平成31年度(2019年度)施政方針

ウェブ番号1007059  更新日 2021年2月10日

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平成31年2月26日

宇部市長 久保田后子

はじめに

2019年3月市議会定例会の開会にあたりまして、2019年度の市政運営に関する基本的な考え方と予算の概要について申し述べ、市議会並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願いするものです。

市制運営に関する考え方

2018年度は、「第四次宇部市総合計画」の総仕上げとなる「後期実行計画」がスタートし、「うべ産業共創イノベーションセンター 志」の開設や、持続可能で暮らしやすい地域共生のまちづくりを目指す「宇部市立地適正化計画」の策定、「緑と花と彫刻のまち」の新たなステージとなる「ガーデンシティうべ構想」の策定など、重点戦略プロジェクトを中心に、“希望あふれる未来”につなぐ確かな一歩を踏み出しました。

さらに、昨年の6月には、「後期実行計画」をベースに提案した本市の取組が、国に評価され、県内で唯一の「SDGs未来都市」に選定されたことから、世界共通のゴールであるSDGsの達成に向けたまちづくりを、地方創生の更なる推進につながるものとして、積極的に取り組んでいきます。

また、2019年1月に発表された内閣府の月例経済報告では、「景気は、緩やかに回復している。」との見方が示されていますが、少子高齢化や人口減少といった構造変化によって、消費や生産といった経済活動の動向は地域間でばらつきがあり、地方における経済環境は、引き続き厳しい状況が続くものと考えています。

本市では、人口減少・超高齢化への対策として2015年10月に、「宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、雇用創出に向けた企業立地の促進や起業・創業の実現、子育て支援など様々な取組を進めてきました。

この間、産業団地への企業進出が9社、創業実現が117件、また、合計特殊出生率については、
0.03ポイント上昇し、全国平均1.44を上回る1.54となるなど一定の成果が現れています。

人口については、2018年は約16万6千人となり、「宇部市人口ビジョン」において目標とする将来展望人口をほぼ達成していますが、依然として減少は続いています。

このため、「宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の最終年度となる2019年度は、総合戦略の総仕上げとして、これまでの実績を評価検証し、人口減少対策として掲げた各種目標の達成に取り組むとともに、中枢中核都市としての役割も踏まえ、地域経済の成長力確保に向けて、「ひとづくり」「しごとづくり」をさらに進めていきます。

一方、本市を取り巻く社会情勢は劇的に変化を続けており、こうした変化に、柔軟・機敏に対応した持続可能なまちづくりを進めていく必要があります。

特に、急速に進展するAI、IoTなどの技術革新は、これまでの生活や経済社会全体を画期的に変えようとしています。

このため、産業や地域づくり、行政活動など様々な分野において、最新のデジタルテクノロジーや、自動運転などの近未来技術を導入・展開する「Society5.0」を、次の時代を切り拓く「鍵」として積極的に推進し、社会的課題の解決と地域経済の更なる発展につなげます。

また近年、気候変動が原因と考えられる大型の台風や集中豪雨、地震などが各地で続発し、市民の防災への関心は一段と高まっています。このため、その備えとなる災害に強い安全なまちづくりや、地域が有する資源や特性を活用した「脱炭素・循環・共生」による地域循環共生圏の創造に向けて、強靭で持続可能なまちづくりを進めます。

また、立地適正化計画のもと、今後、中心市街地や地域の拠点等の求心力を高め、市全体の魅力と利便性の向上を図るコンパクトなまちづくりと、人口減少や少子高齢化が進む中、誰もが健やかに安心して暮らすことができる地域支え合い包括ケアシステムを強化していくうえで、住民の移動を支える交通ネットワークの確保・充実は重要な課題となります。

このため、路線バスをはじめとした従来の公共交通の利便性を高めるとともに、新たに、効率的で利便性の高い次世代交通システムの導入に向けて、関係市とともに検討を進めていきます。

また、多くの外国人が訪れる2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も見据え、本市の豊かな地域資源を生かした観光ルートの造成や、食の魅力づくり、さらに、「アートでつながる7市町」をテーマ(案)として、山口県央連携都市圏域による「周遊型観光」の開催に向けた地域の魅力アップにも取り組んでいきます。

