スポーツによる健康づくりを目的とした住民総参加型イベント「チャレンジデー」に今年も参加し、市民と一体となったスポーツ・健康づくりの意識の向上を図ります。

さらに、誰もが住み慣れた地域で継続してスポーツに親しめるよう、地域の施設・人材・組織の活用を図るとともに、俵田翁記念体育館の耐震改修等に向けて設計業務に着手するなど、スポーツ環境を整備し、スポーツを通じた健康の増進と地域の活性化に取り組みます。

5 「にぎわいエコまち計画」に基づく都市基盤の整備

「宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げた4つの基本目標を達成するためには、しごと創りや移住・定住の促進など、ソフト施策の効率的・効果的な展開と併せて、今後の人口減少社会を見据えた最適な都市基盤の整備を進めていくことが必要です。

このため、平成27年3月に策定した「宇部市にぎわいエコまち計画(低炭素まちづくり計画)」に基づく、「多極ネットワーク型コンパクトシティ」の実現に向けて、福祉・医療・商業等の都市機能や居住を誘導するための指針となる「立地適正化計画」の策定に引き続き取り組みます。

併せて、平成27年度中に策定する「宇部市地域公共交通網形成計画」に基づき、バスの乗継拠点の設置や、日常生活の移動を確保する地域主導の地域内交通の導入支援に取り組むとともに、「宇部市地域公共交通再編実施計画」を策定し、公共交通網の再編を効率的、計画的に推進します。

また、本庁舎建設と周辺の再整備を目指す「市役所周辺地区」は、本庁舎建替えに向けて「宇部市本庁舎建設基本計画」に基づき、建設基本設計に着手します。さらに、宇部新川駅周辺の再開発を目指す「宇部新川駅周辺地区」では、宇部新川駅及び駅前広場周辺について、整備方針や整備手法などを定める整備計画を策定します。

新たなにぎわいの創出を目指す「中央町三丁目地区」では、宇部多世代共働交流まちづくり(宇部CCRC)の拠点地域の一つとして、アクティブシニア層や子育て世帯向けの住宅確保に向け、建物建設やリノベーションへの支援を行うとともに、多世代が交流し、子育て支援や起業・創業支援機能を備えた多世代交流スペースの整備を進めます。

さらに、宇部商工会議所と連携して、中心市街地におけるエリアマネジメントや地域活性化事業等を行うまちづくり会社の設立を支援します。

また、平成27年度に実施している、中央町まちづくりコーディネート業務の結果を踏まえ、「(仮称)子どもプラザ」や「(仮称)若者未来センター」について、平成28年度の事業着手を目指します。

6 効率的な行政運営の推進

本市の地方創生を進める上で、地域の発展や本市が抱える行政課題に対応するための基盤となる行財政運営については、広域的な視点を持ち持続可能な行政サービスの提供体制を整えるなど、事業効果の最大化に努めていく必要があります。

まず、市民サービスの向上については、平成28年1月からマイナンバーカードの運用が開始されたことに伴い、住民票の写し等をコンビニエンスストアで受け取ることができる「コンビニ交付」について、平成28年度中に実施します。

次に、市民との情報共有については、市民生活に身近な市政情報を市民に直接届ける「うべの情報 知っちょる会」の効果的・効率的な開催、ホームページをはじめとした各種広報媒体と情報内容の充実や、市民の意向の把握など、市民の情報取得の機会創出と市政への関心を高めるための創意工夫に努めます。

また、市制施行95周年を迎える本年、市制施行100周年を記念する様々な取組について、幅広い層の市民の参画による市民委員会を設置し、話し合いをスタートします。

次に、広域行政の推進については、連携中枢都市圏等の形成に向けて、近隣自治体との協議を進めていきます。

次に、効率的な行政運営として、本市の財務状況の透明性を高め、予算の編成や資産の管理に有効に活用するため、固定資産台帳の整備を進めるとともに、平成27年度中に策定する「宇部市公共施設等総合管理計画」に基づき、施設の現状や利用実態を公表し、市民や施設利用者と個別施設の方向性について議論を重ねていきます。

また、社会経済情勢の変化や新たな行政課題に迅速かつ的確に対応するとともに、安定した行財政基盤の確立に努めていくため、「第二次行財政改革加速化プラン基本計画」の3年目である平成28年度は、より柔軟な視点と発想を持って、積極的な事務事業の見直しやクラウド・ファンディングなどの新たな財源捻出に取り組んでいきます。

7 公営企業

公営企業については、人口減少や社会情勢の変化に伴い、経営環境は今後、さらに厳しさを増していくものと予測されます。各料金収入の減少が続く中で安定的に事業を継続していくためには、より一層の経営努力が必要であり、抜本的な経営改革を進め、市民サービスの維持・向上を図ります。

まず、上下水道事業については、市民生活に欠かすことのできないライフラインとしての機能を維持するため、引き続き老朽化した施設の更新と耐震化に取り組むとともに、上下水道事業の公民連携の調査検討結果を踏まえ、事業運営の手法等について関係団体と具体的な協議を行っていきます。

水道事業については、「宇部市・山陽小野田市水道事業広域化基本計画」に基づき、両市水道事業の広域化に向けて、具体的な協議を進め、広域化実施計画を策定します。

また、下水道事業については、快適な生活環境を確保するため、浸水常襲(しんすいじょうしゅう)地区の雨水整備及び老朽管対策に取り組みます。

次に、交通事業については、安心・安全な運行と利用促進に努めるとともに、「宇部市地域公共交通網形成計画」に基づき、バス路線の主要幹線化による高頻度・等間隔運行の実施や、長大な路線の分割など、総合的・抜本的に路線の再編を行うとともに、地域内交通との連携を進め、効率的で利便性の高い運行ダイヤの実現に取り組みます。

おわりに

以上、申し上げました事業をはじめとする諸施策の執行に当たりましては、職員一人ひとりの能力向上と合わせて、その能力を最大限に発揮できるような組織体制を整え、まちづくりの主役である市民との対話を重ねて、取り組んでいきます。

本市を取り巻く社会・経済情勢は決して予断を許さない厳しい環境ではありますが、本市としては、総合戦略の5つの柱、すなわち「しごと創り」「人の還流」「若い世代への支援」、これらを進めるための「地域の魅力アップ」、さらにそれを支える「都市基盤の強化」をしていくことで、よりダイナミックに地方創生に挑戦し、多くの都市の中から選んでもらえる「まち」として成長を遂げたいと考えています。

市議会議員各位をはじめ、市民の皆様におかれましては、これまで申し述べました平成28年度の施策提案と当初予算案に対しまして、深い御理解と御賛同を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、平成28年度の施政方針といたします。

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