また、来る市制施行100周年に向けて、記念プロジェクトを御提案いただいた市民の方々と取組を本格化していきます。

一方で、中心市街地において、長年市民に親しまれてきた大規模小売店が相次いで閉店したことから、その影響を最小限に留めるため、宇部商工会議所をはじめとした関係者と連携して、商業の振興やにぎわい創出に向けた取組を積極的に進めます。

引き続き、市民と語り合い、ともに実践すること、また柔軟に発想し、挑戦し続けることを市政運営の基本とし、本市発展の原動力となる「人財」の育成と活躍促進、多様な主体との連携を強めながら、オール宇部市で力強く推進していきます。

こうした考えのもと、2019年度は、重点戦略プロジェクトを中心とした「後期実行計画」をベースに、社会情勢の変化に的確に対応した持続可能なまちづくりを進めるため、

「防災・減災 災害死亡者ゼロのまちづくり」

「商業の振興と中心市街地のにぎわい創出」

「共生社会づくり」

「スマートウエルネスシティ(SWC)の推進」

「次世代交通システムの推進」

「デジタル市役所の構築」

「宇部まるごと体験プロジェクト」

「市制施行100周年記念プロジェクト」

「SDGs未来都市の推進」

を強化・パッケージ化し、部局横断的に取り組みます。

2019年度予算案の概要

2019年度予算は、これらの取組などにより、「私たちが未来に向けてイノベーションを起こす」という意味を込めた「ウィーノベーション創出予算」を編成し、一般会計の予算規模は、過去最大規模の664億1千万円、2018年度に比べ、28億9千万円の増加となり、10年連続で600億円以上の予算規模を確保することができました。

また、編成にあたっては、持続的な行財政改革の取組及び国・県等の補助制度や市債の活用などにより、財源確保に努めました。

一方、市債残高は、本庁舎建設事業債を除くと、一般会計で約661億4千万円、2018年度末からは約6億1千万円減少し、また、財政調整基金の取り崩しも2018年度に比べ7千万円減少させるなど、中長期的な財政の持続性にも留意したところです。

なお、特別会計の予算規模は、9つの特別会計全体で409億4千2百万円となり、2018年度と比較して約5億4千万円、率にすると1.3パーセントの増となっています。

それでは、2019年度の主な取組を、後期実行計画に沿って御説明いたします。

重点プロジェクト

本市が将来にわたって成長力を確保するため、4つの重点プロジェクトについて、引き続き、戦略的・部局横断的に展開していきます。

1点目は「ICT・地域イノベーションの推進」です。

本市には、山口大学をはじめとした高等教育機関や研究機関が集積し、また、工業都市として発展する過程で培った高い技術力があります。

こうした地域力にさらに磨きをかけ、起業・創業や事業活動展開の最適地、地域づくりなどあらゆる分野で独創的な取組が展開される「イノベーションが起こるまち宇部」を目指します。

まず、「オープンイノベーションの推進」については、2018年7月にオープンした「うべ産業共創イノベーションセンター 志」において、人材マッチングやスタートアップ支援などの機能を拡充し、起業・創業、経営改善の支援などに積極的に取り組みます。

さらに、市民、企業、大学など多様なステークホルダーが連携し、経済・社会・環境分野の課題解決と価値の創造に取り組む拠点として、イノベーションセンターに新たに「宇部SDGs推進センター」(仮称)を併設します。

また、「中小企業のイノベーション支援」として、ICT・IoTをはじめ地元企業の優れた技術を活かした「メイド・イン・ウベものづくり」や、生産性の向上につながるICT・IoTの導入等を促進します。

さらに、現在策定を進めている「宇部市デジタル市役所推進基本計画」のもと、行政サービスの向上と、業務の効率化に向けて、AIやRPA等の新技術を積極的に導入するとともに、産業や地域づくりなど様々な分野で、最新のデジタルテクノロジーが展開されるスマートシティを推進していきます。

また、「多様な働き方確保支援センター」においては、女性や高齢者、障害者など多様な求職者に対して、職業紹介、各種セミナー等を行い、求職者のニーズに応じた就労と、中小企業・小規模事業者の人材確保につなげていきます。

2点目、「コンパクトシティ・共生型包括ケアの推進」では、利便性の高い集約型のまち「多極ネットワーク型コンパクトシティ」への転換と、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができる「地域支え合い包括ケアシステム」の強化を図ります。

「多極ネットワーク型コンパクトシティの推進」については、この度策定した「立地適正化計画」のもと、都市拠点や日常生活を支える地域の拠点に、都市機能や居住の維持・誘導を進めていきます。

また、都市拠点となる中心市街地の整備を先導的に進めるため、「市役所周辺地区」では、新庁舎1期棟の建設に着手するとともに、新庁舎建設に合わせて一体的に進める真締川公園や常盤通りなどの再整備に向けて、関係機関との協議を進めます。

また、まちづくり会社「株式会社にぎわい宇部」と連携し、「中央町地区」を中心に、建物のリノベーションを促進するとともに、中央街区公園「わいわいぱぁ~く」や多世代交流スペースなどを活用し、市民団体と連携したマルシェやイベント等を開催します。

さらに、中心市街地における大規模小売店閉店の影響を最小限に食い止めるため、「まちなか商業緊急応援事業」として、新天町及び常盤通り周辺エリアを対象に、空き店舗への新規出店や既存商店の店舗改装、まちなかの活性化につながる販売促進活動、イベント開催などに対する支援を拡充します。

また、井筒屋宇部店跡地については、次の利活用に着手されるまでの間、にぎわい創出の拠点として活用するとともに、中心市街地の新たなシンボルづくりに向けて、商工会議所や関係商店街などとともに検討を進めていきます。

さらに、中心市街地に にぎわいをもたらす再開発等を円滑に進めていくため、新たに「中心市街地活性化基本計画」を策定します。

次に、「地域支え合い包括ケア・共生の福祉の推進」についてです。

高齢者や障害者をはじめ市民の誰もが、住み慣れた地域で安心して生活できる共生の福祉の推進として、福祉なんでも相談窓口の機能の拡充を図り、地域における支え合いの仕組みづくりを進めていきます。

また、地域住民が主役となる「元気・安心・地域づくり」を促進するため、各校区で策定された「地域計画」に沿った活動を支援する助成制度を充実させ、地域・保健福祉支援チームと関係機関等が連携し、自立した地域運営基盤の構築を図ります。

さらに、「多極ネットワーク型コンパクトシティの推進」と「地域支え合い包括ケア・共生の福祉の推進」を両立させる利便性の高い公共交通ネットワークの構築として、大学や民間企業、交通事業者等で構成する宇部市交通創造コンソーシアムを中心に、新たな基幹公共交通軸となるBRT(バス・ラピッド・トランジット)等の導入に向けた調査や、自動運転の実証など、次世代交通システムの検討・調査に積極的に取り組んでいきます。

3点目は、「ガーデンシティの推進」です。

2018年11月に策定した「ガーデンシティうべ構想」のもと、基本理念である「花と緑にあふれ、市民が輝き誇りを持ち、人々の暮らしを豊かにする持続可能なまちづくり」を推進します。

まず「まちなか緑と花の回廊づくり」として、中心市街地においては、バラを中心とした四季折々の花が楽しめる空間づくりや、シンボルロードでの歩道空間の整備、緑・花・彫刻が調和した魅力ある空間づくりを進めるとともに、新たに、ワールドストリートとして、市道小串通り線を中心に、本市の姉妹都市等をイメージできる樹木の設置に取り組みます。

また、「みんなで育てる花のまち」の推進として、花やガーデニングに関する総合的な知識と経験を持つガーデンマイスター制度の創設や、専門家との交流・連携により、職員や市民の技術力向上に取り組みます。

また、「ばら制定都市会議」に参加し、バラによるまちづくりを市内外に広く発信していきます。

さらに、花壇コンクールの充実を図るとともに、花き栽培の促進に向けて、宇部で生まれた つる性ミニバラ「宇部小町」を活用した商品開発など、花きの消費拡大に向けた検討を進めます。また、IoT技術を取り入れる花き生産者への支援などに取り組みます。

4点目は、「地域エネルギー・バイオマス産業都市の推進」です。

本市は、2017年10月に、内閣府をはじめ7府省から県内初となる「バイオマス産業都市」の認定を受けており、今後も、宇部市バイオマス産業共創コンソーシアムを中心に、地域のバイオマスを活用した産業の創出と、資源循環型社会の形成に取り組みます。

特に、豊富な竹資源を積極的に利活用していくため、その活動拠点を北部地域に設置し、関連事業者や研究機関等と連携した商品化やビジネス化に取り組みます。

また、「宇部版シュタットベルケ」構築に向けて、核となる地域エネルギー会社を設立し、地域の再生可能エネルギーを効率的に活用・管理することで低炭素社会構築に貢献するとともに、市公共施設の電気料金の抑制にもつなげていきます。

さらに、複数の再生可能エネルギー発電設備や蓄電池等を組み合わせたエネルギー管理の最適化による分散型エネルギーシステムの構築について、検討を進めます。

そのほか、2019年度予算の主な内容を、5つのまちづくりのテーマに沿って、御説明します。

1 産業力強化・イノベーション創出のまち

まず、「地域経済・雇用を支える地元産業の発展」として、企業等の誘致については、トップセールスをはじめとした企業訪問の実施や、事業所設置奨励制度を活用し、残り少なくなった産業団地への誘致活動を展開するとともに、産業団地以外の空き工場や未利用地への誘致に取り組みます。また、中心市街地等へのサテライトオフィスの立地促進にも取り組んでいきます。

さらに、2017年11月に設立された山口・宇部テクノパーク連絡協議会と連携し、産業団地内への公共交通機関の導入に向けた通勤バスの試験的運行や、団地内企業の情報発信等に取り組みます。

また、2019年10月から実施予定の消費税率引き上げへの対応として、低所得者や3歳未満の子どもを養育している世帯への支援を目的に、市内小売店で利用できるプレミアム付商品券の発行を行うとともに、消費者へのポイント還元にあわせた中小小売業等のキャッシュレス化を推進します。

また、中小企業の円滑な資金調達と経営基盤の強化として、事業資金融資制度において、融資対象者の拡大や、融資上限額の引き上げ及び融資利率の引き下げを行い、利用者の拡大を図ります。

また、国際バルク戦略港湾として整備が進められている宇部港については、今後の石炭需要や貨物取扱量の増加と港湾機能の多様化を見据えた港湾計画の改訂について、県と協力して取り組みます。

次に、「地域特性を生かした観光・コンベンションの振興」については、「稼げる観光」・観光産業の振興を図るため、その舵取り役となるDMOを中心に、ときわ公園をはじめ、まちなかや北部中山間地域をつなぐ周遊プログラムや、増加する訪日外国人の集客を視野に入れた「体験」「食」を楽しめる旅行プランの企画など、本市の豊かな地域資源を生かした観光まちづくりを進めます。

さらに、県や関係機関と連携して、韓国仁川国際空港との定期便や国際チャーター便を活用し、山口宇部空港の更なる利用促進につなげるとともに、Wi-Fi環境の整備など訪日外国人の受け入れ環境の整備に取り組みます。

次に、「農林水産業の振興・6次産業化の推進」についてです。

農業については、農業の魅力向上と「儲かる農業」を目指して、新たな担い手の確保・育成や、AI・IoT等を活用した次世代型農業の促進、オリーブをはじめとした戦略的作物の産地化を進めるなど幅広く施策を展開し、遊休農地の解消につなげていきます。

林業については、2019年度から交付される森林環境譲与税を活用し、森林資源の活用等を計画的に進めるための基礎調査を関係機関と連携し進めていきます。

漁業については、就業に必要な技術の習得や生産基盤の整備、就業後の経営安定化の支援を行うとともに、漁業協同組合が運営する水産物直売施設の販路拡大やICTの導入等の取組を支援します。

また、6次産業化の推進については、「うべまるごと元気ネットワーク」を核に、異業種間、事業者間の連携による加工品の開発や、うべ元気ブランド認証製品のブランド力の強化に取り組み、地元農林水産物の消費拡大、加工品の販路拡大を図ります。

さらに、本市の特色ある農林水産物を活用した食の魅力づくりとして、飲食店と連携したメニューの開発や、食のイベント開催などに取り組みます。

また、県内随一の「お茶の産地宇部」のブランド化に向けて、お茶の普及啓発や新たな食のレシピの開発、海外への販路拡大などに、大学や関係機関等と連携して取り組みます。

次に、「多様な雇用機会の創出」については、障害者雇用の促進に向けて、新たに、障害者の就労を職場内で支援する「(仮称)宇部市認定ジョブアシスタント」の養成に企業等と連携して取り組みます。

また、生活困窮者等の社会参加や就労支援の仕組みづくりを進めるため、農業と福祉が連携し、人材のマッチングを行うことで、生きがい就労や農業の労働力確保につなげていきます。

2 生きる力を育み、子どもの未来が輝くまち

まず、「妊娠・出産・育児支援の充実」については、子育て拠点施設「こどもすくすくプラザ」内の子育て世代包括支援センター「Ubeハピ」で、妊産婦健康診査や生後2週間から5歳までの乳幼児健康診査など、妊娠・出産から子育てにわたる不安感や負担感の解消に向けた総合相談や、切れ目のない支援を行います。

また、充実した医療費助成制度のもと、子どもの健やかな成長を支援するため、感染症に対する任意の予防接種に対して、本市独自の助成を行います。

次に、「安心して子育てできる環境づくり」については、保育園での待機児童が生じないよう、受け入れ施設や適切な人材の確保を図ります。

また10月からは、子育て世帯の負担軽減のために国が実施する、主に3歳以上の幼児を対象とした幼児教育・保育の無償化に取り組みます。

市内全校区に整備している学童保育においては、増加する利用者ニーズに適切に対応するとともに、外部人材を活用した活動を取り入れるなど、安定した良質な保育環境を提供します。

また、多世代の交流や学習支援、食事の提供などを通して、子どもの健やかで豊かな成長をサポートする「子どもの居場所」づくりを促進するとともに、経済的な理由で学習の機会に恵まれない中学生を対象とした学習支援の場を増設し、将来の進路選択の幅を広げます。

また、児童虐待の根絶に向けて、関係機関との連携強化を図るとともに、わずかな虐待の兆候も見逃す事がないよう、個別ケース毎に、危機感をもって迅速、適切に対処します。

次に、「確かな学力・豊かな心を育む教育の推進」については、新学習指導要領に示された「主体的、対話的で深い学び」、いわゆる「アクティブ・ラーニング」の視点に立った授業改善に取り組みます。

また、コミュニティ・スクールの機能を活用して、子どもたちと地域住民が一緒に学ぶことのできる「放課後学習教室」の開催、小中連携による「合同研修」や「9年間のカリキュラム作成」などに取り組みます。

いじめの問題については、「宇部市いじめ防止基本方針」に基づき、未然防止や早期発見、早期対応の強化に向けて、新たにSNSを活用した いじめの相談や通報システムの実証に取り組みます。

また、不登校対策については、「宇部市不登校防止アクションプラン」に基づき、不登校の状況に応じた適切な支援と、新たな不登校を生み出さない取組の強化を図ります。

特別な配慮が必要な子どもたちへの支援としては、小中学校へのサポート教員等の配置や特別支援教育支援ボランティアの活動を推進するとともに、発達障害等相談センター「そらいろ」との連携を図りながら、個別の教育支援計画の作成・活用を推進するなど、就学前から卒業後に渡る切れ目のない支援に取り組みます。

次に、「社会の変化に対応した特色ある教育の推進」として、英語教育については、オンライン英会話を中学校全学年に拡充するとともに、2020年度から始まる小学校での外国語活動や外国語科の授業を見据えて、外国語指導助手(ALT)を増員し、児童生徒の「使える英語」の習得を目指します。

また、ICT教育については、AIを搭載した人型ロボットやデジタル教科書・教育用アプリの活用などICT環境の整備に取り組みます。併せて、プログラミング教育を取り入れることで、児童生徒の情報活用能力や論理的思考力を育成します。

また、山口大学やJAXAと連携して、衛星からのオープンデータの利活用に関する講座を開催するなど、児童生徒に宇宙やその先端技術への興味を抱かせる宇宙教育にも取り組みます。

さらに、キッズデザイン協議会やJICAの協力のもと、子どもたちを対象とした「せかい!動物かんきょう会議in宇部」を開催し、SDGsの視点に立った多様な発想・行動ができる「人財」づくりを進めます。

次に、「学校教育環境の充実」として、まず、学校施設の耐震化については、2018年度からの継続事業となる二俣瀬小学校体育館や東岐波中学校体育館など、体育館4棟の耐震化工事を実施します。これにより、2019年度末には、小中学校施設の耐震化率は97.4パーセントになる見込みです。

また、普通教室等への空調設備の設置を進めるなど、児童生徒の学習環境の改善を図るとともに、地域コミュニティの拠点として、様々な地域住民が利用できるよう学校施設のバリアフリー化に取り組みます。

そのほか、学校と地域が連携したコミュニティ・スクールや、学校教育活動支援ボランティアを活用した特色ある取組を進めることで、地域に開かれた学校づくり、学校を核とした地域づくりを進めていきます。

また、市民が気軽に読書に親しめる環境づくりのため、図書館を中心に、学校・地域など多様な主体が連携した読書のまちづくりを進めます。

3 健幸長寿のまち

まず、「健康づくりの推進」については、安心安全で豊かな生活を営むことができるまち、スマートウエルネスシティを目指すために、新たにICTを活用した健幸ポイントプログラムにより、健康状態の計測と見える化を行うとともに、生活習慣改善プログラムにより介護予防対策に取り組みます。併せて、生活習慣病等のリスク者に対して、運動プログラムを医療と連携して実施し、疾病の悪化防止や改善に取り組みます。

また、がん患者にやさしいまちづくりの推進については、がんを早期に発見するために、がん検診の受診率向上に向けて、子宮頸がん及び乳がん検診の無料クーポン券を配付するとともに、がん患者のがん治療と仕事の両立、社会参加を支援するため、ウィッグの購入費を助成するほか、介護保険対象外の20代及び30代のがん患者のターミナルケアに要する 在宅サービスの利用料を助成します。

次に、「共生の福祉の推進」については、社会福祉法人の地域貢献活動をさらに促進するとともに、ご近所福祉サロンをはじめとした地域の活動拠点での住民の交流促進、地域の支え手・担い手の人材の育成などによる見守り・支え合いの体制づくりを更に進めていきます。

また、障害者が地域社会で安心して暮らしていくために、障害者に対する市民の理解促進と、障害を理由とする差別の解消に取り組むとともに、新たに「バリアフリー化マスタープラン」を策定し、高齢者や障害者等の移動等の円滑化を図ります。

そのほか、認知症の方やその家族が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、認知症の早期発見・介入などの認知症施策の展開や、新たにICTを活用した見守り支援などに取り組みます。

4 共に創る魅力・にぎわいあふれるまち

まず、「シティプロモーションの推進」については、本市の認知度を高めるため、首都圏や関西圏など都市部でのPR活動や、フィルムコミッションによるロケーション誘致活動等を積極的に展開していきます。

また、2020年 東京オリンピック・パラリンピック競技大会におけるスペインのホストタウンとして機運の醸成を図るとともに、これまで5年間にわたり交流を進めてきたスペイン・カステジョン市と姉妹都市提携を結び、文化・スポーツや教育、経済など、様々な分野で本格的な交流を展開していきます。

また、共生社会ホストタウンとして、文化やスポーツなどを通じて、障害者や高齢者、外国人に限らず、誰もが生き生きと暮らすことができる社会の実現に向けて、取組を加速化していきます。

次に、「ときわ公園の魅力発信」として、平成から新たな時代への幕開けとなるゴールデンウィークを最重点の集客機会と捉え、花、彫刻、健康、食、ダンスなど様々なイベントを開催します。

また、ときわミュージアムにおいて、全館をフィールドにバージョンアップした「テクノロジー×アート」作品を制作し、第28回UBEビエンナーレの開催期間に合わせて、昼夜ともに楽しむことのできるイベントを開催するなど、ときわ公園への集客を強化していきます。

次に、「文化・アートに親しめる環境づくり」については、第28回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の本展を開催するとともに、2021年に60周年を迎えるUBEビエンナーレのさらなる認知度の向上に向けて、スペイン・バルセロナ現代美術館や韓国・昌原(チャンウォン)彫刻ビエンナーレなどと連携することで、グローバル化を進めます。

また、併せて、市内全小学4年生を対象にしたUBEビエンナーレ鑑賞授業の実施や、アートイベントを総合的に展開する「UBEビエンナーレ×まちじゅうアートフェスタ」の開催を通じて、市内全域で魅力的なアートに親しめる環境づくりを進めます。

次に、「スポーツ活動の推進」については、2018年11月に法人化した一般社団法人 宇部市スポーツコミッションの運営を支援し、スポーツによる元気な人づくり・まちづくりを一層進めていきます。

また、恩田運動公園については、スポーツの振興と市民の憩いの場として、新たな魅力とにぎわいあふれるエリアにするため、今後策定する「恩田スポーツパーク構想」に基づき、計画的に整備を進めます。

また、地域に密着した街区公園等を活用して、木登りや泥遊びなど、子どもが自由な発想で遊びを展開できるプレーパークを実施します。

次に、「若者・女性の活躍促進」については、若者の社会的・職業的自立を図るため、多世代ふれあいセンター内に設置した「若者ほっとカフェ」や「若者ふりースペース」を一体的に運用し、相談対応から社会への参画・自立につながる支援を行うとともに、若者の関心を集めるような多世代交流のイベント「みんな集まれ多世代フェス」を定期的に開催し、若者の交流と活躍の場を創出していきます。

また、成年年齢が2022年4月から18歳に引き下げられることから、法改正後に成人となる中学生への周知啓発活動を行うとともに、高校生への意識調査等を行い、今後の成人式のあり方について検討していきます。

また、2016年度から山口大学や宇部工業高等専門学校と連携して開設している「テクノロジー×アート」の講座や若者クリエイティブコンテナでのまちづくり活動につながる、山口大学との社会連携講座を開催することで、地域人材の育成や地元定着への促進につなげていきます。

また、うべ女性活躍応援ネットワークの活動を中心に、女性の活躍推進に向けた意識啓発や人材育成の充実を図るとともに、女性が働きやすい職場環境づくりを促進するため、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定支援や、宇部市女性活躍推進企業の認証拡大を図ります。

次に、「移住・定住の促進」については、移住定住のワンストップ相談窓口である 移住・定住サポートセンターにおいて、仕事や住まいのマッチングをはじめ、ニーズに沿った移住相談、各種支援制度の紹介など、きめ細かい支援を行うとともに、首都圏等に向けた魅力発信や本市の暮らしを体験できる移住体験ツアー等を実施し、移住者の増加につなげていきます。

次に、「中山間地域の振興」については、豊かな自然環境や食とアートが融合したうべの里アートフェスタ2019の開催や、中山間地域で日本文化に触れることができる体験型のツーリズムの実施などを通じて、中山間地域の魅力を発信し、交流人口や移住・定住人口の増加につなげていきます。

5 安心・安全で、快適に暮らせるまち

「環境保全対策の推進」については、まず、ごみの減量に向けて、市民や事業者からのアイデアを活用した、地域における資源物等拠点回収モデル事業の本格実施や、ごみの分別案内システムの運用等により、ごみ減量意識の高揚を図りながら、市をあげてごみ減量運動を展開するとともに、機能性や美観を備えた「護美(ごみ)ステーション」の整備を継続し、ごみの分別排出を促進します。

また、3Rを一層進めていくため、食品リサイクルループの推進のほか、プラスチックごみの再資源化に係る実証事業を行い、新たなリサイクルシステムの構築に向けた検討を進めます。

次に「災害に強い安全なまちづくり」として、「災害死亡者ゼロ」を目標に、防災情報を全市民に届けるための防災屋外スピーカーの実施設計や固定電話音声情報一斉配信システムの導入を進めるとともに、避難者の心身の健康維持を図るため、食事をはじめ避難所の生活環境の良好化に向け、備蓄食料等の拡充や飲食関係事業者との協力体制を構築します。

また、防災上の危険箇所のハード面の整備では、危険ため池の解消や急傾斜地崩壊防止対策、護岸の嵩上げ等による海岸高潮対策に取り組みます。

そのほか、防犯対策として、「青少年の万引きゼロ」の実現に向け、広報・啓発活動をさらに強化するとともに、地域・関係団体等との連携を深め、青少年の健全育成に取り組みます。

次に、「人権の尊重」については、本市の市民宣言にうたわれている「人間が尊重される都市づくり」を目指し、LGBTをはじめとする性的マイノリティに対する偏見などの課題にも対応していくとともに、学校や地域、家庭、職場など様々な場を通じ、関係機関等と連携を深めながら、人権教育・啓発活動を効果的に推進していきます。

また、配偶者等からの暴力の被害者等に対する相談業務をはじめ、当事者の安全確保や自立支援の強化など、他の自治体とも連携しながら取組を充実させていきます。

次に「都市環境の質的整備」については、2017年に策定した「道路の個別施設計画」(舗装編)に基づき、緊急輸送道路などの重要度の高い路線、「あんしん歩行エリア」とその周辺、損傷度の高い路線について、舗装修繕を計画的かつ効率的に実施し、健全な道路状態の維持に取り組みます。

次に「生活交通の確保・利用促進」として、JR宇部駅において、列車とホームの段差解消やエレベーター付き跨線橋の新設など、JR西日本と連携し、駅構内のバリアフリー化を進めます。

また、「暮らしに身近な環境整備」として、地域づくりやまちづくりにつながる空き家の利活用を促進するとともに、終活サポート相談支援体制の充実や、適正管理について所有者に適切な指導を行うなど、空き家発生の未然防止に取り組みます。

6 計画の実現に向けて

「宇部市行政サービス改革推進計画」のもと、AIやRPAなどデジタルテクノロジーを効果的に活用した行政サービス改革を進めるとともに、多様な主体との連携・協働・共創や、組織力の強化等に向けた取組を進めていきます。

また、民間企業等の外部人材を受け入れ、そのノウハウや人脈等を活かし、本市の魅力・価値の向上につながる事業展開を行うとともに、職員の資質向上、意識改革を促すため、職員を民間企業等に派遣します。

また、公共施設マネジメントについては、「宇部市公共施設等 総合管理計画」に基づいた公共施設の更新・耐震・長寿命化事業に取り組むとともに、学校施設をはじめとした個別施設計画を策定していきます。

また、市民の市政への関心や参画意識を高めるため、新たにソーシャルメディアを活用した情報発信を開始するなど、各種広報媒体と情報内容の充実に取り組むとともに、市民の声を市政に生かすため、「ふるさと元気懇談会」や「インターネット市民モニター制度」等を充実させていきます。

7 公営企業

上下水道事業については、持続可能で安定した事業経営を行うため、水道事業の広域化を進めるとともに、上下水道事業検討委員会から受けた提言を踏まえ、下水道事業区域の見直しに取り組みます。

また、地震などによる被害を最小限にとどめるため、浄水場や配水池の耐震化、ポンプ場の統廃合や合流管の改築など、老朽施設の更新を積極的に進めます。

次に、交通事業については、安心・安全な運行を行うとともに、安定した事業運営のため、嘱託運転士の待遇改善や、短時間勤務等の新たな就労形態の導入など、運転士不足の解消に最優先で取り組みます。

また、「使いやすく、持続可能な地域公共交通網」を形成するため、「宇部市地域公共交通再編実施計画」に基づき、引き続き公共交通の利便性の向上を図るとともに、次世代交通システムの検討・調査に積極的に取り組んでいきます。

おわりに

以上、申し上げました事業をはじめとする諸施策の執行にあたりましては、職員一人ひとりが、市政発展への使命感と責任感を持ち、まちづくりの主役である市民とともに、スピード感を持って 取り組んでいきます。

2019年は、平成から新たな元号へと変わる意義深い年となります。

先人たちが、「宇部の精神(こころ)」である「共存同栄・協同一致」を原動力に築き上げた「ふるさと宇部」を、将来にわたって輝き続ける宇部市として次の世代に引き継ぐため、総合計画の求める都市像である「みんなで築く活力と交流による元気都市」の実現を目指し、全身全霊を込めて取り組んでいきたいと思います。

市議会議員各位をはじめ、市民の皆様におかれましては、これまで申し述べました 2019年度の施策提案と 当初予算案に対しまして、深い御理解と御賛同を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、2019年度の施政方針といたします。

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